03 試練は交錯する
──東京 ノーデンス・エンタープライゼス
「ここがノーデンス社。今はただのゲーム会社でセブンスエンカウントっていうVRゲームが代表作。不思議なことに、ドラゴンの記憶がすっぽ抜けた世界に変わったというのに、あのゲームだけ変わらなかったんだよねー」
不思議だよねー、と言いながら私はセブンスエンカウントがある建物を指差す。
「しかも開発、アップデートは続いてるんだっけ?ミイヤも絡んでるらしいから、また2020年や2021年でのアレソレが出てくるんじゃないかなぁ」
私の言葉に続くようにイツキがそう説明した。
そうしているのは恐らく、ミイヤなりの気遣いのつもりなのだろうか。…真意は私らにもわからないが。
「へぇ……。でもあまり人がいないようだけど」
零夜の言う通り、確かに周囲にいるのは社員の人か、単純によくこの周辺に来る人くらいだろうか。純粋にゲームをやりに来た人はあまり見当たらない。
「──そりゃぁ、今日はセブンスエンカウント開いてないからな。」
後ろから聞き覚えのある少女の声がした。
「ようこそ、ノーデンス社へ」
営業モードだろうか、ニコリと笑い掛けるノーデンス社の制服を着た金髪の少女──ナガミミがいた。
「なーんだ、ナガミミ様かぁ」
「オイ、文句あんのかミコト」
そんな反応をすると途端に素が出るナガミミ。
うん、知ってた。
「んーにゃ?相変わらずかわいいねーと」
「
ニヨニヨとしながらナガミミをからかう。
…世界を再構築した時、願ったのは確かにレイナだ。だが、どうやらミレイがレイナに入れ知恵してたらしく…その結果がナガミミ様美少女化ということになってしまったらしい。以前のウサギのぬいぐるみの姿も好きだったんだけど、これはこれで…アリだわ。
うーむ、やはりオタクの家系だから血は争えないね!
「で?ジュリエッタに会いたいってアポ入れたのはテメェで合ってるんだな?」
「そーだよ、星神美琴で入れたでしょ?ちょっと人数増えたけどネ!」
「みたいだな。イツキはまだわかるが…ソイツは誰だ?」
見慣れない顔だな、とナガミミが零夜の顔をまじまじと見る。
「……ん?……まさか」
「─この世界の人間じゃないな?」