02 #TRUE INTENTION
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「はい、そんじゃ…改めて現状把握しましょうかー」
【僕】が目覚めた部屋とは別の部屋に案内される。恐らくリビングなのだろうか、そういった家具が設置されている。
それぞれソファや椅子に座って、向き合っていた。
「そうだね…まずはここは何処なのか、ということを聞きたいかな」
「……あー、そうだよね、うん。」
イツキ、ミコト、ミイヤのいずれかの家だとは思われるが、正確な場所は何処なのかを全く把握していない。
というのも。
あの路地裏で意識を失った後にここで目覚めたのだから、わかる訳もない。
ミコトがうーん、と考えながらこちらを見た。
「あの路地裏での出来事が私達の世界線の…ちょっとした平行世界の2020年の東京。で、今いるこの場所が…私達にとっての世界線、西暦2100年の東京、とでもいえばわかるかな」
「……つまり80年先の未来に【僕】は連れて来られたってことかい?」
「ま、端的に言えばそうなるね。ちなみに、ここはミイヤん家です。イツキが同居人で私は時々泊りに来たりしてる感じなんだー。」
「成る程、ね」
要は、2100年の東京にあるミイヤの家に【僕】は連れて来られた、ということだろう。
…随分と突飛な話だ。こんな経験は滅多に無い。
「それで、れーや君がここに来たってことは…ひーちゃんに何かあったってことだよね」
ミコトにそう訊かれ、ズキリと胸が痛んだ。
──思い出すのは、目を覚まさないあの子の姿。
「っ……そう、だね。ヒサメが、目を覚まさなくなったんだ。」
「……それって」
「持って1週間から数日、と13は言ってた」
「死神サマが言ったのかー…それは信憑性あるやつ……つまり、もう残された時間は少ないってことなんだね?」
「そうなるね。そして、ようやく外へ出られる許可が下りたのが…あの子が目覚めなくなってからだ。」
本当は、あの子に被害が及ぶ前に……未然に防ぐ為に外へ出ようとしていたんだけれどね、と本音を零せば、イツキが目を伏せ、ミコトは沈痛な面持ちになる。
「…そっか。キミなりの努力はしていたんだね」
「でも、間に合わなかったけどね」
「ッ、確かにそうですが……!」
ガタッと音を立てながら椅子から立ち上がるイツキ。
それを見てミコトが落ち着かせようと背中をポンポンと撫でている。