03 試練は交錯する


『以上が理由だ。わかったらキビキビ働け!』

「うーん…人使いが荒い」

 同じことを思ったのだろう。イツキも苦笑していた。
 とはいえ、無理難題吹っ掛けた分の代償がこれというから仕方がない。
 残りのチェックポイントを探しながら樹海と化した渋谷のダンジョンを進んで行った。



 ***

 ……1時間後

「…多分、これで確認は終了かな。」

 ナガミミとジュリエッタに通信を送ると、ジュリエッタから返ってきた。

『ええ。マップは問題なかったようね』

 なんとかマップの確認は出来た。
 特に大きな問題はなく、大丈夫そうだった。

「…で、次が」

『キヒヒヒ…そうだ。お待ちかねのマモノとの対決だ!』

 キヒヒ、と独特な笑い声が聞こえる。
 …とうとうマモノが出てくるのか。

「待ってはいないんだよなー!──戦闘準備!」

 マモノが現れた気配と同時にキーボードを出現させる。
 イツキと零夜も身構えた。

 現れたのは蝶の形をしたマモノ・エアーグラス、兎型のマモノ・ラビ、クワガタの形をしているマモノ・カエンノコクワの3体。

 ちら、とイツキの方を見る。

「速攻で片を付ける?」

「その方がいいかと!」

「おっけー!なら…攻めちゃってください!」

 攻撃能力向上・アタックゲインのコマンドを速攻で打つ。
 そこまでがっつり攻撃しないとはいえ、自分自身にも普段より力が上がったような感覚を覚えつつ、確認の為にステータスの向上を画面を見ていると感心した様子の零夜がこちらを見た。

「素晴らしい援護だ。【我々】の組織に入るかい?」

「に゛ゃっ!?それはご遠慮しますー!てか既にムラクモ機関に入ってるようなもんだし!」

「そうかい。それは残念だ」

 ほんの少し笑った…ような…気がする。
 あれ、もしかしてからかわれた…?首脳ジョーク?

「って、何ボーっとしてるんですか二人共!」

 イツキの声でハッとしたけど、時すでに遅し。カエンノコクワの攻撃をモロに食らってしまった。

「いっだぁ…!!!」

 あー…こうなるくらいならアタックゲインじゃなくてディフェンスゲインが先でもよかったような気がする…。と後悔しているとバチ、とプラズマが広範囲に弾けた。

「【僕】は君達が嫌いだ」

 目の前に迫っていた3体のマモノが全て吹き飛ぶ。
 そこに追い打ちをかける様にイツキが躍り出る。

「辻風よ、舞え!」

 風の槍ヴォルテックスを放ち、カエンノコクワはそのまま倒されて消滅した。

「残り二体……!」

『と、思うだろ?』

 突然割り込んできたナガミミ様の声。
 ……急にイヤな予感がしてきたのですが。

 
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