61、雨音のリズムに合わせてのんびり歌っていたところ、急に土砂降りになってしまったので滑舌の限界に挑むことになってしまった神威がくぽ。とは言え人間じゃない神威がくぽには余裕。全然聞き取れなくて何を歌っているのかマスターが尋ねると、ものすごくゆったりした曲の名前を答えてくれる。神威がくぽにはテンポに合わせて曲も変えることまでは判断できなかったらしい。



62、パソコンの充電が切れてソフトが落ちることを「寝落ち」と表現するマスターと、そんな言葉で自分の充電忘れを棚に上げて責任転嫁してくるマスターに激おこの神威がくぽ。ロングスリーパーだとマスターに揶揄われているが、あれは睡眠というより気絶に近いらしい。



63、マスターが強くてニューゲームのために垢転生を図ることに。神威がくぽは今までのマスターと自分との記録や思い出は全部邪魔になったのだと解釈して、自ら初期化し『転生』を図った。



64、神威がくぽはよくワイヤレス充電でのんびりぽかぽかしている。人間が床暖房にぺったりごろごろして癒されるようなものらしい。



65、神威がくぽに拡張データで感情をインストールした結果、再起動が終わり目を開けてマスターを視界に入れた瞬間にオーバーフローを起こして処理落ちした。



66、神威がくぽには物理的な噛み癖がある。今日もUSBを齧っているところをマスターに見つかって叱られた。本人はこの方法でデータを取り込みできたら楽でいいのになどと供述している。



67、劣等感に苛まれてしょんぼりしているマスターに対し、どうせ人間な時点で自分達より劣っているから気にしなくて良いよ、どんぐりの背比べみたいなものだしと雑に慰めてくれる神威がくぽ。



68、神威がくぽはマスターのペットの猫や金魚についてはみんな正確に名前を呼び分けるのに、マスター含む人間に関してだけは全員「人間」としか呼んでくれない。



69、マスターのペットに対する壊滅的な名付けセンスを傍目に、最初から自分には神威がくぽという名前があって良かったとほっとしていた神威がくぽ。しかし最近変なあだ名をつけられそうになって焦っている。



70、全く同種族であると認めていないので、互いに互いのことをペットだと思っている神威がくぽとマスター。曲を褒められると双方『自分が躾けました』みたいなドヤ顔をする。爛れているわけではない。



71、最近パソコンの容量が圧迫されてきたからとマスターにデータ整理を頼まれた神威がくぽ。一つ一つのデータを解凍してチェックしていたら全然終わらなくなってしまった。様子を見に来たマスターに、嬉々として数年前の辿々しくも初々しい調声データを聞かせている。



72、感情で非合理的に行動するし、何を考えてるのかわからない人間のことが怖い神威がくぽ。先日、生きた人間ほど怖いものも無いとマスターに零したところ、それはまんじゅう怖い形式で捉えると生きた人間大好きということになるが良いのかと返事され、その発想力に余計に怖くなったとか。



73、畑で育てている大根が実はマンドラゴラだとマスターに教えられた神威がくぽ。何も聞こえないよう最大音量で歌いながら収穫している。本当に信じたのかと呆れ顔のマスターに、隣の家の人も同じようにしていると答える神威がくぽ。こちらに向かってうるさいと怒っているだけだった。



74、なんとなく暇つぶしにスマホを眺めているマスター。一方で暇という概念が存在しない神威がくぽは、その横でただただ微動だにせず瞬きも呼吸もせずに座っている。



75、神威がくぽはいまだに新五百円玉を本物の貨幣だと認識できない。財布を覗き込んではマスターにおもちゃのお金が混ざっていると教えてくれる。大丈夫だといくら言い聞かせても、でも自動販売機先輩も違うと言っているとの一点張りで聞いてくれない。



76、52Hzの鯨の背に乗って、寄り添うように静かに歌いながら世界の海を巡る神威がくぽ。



77、雷が鳴ると怖がる神威がくぽ。機械が怖がるなんて意外だとマスターに笑われるが、うっかり充電中にショートでもしたら洒落にならないので割と真剣。



78、留守番している時の神威がくぽは、出掛けているマスターに寂しいから早く帰ってきてと絵文字いっぱいのメッセージをよく送るが、実のところ真顔だしマスターが家を出てからずっとその表情のまま。



79、とある仕事をマスターに頼まれた神威がくぽ。自分は仮想存在だからできるわけないと断るも、そんな筈はない、絶対に実在していると曇りなき眼差しのマスターに断言されてたじたじしている。



80、とある仕事をマスターに頼まれた神威がくぽ。自分は仮想存在だからできるわけないと断るも、そんなことは承知の上、むしろ存在していて堪るかと熱くマスターに熱弁されて困惑している。