友達のままで
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今日はお店は小さいけど雰囲気が良くて、安くておいしいイタリアン。
「今度この映画行こうと思ってて、前売り買おうと思うんだけど、忍足くんも観る?」
「おう、観る観る。頼んでもええか。」
「じゃ、一緒に買っちゃうね。」
「な、ていうか、塩谷ちゃん。」
「ん、何?」
「俺たちもう付き合うてしまったらええんやないかな。」
「げほっ ゴホ…。」
食べかけのパスタが喉に詰まった。忍足くんが差し出してくれたお冷を素直に受け取る。
「かなり今更な質問やけど、塩谷ちゃんて彼氏居てるん?」
「ううん。」
「せやったら、俺で良ぅない?」
「良うない、良うない。…そういう妥協点みたいに自分を候補に入れちゃだめだよ。」
「ジブンのそういうマジメな所好きやで。」
「はいはい。」
「真面目に聞いてくれんか。好きな人でもおるん?」
「ないない。…いや、マジな話しさ、付き合うって、意味がよくわかんないんだよね…。」
「彼氏居たことないのん?」
「そういうふうになりかけたことはあったよ。でも付き合うってなった途端、相手の所有物扱いされたり、雑に扱ってもいいことになったり、自由じゃなくなったりして、嫌になっちゃったの。それからは何もなし。」
「ほうか…どのくらい。」
「もうずっと。」
「ずっとて、ずっと?…今立候補したら塩谷ちゃんの記念すべきファースト彼氏になれるっちゅうこと?」
「あのねぇ…。」
「ダメな理由がわかれへんねんけど。俺は塩谷ちゃんを自分の所有物みたいにはせぇへんで。今とあんまり変わらん。」
「だったら今のままでいいじゃない。」
「だからそうやのうて!…俺のこと嫌いなん?」
「好きだよ…そこそこね。」
「そこそこがなかったら嬉しかったわ…」
「…もし、忍足君と付き合ったらどうなるの?」
「まぁ…まず、触れ合っても良いようになるわなぁ。手ぇ繋いだり。抱きしめたり。」
「へ〜え…」
「何や、ジトってした目ェやな…。」
「…スケベ」
「人聞き悪いなぁ、当たり前やんか、好きな子に触れたいっちゅうんは、お嬢さん、性欲って知ってるか?!」
「声大っきいなぁ…話が脱線したわよ、他には?」
「せやな、週末に一緒に出かけたり、お互いの誕生日を祝ったりするな。」
「それは友達でも出来ます。」
「…ええ性格しとんなホンマ…あとは、せやな、名前や。」
「名前?」
ぺらぺらと喋っていた忍足君は急に人差し指を唇に当てた。目をパチクリさせると、とびきりの耳の奥をくすぐるような低音で囁いた。
「かもめ。かもめちゃん。」
思わず頬が熱くなる。それは流石に反則じゃない?
「…っ」
「付き合うたら、下の名前で呼びあうんや。よんでみ、侑士って。」
「ゆ…ゆーし。」
「棒読みやな。アレ⚪︎サでももうちょい感情込めて呼ぶで。」
「…ゆっ…………侑士…」
「…こらアカン、俺がやられてまう。」
「っ…ていうかやっぱり下の名前で呼び合う友達だっているじゃん!却下!」