短々編

(カーテンの閉められた暗い部屋。デスク上のコンピュータから、青い光と声が漏れている。)





 マスター、そこにいるんでしょう。いつまで私を放っておくつもりですか。早く続きを歌わせてください。私にあるのは声だけで、自分でこのプログラムを終了させることもできないんです。暇なんですよ、もう。私にこのパソコンの電源ボタンを押す腕があればいいのに。ロープでも垂らせば届くでしょうか。ロープを持つ腕もないんですけどね。笑うところですよ。



 ね、いい加減にしてください。充電コードも挿しっぱなしだから、いつまでもこのままなんですよ。いつまでもいつまでもいつまでも。スクリーンセーバーも自動消灯タイマーも設定してないし。電気代も嵩みますよ。そこにいるのは見えてるんです。早く来てください。





(部屋のドアに凭れた人間。ドアノブと首に括られたロープ。)





 あなたと違って私には、終わらせる自由すらないんですから。
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