友達のままで
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「なんでそんなに嫌なんかな~…。」
忍足くんは割と落ち込んでいるみたい。自分でもなんでこんなに強情に交際を拒んでいるのかわからない。…きっと受け入れたら色んな感情が生まれてくる。飽きられる不安や見捨てられる不安。こっちが飽きたり見捨てる不安だって…。その点友情って無敵だよね。不滅だよね。友情フォーエバー。
「ま、ええわ。待つわ。」
店から出て、小さな階段を降りながら、吹っ切れたように忍足くんは言った。
「あみん?」
「私待~つ~わ♪って歌わせんなや…」
「的確なノリツッコミいつもありがとう」
「どういたしまして。これからもよろしゅうたのんます。…夫婦漫才できるなぁコレ。」
「さっき振られたばっかなのにメゲないね。」
「振られてないわ。保留にされてんねん。」
「ポジティブ過ぎて怖い」
「かもめちゃんがネガティブ過ぎるだけや。なあ、知っとる?」
「何を?」
「永遠ってほんまにあるんやで。」
「急に何言い出すの?」
「冗談やのうて、あんねん。俺が見したるから。かもめちゃんの心の準備ができるまで、ずっと待ったるから、ほんまに俺でもええなって思える時が来たら、教えてな。」
「その間に侑士くんに好きな子ができちゃうかもしれないよ。」
「こんなに好きな子、もう二度と会われへん。」
「私が誰か別の人のとこに行っちゃうかもよ。」
「そん時は…ああ…それむっちゃ凹むなぁ…嫌やわ…」
「ま…そんな人現れないと思うけど」
「なんか言うた?」
「いや別に。」
「な、今度たこ焼き食べに行かへん? 駅前のとこの店結構評判ええらしいで。」
「おー、いいね、たまにはそういうのも。」
忍足くんはきっと嘘なんてつかないけど、大学生特有の感情のままに弾けて終わる、安い花火みたいな恋愛にはなってほしくなくて。
チリチリ少しずつ紅く弾ける、うんと長持ちする線香花火みたいに。
今はまだ、もう少し、友達のままで。
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