バレンタイン・ジュエル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2月14日の放課後。陽が傾き始めたオレンジ色の空には、桃色の雲が、穏やかで冷たい冬の風に乗せられて、ふわりふわりと漂っている。
「そういえば、今日はバレンタインデー……だね。」
なんとなくそれらを目で追っていると、私の隣をのんびりと歩く彼が、ぽつりとそう呟いた。そのまま道の先へと歩いていく彼の小さな呟きを聞いて、私もその事実に今さら気が付いた。
「……あ、忘れてた!」
チョコレート、準備してない。
「え、そうなの!?…あ、えっ!?」
まずい、と思う暇も無く、先に口が動いていた。しかし、どうやら彼も同じだったらしい。先ほどの驚きの言葉で大きく開いていた口を、バッと両手で覆い隠し、いかにもまずい、といった表情である。私が思うのもなんだが、かなり分かりやすい。
「フォス、なんか…ごめんね…? 忙しくて忘れてたよ…」
どれほど彼が、あの甘くてとろけるほんの気持ちを期待していたのかを
考えると、ギュッと胸が締め付けられるようだ。
「ううん、いいよいいよ!なまえが大変だったのは知ってるし、僕のことは気にしないで、ね?」
気にしないで、と彼は笑う。普段はヘラヘラしている彼が気を遣わせまいとしているのは痛いほど伝わってくるが、そのぶん、かえって昨日までの自分を叱りたくなる。カレンダーを見ておけば良かったのに。
「…ほんと?」
「ホントだってば!僕はなまえと一緒に居られればそれでいいの!」
にこっと歯を見せて笑う、その笑顔はとても愛おしくて、傾く夕陽よりも眩しく輝いていた。
「でも…何もあげれないのもなぁ。…そうだ!あっちのコンビニでなんか奢るよ!」
「やったー!じゃあ僕、チョコミントアイス食べる〜!」
「えっ、寒くない?」
「…寒くなったら、なまえにあっためてもらうから!」
彼の照れた笑顔から紡がれるそんな言葉で、かあっと顔が熱くなるのが分かった。いつもみたいに
軽い気持ちで、そんなこと言って!と彼の背中を叩くことも、なんだそれ、と笑うことも出来なかった。
「…じゃあ、私も、アイスにする。」
「…えっ」
「なんちゃって」
傾いた夕陽が私達を照らしている。オレンジみたいでドロっとした空の色も、2月14日も、
こんな寒い日も、悪くないな、なんて。
アイス、何味にしようかな。
「そういえば、今日はバレンタインデー……だね。」
なんとなくそれらを目で追っていると、私の隣をのんびりと歩く彼が、ぽつりとそう呟いた。そのまま道の先へと歩いていく彼の小さな呟きを聞いて、私もその事実に今さら気が付いた。
「……あ、忘れてた!」
チョコレート、準備してない。
「え、そうなの!?…あ、えっ!?」
まずい、と思う暇も無く、先に口が動いていた。しかし、どうやら彼も同じだったらしい。先ほどの驚きの言葉で大きく開いていた口を、バッと両手で覆い隠し、いかにもまずい、といった表情である。私が思うのもなんだが、かなり分かりやすい。
「フォス、なんか…ごめんね…? 忙しくて忘れてたよ…」
どれほど彼が、あの甘くてとろけるほんの気持ちを期待していたのかを
考えると、ギュッと胸が締め付けられるようだ。
「ううん、いいよいいよ!なまえが大変だったのは知ってるし、僕のことは気にしないで、ね?」
気にしないで、と彼は笑う。普段はヘラヘラしている彼が気を遣わせまいとしているのは痛いほど伝わってくるが、そのぶん、かえって昨日までの自分を叱りたくなる。カレンダーを見ておけば良かったのに。
「…ほんと?」
「ホントだってば!僕はなまえと一緒に居られればそれでいいの!」
にこっと歯を見せて笑う、その笑顔はとても愛おしくて、傾く夕陽よりも眩しく輝いていた。
「でも…何もあげれないのもなぁ。…そうだ!あっちのコンビニでなんか奢るよ!」
「やったー!じゃあ僕、チョコミントアイス食べる〜!」
「えっ、寒くない?」
「…寒くなったら、なまえにあっためてもらうから!」
彼の照れた笑顔から紡がれるそんな言葉で、かあっと顔が熱くなるのが分かった。いつもみたいに
軽い気持ちで、そんなこと言って!と彼の背中を叩くことも、なんだそれ、と笑うことも出来なかった。
「…じゃあ、私も、アイスにする。」
「…えっ」
「なんちゃって」
傾いた夕陽が私達を照らしている。オレンジみたいでドロっとした空の色も、2月14日も、
こんな寒い日も、悪くないな、なんて。
アイス、何味にしようかな。
1/2ページ