文化祭
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「ここが天文部か。」
「暗幕、ここから入るみたい。」
促されて背をかがめて教室に入ると、満点の星空が天井から床下まで一面に広がっていた。
天文部のプラネタリウムは噂通りのクオリティで、静かにオルゴールの音が流れている。沈黙を破るのが憚られて、でもこの感動を無言で見ていられるほど静かではいられなくて。目が合うと、相手も全く同じ様子だったので、思わず笑いがこぼれて、慌てて口を抑える。
どうやらアロマが炊かれているようで、柑橘系の爽やかないい香りがする。
教室の隅には何脚かの椅子と、最近流行りのビーズクッションが備え付けてあり、2人で並んで腰掛けた。
「きれいじゃの。」
ささやくと、かもめはこくり、こくりと何度も頷いた。
「どうしよう。今日、ずっと楽しい。」
「まだ今日は終わっとらんぜよ。」
「うん…そうだね。ここ、暗くていい気持ち。寝ちゃいそう。」
「ここは仮眠室じゃないぜよ。」
「仁王だって、言いながら寝る姿勢じゃん。」
「やばいのう…ここ。」
「やばいねぇ…」
ほんのしばらくうたた寝を楽しんで、小さなプラネタリウムを後にした。
急に外に出ると光が眩しい。いくらも開かない瞼で瞬きを繰り返していると、後ろから声がした。
「あの…塩谷さんですか?」
声を掛けてきたのは下級生の男子5人。緊張した様子だ。
「えっと…?」
面識はないようで、かもめは首を傾げた。
「今日ステージに出てましたよね!」
「ああ、うん。見ててくれたの?」
「はい!めちゃくちゃ良かったです!」
「ありがとう。」
「あの、よかったら写真とか…」
「僕サインが欲しいです!」
「えっ…あの、ええと…」
俺は自分が掛けていたメガネをかもめへ無理矢理かけさせて、手を握った。
「悪いがこのアイドルはプライベートタイムじゃ。スキャンダルは困るんでの。」
「…あはは! という訳で、ごめんね。また今度。」
パタパタと音を立てて階段を駆け下りる。
「仁王、Pみたい。」
「P?」
「プロデューサー!」