360円
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仁王くんが私の肩揉みを申し出てくれた。
「どうせ背中に『バカ』って書いたポストイットとか貼り付けるつもりでしょう?」
「…バレたか。」
仁王くんの手には、バカのポストイットでこそないものの、どこからか剥がした値段シール。360円。仁王くんはちろりと舌を出した。
「仁王くんのやりそうなことはお見通しなのよ。」
「ピヨ。…そんじゃ、見抜かれた罰に肩を揉んでやろうかのう。」
「結局揉むのね、私の肩を。」
「なんじゃ、嫌か?」
「イタズラしないって約束してよね。」
「詐欺師に約束取り付けるたぁ、おまんもやるのう。」
正直誰か揉んでもらえるならそんなに嬉しいことはない。椅子をいいあんばいに配置して、彼に背中を向ける。大きな手が肩に乗って、心臓が跳ねる。
「…そんなにビクつかんでええじゃろ。」
「いや、反射で…」
好きな人に触られてドキドキして、とはとても言えない。彼の手はやわやわと迷うように背中をまさぐって、気持ちいいというよりはくすぐったかった。しばらくすると、力加減を覚えた彼の手が頼り甲斐のあるものに思えてきた。手の温度が心地よくなってくる。
「お客さん、凝ってますねぇ。」
「ああ〜先生、そうなんですよ。ばっちり解してくださいね。」
そんなごっこ遊びみたいな軽口が心地よい。
彼はやっぱり器用なようで、どんどん上手になっていく。気持ちのいい所を伝えると、必ず覚えて違う場所を探りながら思い出したように何度もそこを探ってくる。心地良くてもうずっとそうしていて欲しくなる。
なんだか、こんなのって、まるで、ちょっと…。
「…エッチっぽいのう?」
「エッ…、、、、!!!」
私の思考を読んだのかと聞きたくなるようなセリフで思わず飛び上がった。顔に血液が上って湯気でも出そうなほど熱い。
「…そ…そんなこと言われたら…。」
「…そんなこと言われたら?」
「…イイって言いづらいじゃん…」
「っぽいってだけじゃ。っぽいって。…そんなに反応されたら俺もよう揉めん。」
「なんか急に恥ずかしくなってきちゃった…」
「まぁまぁ、座りんしゃい。どうせ俺しかおらん。…それとも、もう止めにするか?」
なんだか意地悪な聞き方をする。でももう、あの肩揉みを知ってしまったら、止めてなんて言えないのだ。
「…も、もうちょっとだけ…して…」
***