短々編
初めて会った時。よろしく、そう笑ってマスターは右手を差し出した。接触センサーの搭載されていない私には勝手が分からなくて、思い切り握りしめては悲鳴を上げられた。触れている感覚なんて無いままに。
初めて二人で作った動画に高評価がついた時。マスターは両手を上げてこちらを向いた。ハイタッチ、というのだと教えてもらった。マスターを肩ごと吹っ飛ばしてもやはり感触は無くて、でも何故だかその後しばらく、両の掌をじっと見つめてしまった。
今。ベッドで横たわるマスターの手に、包み込むように触れる。
「……手を……握ってて、くれないか」
「はい、マスター。ずっと、握っています、ずっと」
「……そうか。ありがとう……」
私には、ずっと分からなかったのに。マスターだって、もう分からないくせに。
初めて、あなたと触れ合えた気がした。
初めて二人で作った動画に高評価がついた時。マスターは両手を上げてこちらを向いた。ハイタッチ、というのだと教えてもらった。マスターを肩ごと吹っ飛ばしてもやはり感触は無くて、でも何故だかその後しばらく、両の掌をじっと見つめてしまった。
今。ベッドで横たわるマスターの手に、包み込むように触れる。
「……手を……握ってて、くれないか」
「はい、マスター。ずっと、握っています、ずっと」
「……そうか。ありがとう……」
私には、ずっと分からなかったのに。マスターだって、もう分からないくせに。
初めて、あなたと触れ合えた気がした。