マジックアワー
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「わぁ、マジックアワーだ。」
流れる景色の向こう、太陽の沈んだ空は、青・ピンク・オレンジの鮮やかなグラデーションに染まっている。
「今日仁王と一緒で良かった。」
「ん?」
「こんなに綺麗な景色でも、1人だと思い出に残らないから。…オマケに今日はおサルも貰ったし。」
カバンにつけたソックモンキーとやらを撫でながら塩谷は笑う。思わずドキッとして、照れ隠しにスマホを出して、外の景色を何枚か写真に収めた。
なかなか綺麗に撮れたので、メッセージアプリのアイコンにするか、と開くと、知らない連絡先からの通知が3件。
「げ。」
思わず呟くと、塩谷がどうしたの?というように覗き込んできた。
「アイツじゃ、アイツ。」
「あ、えっと、白城さん…?」
見ても大丈夫なの?と小さな声で聞くので、頷いて端末を手渡した。
内容は要するに、告白して断られたが諦めがつかないので人づてに連絡先を聞いたこと、これから少しずつで構わないので、自分のことを知ってほしいというようなことが書かれていた。書き方は丁寧だが、要求は一方的すぎる。
「おおう…これは中々、困ったね…」
「何でロクに喋ったこともないヤツにこんなに熱を上げられるんじゃ…」
「だね…しかもなんか、下手に刺激したらヤバそうな感じ…」
「…塩谷、お前さん降りる駅。」
「あっ…ヤバ…。」
塩谷は慌ててドアに向かった。
「なんかあったら私とこ電話してね!」
その声はドアがしまった途端うんと遠くにいってしまって、心配そうに手を振る塩谷はだんだん小さくなっていった。ため息をついて、メッセージに返信した。
『気持ちに応えられなくて悪いが、お前さんとのやりとりは出来ん。』
『俺には他に、好きな子がおるから』
マジックアワーを終えた空は黒く、さっきの鮮やかさが夢だったようにすら思う。
アイツに対するこの気持ちを、いつかはちゃんと伝えられるだろうか。