02 #TRUE INTENTION
「…確かにあの時、少しだけ自棄になって人質を取るとかいうミスをしたけれども……【僕】はまだ、あの子を助けるということを諦めてはいないよ」
「でも、もうヒサメは目覚めないんでしょう…!?もう手遅れなんじゃ…」
「手遅れだけど、まだ、終わってはいないよ。ねぇ、【僕】がどうして君達の世界線に来たのか、わかるかい?」
イツキがキョトンとした表情になる。ミコトは彼を宥めながら、あー…と声を漏らした。
「成る程、タイムマシンで過去に戻って歴史を改変する的なやつか」
「正解だよ、ミコト」
「まー確かに一番ひーちゃんが助かるようにするには、もうそれしかなさそうよねー…。過去に戻って元凶を絶つか、悲劇が起こらないように対策を立てる。ある意味最後の手段に出たってワケか」
ミコトはなるほどねーと何度も頷き、納得しているようだ。
俯いて何かを考えていたイツキが顔を上げ、首を傾げる。
「過去に戻り、元凶を絶つ……。でもその、ヒサメを含めたホムンクルス達が犠牲になった原因ってわかってるんですか?」
「確実ではないけど、大体目星は付いている。……【僕】のプレイヤーがいる実験施設。そこで行われたのは間違いない。」
「根拠は?」
「観測した世界線であったんだ。『実験施設から帰ってくることなく、【僕】らヒーローの消去が確定された』というものが、ね」
「それはまた…悲惨な世界線だね」
「他にも『どうやってもヒサメが助からない世界線』をいくつも観測できたよ……。おかしいよね、こんなに救いのない世界線ばかりしか見つからないなんて……」
まるで、この世界線は最初から詰んでいるようにも感じられる。
……だから。だからこそ
「あの子が助からないという世界線にならないように、そうなる分岐点を見つけて、そこを絶つ。」
その為にも、過去へ飛ぶ為の力が欲しいんだ、と伝えれば「成る程ねー」とミコトが頷いていた。
「…ま、悪くないんじゃないかな。ちなみにだけど、その元凶と思われる日ってわかるの?」
「そうだな…ちょうど1ヶ月前くらい、かな。その日以降から、死者が出るようになったから、恐らく……」
「ふーむ、そこまでの目星がついてるのなら十分じゃないのかな!…よし、じゃ、明日になったらノーデンス社にでも行くか!」
「ノーデンス…?それは一体…」
聞きなれない単語だな…。
「ノーデンス社…ゲームの会社だけど、同時に超小規模時空間転移装置…タイムマシン【ポータル】を作った所でもあるんだ。一応その社長さんや社員さんと知り合いだからアポの連絡入れてみるよー!それ考えると、明日が確実!」
任せろ!言わんばかりに親指をグッと突き立てるミコト。
…さり気なく凄い事言ってるような気がしたんだけど。
ふと窓の外を見る。
……案外、80年経っても東京の街並みは変わっていないように見えた。
真意と恋心
(大丈夫、【君】のことを助けるからね)
(たとえ、どんな方法になろうとも)