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03 試練は交錯する


 ***

 ──セブンスエンカウント

 先に行った二人の後からログインし、合流する。

 まだステージが確定されていないのか、今は自分達のステータスが表示されている画面以外は真っ白な空間が広がっていた。

「…VRゲームって言ってたよね。想像していたモノ以上なんだけど、ここ」

 完全に再現された自分の身体アバターを、私達の姿をまじまじを見ながら零夜がそう言ってきた。
 …わかる、その気持ちわかる。

「2020年のだと目元に付けたりするタイプだもんねー。80年も経てばここまで進化するわけなんだよー」

 私も初めてここに来た時は本気でそれを思った。ライトノベルとかアニメくらいで見ていた世界が本当に実現するなんて思ってなかったしね。

 そう思いながら、表示されている零夜のステータスを見た。

 ──零夜 Lv80 Psychicer RANK:???


(サイキックではなく、サイキッカー…か)

 世界線、というか異世界線という完全に違う世界から来たからなのだろうか、そう表記されている。
 ランク不明なのは…これから測定していくのだろう、多分。

 ……まぁ。今の世界には不要な確認作業なんだろうけど、一応名残として測定してはいるっぽい。
 かつて、セブンスエンカウントはS級能力者を見つけ出す為の装置であったというように。


 ──ミコト Lv87 Hacker RANK:S

 ──イツキ Lv99 Almighty RANK:S

(いっつーと私の表記はいつも通り…っと。装備とかも問題なさそうかな)

 身に着けている装備や所持道具とかを確認する。
 時々マモノ警報が発令される場合もあるので実際に身に着けていたりする装備が、そのまま反映されているのを確認した。

『おし、全員揃ったな。今回のテストプレイの内容は新マップの調査及びマモノの調整だ。いいな?』

 ナガミミからの通信が入る。
 テストプレイでバグや難易度の調整をするというのは過去にも何度か請け負ったことがあるから、それを今回もやればいいのだろう、と零夜にも説明しておいた。
 彼もすぐに理解し、全員大丈夫だとわかったのでナガミミへ返答した。

「りょーかいでーす。ちなみに何処のマップ再現になるの?」

『今回は渋谷/繁花樹海だ。さすがに帝竜クラスのは再現困難…つーよりは危険だったから雑魚敵と一部のドラゴンだけだぜ。』

「あー渋谷か。帝竜はまあ…混乱の上位互換:錯乱状態にするのが得意なやつだったからなぁ…。アレを再現するのは確かに非常に危険だろうねぇ」

 帝竜スリーピーホロウ。
 かつて渋谷を根城にしていた不良少年達のグループSKYを襲った惨劇。帝竜の所為で皆発狂し、殺し合いが始まっていたという地獄。
 混乱の上位互換の状態異常・錯乱。混乱が敵味方関係なしに攻撃する、というのであれば錯乱は「必ず」味方を攻撃するというタチの悪い状態異常。SKYの惨劇は全てはそれが原因だ。

 …その状態異常をVRの世界で再現するのは非常に危険だろう。それこそ、“ドラゴンがいたかつての世界”であったのなら訓練装置としては使えたのかもしれないが、今やただの娯楽の一つになっている状態で、「錯乱」はその後の後遺症とかが残りそうで恐ろしい。

 
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