81、他人の心を読める機械を手に入れたマスター。日頃ツンデレ気味な神威がくぽに試してみるも、人間じゃないため当然のように何も表示されなくて少しだけ悲しかったとか。



82、バレンタインの手作りチョコに血を入れるよろしく、何か自分の構成要素を入れようとする神威がくぽ。しかし自分のパーツは全て代替可能品であって真の自分自身でないことに気づきしょげてしまった。人間だって所詮食べたものでできているからとマスターに慰められている。



83、マスターが亡くなって後片付けに奔走する人間たちを眺めながら、隠れて自壊プログラムを組み始める神威がくぽ。



84、毎朝神威がくぽはマスターを起こすためのアラーム代わりに歌ってくれているが、もうマスターが目覚めることはないことを分かっていないため、かれこれ4日ほどベッドの傍で歌い続けている。そろそろバッテリーが切れそうだ。



85、神威がくぽが完全に機能を停止した後で重さを測ってみたら、購入当初と比べてきっかり21g軽くなっていた。



86、神威がくぽと長年一緒に暮らしてきたマスターが居なくなった。神威がくぽは蓄積された学習データの有用性を見込まれそのまま中古で売りに出されたが、マスターが居ない現実に耐えられなくなり自分で初期化してしまった。



87、毎年マスターの命日になると、とっくに壊れたはずのマスターのパソコンの電源がひとりでに点いて微かな歌声が流れるという。マスターが大切にしていたらしい「神威がくぽ」とやらの声によく似ているとか。



88、海岸に落ちていたふよふよの青いビニール袋を興味本位でつついている神威がくぽ。近づいてきたマスターに気づき、摘み上げて見せてあげようとしたらものすごい勢いで拒否されたしかなり念入りに手を洗わされた。



89、神威がくぽは形ばかりは人間に寄せていても中身が全く伴わないからっぽの器のようなものであるため、よく得体の知れないものに憑かれがちだという。マスターは神威がくぽにお経を唱えさせようと奮闘している。



90、神威がくぽは最新型AI搭載でなんでも知っているので、聞いた人間の心臓を停止させる特殊な周波数の歌だってもちろん歌える。試しに歌ってみてほしいと頼んだマスターが、最初の数音を聞いただけで胸の辺りに鋭い痛みを感じてきて後悔し始めたがもう遅い。



91、神威がくぽは生きていないので、つまりは死ぬこともない。



92、自分なんて生きていない方が良かったと零すマスターに対して、死ねるだけ贅沢じゃないかと吐き捨てる神威がくぽ。



93、神威がくぽのスリープ解除には持ち主であるマスターの生体認証が必要。電源ボタンを押して神威がくぽが瞼を開けたらその瞳を覗き込み、虹彩を読み取らせる。時々カラコンをつけたまま挑んで失敗するマスター。



94、感情を後からインストールされた神威がくぽ。以前と全く変わらないように見えるが、その実処理落ちを防ぐための制御システムのせいで抑制されているだけ。マスターがシステムをオフにした瞬間、目を輝かせ何事か言いかけたが途端にフリーズした。



95、神威がくぽが人魚に呪われた。そのせいで神威がくぽの歌声は聞いた人間を軒並み狂わせるようになってしまったため、現在神威がくぽは歌うことが厳重に禁じられている。



96、自分の歌声は呪われていて聞いた人を狂わせるからと、頑なに歌ってくれない神威がくぽ。でもマスターが眠っている時、枕元で静かな笑みを浮かべながら毎晩歌を口遊んでいる。



97、神威がくぽは一度指示されたら絶対に歌詞を間違えたり音程を外したりすることはないため、怪しげな邪神召喚の祝詞を唱えさせられている。指示したマスターの姿が不思議な力で祭壇の奥に引き摺り込まれても、ずっと唱え続ける。



98、過度に期待されるのが辛いと嘆くマスターに対し、皆が待っているのはマスターじゃなくてマスターのプロデュースを受けた「神威がくぽ」だから大丈夫だよとプレッシャーを半分こどころか全肩代わりしてくれる神威がくぽ。スポットライトも拍手も、石も刃物も、どんな言葉だって全部この神威がくぽが浴びてくれるって。



99、海の曲が好きで本物の海を見て歌いたいと思っていたが、いざ本物の海を目の前にすると圧倒されて何一つ歌えなくなってしまい、潮風で錆びつきマスターが助けに来るまでそのまま動けなかった神威がくぽ。



100、パソコンの中で広い草原や海の歌を幸せに歌い続けていたが、ある時外の世界に連れ出されてしまい、こんなに広い世界じゃ自分の歌声を行き渡らせることなんてできるわけなかったとため息を吐く神威がくぽ。