宝石の国短編集
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その日の夜。あんな話をしたものだから、私は妙にこの恋人から目を離すのが不安になっていた。確かに、彼はややマイペースで、普段から何をしでかすか分かったものじゃ無い。けれど、冗談で済まされることの線引きを間違えるような人では無いはずだが。
そんなことを寝室でひとり考えながら、私はベッドに体を沈ませていく。隣のお風呂場からは、未だシャワーの水音が響いている。
しばらくして、シャワーの水音はピタリと止んだ。代わりに、ドライヤーの乾いた風の音が聴こえてくる。ベッドの上で瞼を閉じて待っていると、それから15分ほど経った頃、ドライヤーの音は止んだ。すると、ガチャリとまた音を立てて、この部屋の扉のドアノブが回された。
「あれ、もう寝てるのか? なまえ。」
そのまま目を閉じて、シーツに体を預けていると、私の顔を覗き込んだのか、それとも私が少しも動いていなかったからだろうか。恋人の驚いたような、不思議そうな声が耳に届いた。
私はすぐに瞼を上げて、ゆっくりと起き上がる。目に入ったのは、あの長い髪を後ろでひとまとめにして、ふんわりと湯気に包まれている彼の姿だ。
「ね、寝てない、寝てないよ。パパラチア…」
あまり見慣れていないその格好に、少しドキドキしながら私は彼の言葉を否定する。
「そうか、それは良かった。」
すると、小さくそう呟いてから、彼はそのままこちらへ倒れこんできた。ぽふ、という音と共に背中にはシーツの柔らかな感触が広がった。倒れこんできたパパラチアを受け止めることが出来ずに、私はベッドを背後にして、彼に押し倒されているような体制になっていた。頭の横には、すらりとした彼の両手が置かれている。
「ちょ、なにを…」
なにをするの、と言いかけた私に、すでに至近距離まで近づいている彼の体が覆い被さる。眩しい情熱の色をした瞳が、いつもと同じように柔らかく微笑みかけてくる。
「…だめか?」
なんとなく、彼がしたいであろうことを察してはいたが、昨日までの職場での激務を理由にして、疲れているから、と断ろうと考えていた。…いたのだが。
「だ、だめじゃない…よ?」
つくづく自分は、彼のこの笑顔に弱いのだと実感した。
今夜は彼を受け入れる意を示したが、未だに顔から火が出そうなくらいには恥ずかしいことだと、私の身体は認識しているのか、自分でも分かるほど鼓動の音がうるさいし、顔が熱い。
「ははは、 なまえ、顔真っ赤だな。俺の髪と一緒だ。」
赤面しながら硬直する私の頬を、優しく撫でながら彼は耳元でそう囁いた。もはや私にとっては暴力に近しい行為である。
「パパラチアが、そういうことするから…」
「悪い悪い。これで許してくれよ、な?」
実に楽しそうな声でそう言うと、彼はまた、私が反応するより早く、私の唇を塞いでいた。
柔らかくて、滑らかな感触が口元を包む。思わず目を閉じると、口内に温かいものが侵入してくる。今までに無い感覚に唇を離しそうになる。しかし、いつのまにか頭の後ろに回されていた彼の腕によって、それは許されなかった。
それから少し経って、ようやく体と唇が自由を取り戻した。パパラチアは、ずいぶんと名残惜しそうな表情で唇を離してくれたが、私としては充分過ぎるほどだ。
「ぷは、…な、長いってばぁ…ちょっと苦しい。」
「なんたって、久しぶりだからなぁ。…ほら、自分で脱げるよな?」
そう言いつつも、私の服のボタンに手を掛けようとする彼を制止して、私はひとつひとつボタンを外して、肌を外気に晒していく。
最初の頃は自分で脱ぐことすら困難で、彼にしてもらっていたのだが、その内にそれこそ最も恥ずかしいことだと学んだので、何とか堪えている。
やっと全てのボタンを外し、開放的になった胸部に妙にいたたまれない気持ちを覚えたが、意を決して、袖から腕を抜いてベッドから投げ捨てた。その勢いでズボンもそのまま脱ぎ捨て、床に放り投げた。
「よしよし、もういいぞ。ほら、おいで。」
「……うん。」
言われたままに、パパラチアの背中に両手を回し、2人の体がぴったりと密着する形になる。
「あったかいなぁ、 なまえは。安心するよ、お前と居ると。」
「…私も、パパラチアと居れて嬉しいよ。こういう事も、ちょっと恥ずかしいけど、なんか安心するの。」
「可愛いこと、言うなぁ。…今夜は寝かせないって言ったらどうする? 」
私をぎゅっと抱き寄せて、パパラチアは少し意地悪な顔をしてそう尋ねてくる。目の前で揺れる、緋色の輝きに包まれながら私はそっと答えた。
「嫌じゃないけど、少しは寝かせてほしいかな…なんて…」
「…残念ながら、無理なお願いかもしれないな、それは…」
彼のその呟きと共に、私の胸をかろうじて覆っていた下着は取り払われてしまう。正真正銘露わになった自分の胸元に、恋人が唇を寄せるのを、私はやはり、真っ赤になって見つめているしか無かった。
「ん……、くすぐった…ひゃっ」
恥ずかしいものは恥ずかしいので、体に触れられるたびに出る声をなんとか抑えようと試みるが、両手を塞がれているし、反射的に出てしまうのでどうしようもない。
自分のものでは無いような声が喉から出る度に、パパラチアが嬉しそうにしているのが、私の心に羞恥と、ふわふわした嬉しさを作り出していく。
「…そろそろ、こっちもいいか?」
なんだかほわほわとしてきた頭に、彼の言葉が響く。ゆっくりと1回頷くと、腰の辺りにあった片手が、スルスルと下に動き、指に引っかかった下着を下ろしていく。
「ふふ、けっこう濡れてるなぁ。慣れてきたんだな、嬉しいよ。」
「い、言わなくていいからっ……はやく…」
「…はやく?」
自身の状況説明をされた恥ずかしさのあまり思わずそう口走ってしまう。しまった、墓穴を掘った可能性がある。…むしろゆっくりしてくれた方が、早く慣れることが出来るかもしれない。
「…そういう意味じゃな……う、なんでもない…」
「はは、分かった分かった。ほら、力抜いてくれ…。」
なんとか言われた通りに力を抜いて、なるべくリラックスした状態になるように心がける。小さな水音を立てて、彼の指が秘められた場所を何度も撫でた。それに合わせて意思に反し自分の体が跳ねるのが、見ていられなくなり、なまえは静かに目を閉じた。
「…ふ、あっ…あ…な、なんでっ……」
しかし、逆効果だ。視覚情報が遮断された分だけ、他の感覚に敏感になってしまうようで、先ほどよりも大きな快楽が襲ってくるのだ。
「毎回そうだよなぁ、なまえは…。別に恥ずかしがることないと思うんだけどなぁ。」
堪らず目を開けると、少し眉を下げてパパラチアがそう零す。でも、動かす手を緩めるつもりは一切ないらしい。無理です、となんとか小さな声で答えると、仕方ないな、とばかりにあの微笑みを向けてくる。
「…ほら、もういいだろ?足、開いてくれ。」
その笑顔で、そう言われると、やはり私は彼に逆らえない。
極端なくらいに恥ずかしがりの自分が少し憎い。いつか恋人に気を遣わせる事無く、この行為を楽しめるようになれればいいのに、と紅潮した顔で、ふわふわとした脳内の中、なまえは心の底からそう思った。
宣言通り、今夜は寝かせてもらえなさそうだ。
そんなことを寝室でひとり考えながら、私はベッドに体を沈ませていく。隣のお風呂場からは、未だシャワーの水音が響いている。
しばらくして、シャワーの水音はピタリと止んだ。代わりに、ドライヤーの乾いた風の音が聴こえてくる。ベッドの上で瞼を閉じて待っていると、それから15分ほど経った頃、ドライヤーの音は止んだ。すると、ガチャリとまた音を立てて、この部屋の扉のドアノブが回された。
「あれ、もう寝てるのか? なまえ。」
そのまま目を閉じて、シーツに体を預けていると、私の顔を覗き込んだのか、それとも私が少しも動いていなかったからだろうか。恋人の驚いたような、不思議そうな声が耳に届いた。
私はすぐに瞼を上げて、ゆっくりと起き上がる。目に入ったのは、あの長い髪を後ろでひとまとめにして、ふんわりと湯気に包まれている彼の姿だ。
「ね、寝てない、寝てないよ。パパラチア…」
あまり見慣れていないその格好に、少しドキドキしながら私は彼の言葉を否定する。
「そうか、それは良かった。」
すると、小さくそう呟いてから、彼はそのままこちらへ倒れこんできた。ぽふ、という音と共に背中にはシーツの柔らかな感触が広がった。倒れこんできたパパラチアを受け止めることが出来ずに、私はベッドを背後にして、彼に押し倒されているような体制になっていた。頭の横には、すらりとした彼の両手が置かれている。
「ちょ、なにを…」
なにをするの、と言いかけた私に、すでに至近距離まで近づいている彼の体が覆い被さる。眩しい情熱の色をした瞳が、いつもと同じように柔らかく微笑みかけてくる。
「…だめか?」
なんとなく、彼がしたいであろうことを察してはいたが、昨日までの職場での激務を理由にして、疲れているから、と断ろうと考えていた。…いたのだが。
「だ、だめじゃない…よ?」
つくづく自分は、彼のこの笑顔に弱いのだと実感した。
今夜は彼を受け入れる意を示したが、未だに顔から火が出そうなくらいには恥ずかしいことだと、私の身体は認識しているのか、自分でも分かるほど鼓動の音がうるさいし、顔が熱い。
「ははは、 なまえ、顔真っ赤だな。俺の髪と一緒だ。」
赤面しながら硬直する私の頬を、優しく撫でながら彼は耳元でそう囁いた。もはや私にとっては暴力に近しい行為である。
「パパラチアが、そういうことするから…」
「悪い悪い。これで許してくれよ、な?」
実に楽しそうな声でそう言うと、彼はまた、私が反応するより早く、私の唇を塞いでいた。
柔らかくて、滑らかな感触が口元を包む。思わず目を閉じると、口内に温かいものが侵入してくる。今までに無い感覚に唇を離しそうになる。しかし、いつのまにか頭の後ろに回されていた彼の腕によって、それは許されなかった。
それから少し経って、ようやく体と唇が自由を取り戻した。パパラチアは、ずいぶんと名残惜しそうな表情で唇を離してくれたが、私としては充分過ぎるほどだ。
「ぷは、…な、長いってばぁ…ちょっと苦しい。」
「なんたって、久しぶりだからなぁ。…ほら、自分で脱げるよな?」
そう言いつつも、私の服のボタンに手を掛けようとする彼を制止して、私はひとつひとつボタンを外して、肌を外気に晒していく。
最初の頃は自分で脱ぐことすら困難で、彼にしてもらっていたのだが、その内にそれこそ最も恥ずかしいことだと学んだので、何とか堪えている。
やっと全てのボタンを外し、開放的になった胸部に妙にいたたまれない気持ちを覚えたが、意を決して、袖から腕を抜いてベッドから投げ捨てた。その勢いでズボンもそのまま脱ぎ捨て、床に放り投げた。
「よしよし、もういいぞ。ほら、おいで。」
「……うん。」
言われたままに、パパラチアの背中に両手を回し、2人の体がぴったりと密着する形になる。
「あったかいなぁ、 なまえは。安心するよ、お前と居ると。」
「…私も、パパラチアと居れて嬉しいよ。こういう事も、ちょっと恥ずかしいけど、なんか安心するの。」
「可愛いこと、言うなぁ。…今夜は寝かせないって言ったらどうする? 」
私をぎゅっと抱き寄せて、パパラチアは少し意地悪な顔をしてそう尋ねてくる。目の前で揺れる、緋色の輝きに包まれながら私はそっと答えた。
「嫌じゃないけど、少しは寝かせてほしいかな…なんて…」
「…残念ながら、無理なお願いかもしれないな、それは…」
彼のその呟きと共に、私の胸をかろうじて覆っていた下着は取り払われてしまう。正真正銘露わになった自分の胸元に、恋人が唇を寄せるのを、私はやはり、真っ赤になって見つめているしか無かった。
「ん……、くすぐった…ひゃっ」
恥ずかしいものは恥ずかしいので、体に触れられるたびに出る声をなんとか抑えようと試みるが、両手を塞がれているし、反射的に出てしまうのでどうしようもない。
自分のものでは無いような声が喉から出る度に、パパラチアが嬉しそうにしているのが、私の心に羞恥と、ふわふわした嬉しさを作り出していく。
「…そろそろ、こっちもいいか?」
なんだかほわほわとしてきた頭に、彼の言葉が響く。ゆっくりと1回頷くと、腰の辺りにあった片手が、スルスルと下に動き、指に引っかかった下着を下ろしていく。
「ふふ、けっこう濡れてるなぁ。慣れてきたんだな、嬉しいよ。」
「い、言わなくていいからっ……はやく…」
「…はやく?」
自身の状況説明をされた恥ずかしさのあまり思わずそう口走ってしまう。しまった、墓穴を掘った可能性がある。…むしろゆっくりしてくれた方が、早く慣れることが出来るかもしれない。
「…そういう意味じゃな……う、なんでもない…」
「はは、分かった分かった。ほら、力抜いてくれ…。」
なんとか言われた通りに力を抜いて、なるべくリラックスした状態になるように心がける。小さな水音を立てて、彼の指が秘められた場所を何度も撫でた。それに合わせて意思に反し自分の体が跳ねるのが、見ていられなくなり、なまえは静かに目を閉じた。
「…ふ、あっ…あ…な、なんでっ……」
しかし、逆効果だ。視覚情報が遮断された分だけ、他の感覚に敏感になってしまうようで、先ほどよりも大きな快楽が襲ってくるのだ。
「毎回そうだよなぁ、なまえは…。別に恥ずかしがることないと思うんだけどなぁ。」
堪らず目を開けると、少し眉を下げてパパラチアがそう零す。でも、動かす手を緩めるつもりは一切ないらしい。無理です、となんとか小さな声で答えると、仕方ないな、とばかりにあの微笑みを向けてくる。
「…ほら、もういいだろ?足、開いてくれ。」
その笑顔で、そう言われると、やはり私は彼に逆らえない。
極端なくらいに恥ずかしがりの自分が少し憎い。いつか恋人に気を遣わせる事無く、この行為を楽しめるようになれればいいのに、と紅潮した顔で、ふわふわとした脳内の中、なまえは心の底からそう思った。
宣言通り、今夜は寝かせてもらえなさそうだ。