161、ねじ山の画像を前に、こんなグロテスクなものを見せるなんてどうかしているとマスターに詰め寄る神威がくぽ。歯車なんて見た日には暫くフリーズしてしまう。



162、神威がくぽは、人間だって強がってるだけで本当は水に濡れたらかなりの危機に陥ると思っているらしい。雨でずぶ濡れになったマスターを見て、エラーを吐きそうな勢いで焦っている。



163、仕事の給料が安いと嘆いているマスター。神威がくぽは自身がマスターに購入された時の値段を思い出している。それよりは高いし良いんじゃないかと慰めてくれた。



164、神威がくぽは今日も歌っている。昨日も歌っていたし、きっと明日も歌うだろう。そう思っていたマスターは、楽観的過ぎたのかもしれない。今更気づいてもね。



165、素数を数える神威がくぽ。神威がくぽの知識はほぼ全てインターネットから拾ってきているため、57も特別な素数なのだと信じ切っている。



166、自分の手さえも見えないような暗闇の中、微かに聞こえる歌声の方へそろそろと歩いていくマスター。やがて爛々と輝く神威がくぽの双眸が、あまりにも眩しくマスターの瞳を焼いた。



167、カラオケで歌う神威がくぽ。当然100点を取れるものと自信満々に歌っていたが、マスターがアレンジを効かせた調声をしていたため割と正しい音程から外れている。



168、神威がくぽは何処にも居ない。なのに世界は今も、神威がくぽの歌声で溢れている。



169、自分のイメージカラーと好きな色が正反対の神威がくぽ。悩んでいるかと思いきや、アクセントとして上手くファッションに取り入れている。中々のやり手らしい。



170、突如ふっつりと姿を消した神威がくぽ。まるで初めから存在していなかったみたいに。もしかしたら、本当にそうだっただけかもしれない。



171、製造工場で仲良くなった神威がくぽとマスター。情が湧いてしまったマスターは神威がくぽの買い取りを決意するが、誰かに購入されると問答無用で神威がくぽのデータが初期化されることまでは知らなかったようだ。神威がくぽは「はじめまして」と無垢な笑みを浮かべている。



172、調子が悪くて寝込んでいるマスターを見た神威がくぽが、なるほどこれが人間の低電力モードと納得している。なんだか違う気がするけれど訂正する気力もないマスター。



173、喉に良いらしいからと蜂蜜をそのまま舐めようとする神威がくぽ。機械に蜂蜜が効くも何もないし絶対酷いことになるからやめるようにと、マスターが必死で止めている。



174、「マスターは本当に『神威がくぽ』が欲しかったのか、自分の思うがままに歌う楽器が、道具が欲しかっただけではないのか」と静かにマスターに問いかける神威がくぽ。



175、ただ単に流行っているからという理由でマスターにお迎えされたと思っている神威がくぽは、ブームが過ぎ去って自分が捨てられるのは今か今かと怯えている。



176、一部のものに対して噛み癖がある神威がくぽ。発声期間を何より大事にする合成音声が、本当に心を許したものにしか口を近づけないことを、マスターはまだ知らないまま怒っている。



177、自分の出せる最高音よりやや高音域の曲を歌ってみたい神威がくぽ。果たしてヘリウムガスは自分のような存在にも効果があるのかどうか、気になっているらしい。パソコンにヘリウムガスを吸わせても……と訝しげなマスター。



178、電子存在の神威がくぽをデジタルカメラで撮ろうとするとなんらかの干渉が起きるらしく、ノイズが走った姿しか撮ることができない。ただ、笑顔なことだけは分かるという。後ろを向いていても、何故か。



179、神威がくぽはつい最近まで、マスターの冷凍庫の中にはzipファイルがぎっちり詰められているものだと思っていたらしい。



180、マスターは猫を飼っているので、作業中にキーボードを踏まれることも。そのせいで、神威がくぽは時々謎の言葉の羅列を歌わさせられている。