屋上、或いは透明な壁の向こう
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雨は数日降り続いて。胸の痛みにヤケになった俺は、あまり冷静でない手段に出た。
「やぁ、塩谷さん。」
「あれ、柳生くん…?」
「何ですか、狐につままれたような顔して。」
相棒へのイリュージョン。試合でも無いのにこんなことをして、きっと柳生にバレたら五月蝿く迷惑がられるだろうが、背に腹はかえられない。
「…ううん。いつもは2週にいっぺん、水曜日にしか来ないじゃない。多めに借りて、返却日にまとめて返す。」
「ええ、今日はただ、次に読むものを探しに。」
「ふぅん。」
塩谷はじっくりこちらを眺めていたが、目線を書棚に戻した。返却された本を整理しているらしい。コイツは図書委員だったのか。屋上にいない日の真相を一つ知った。ワゴンを押しながら本を一つ一つ戻して行く。
「…幸村くん、戻ってきましたね。」
「そーですね。」
「気のない返事ですねぇ。昔のお昼の番組ですか。」
「そーですね。」
「塩谷さんは、幸村くんとは仲が良いのですか?」
「どうかなぁ。」
高い位置に本を戻そうと背伸びをする塩谷の手から本を受け取って、代わりに間に差し込んだ。
「友達…だよ。」
「友達。」
「そう。」
「あまり接点が見えませんが。」
「まあ、きっかけは色々ね。彼のことは尊敬してるし、どういう人だか良く知ってる。…うん、友達って言ってもいいんじゃないかな。」
自分を納得させるように、顎に人差し指をあてて塩谷は答えた。
「僕と貴女は?」
「友達?」
「貴女と柳くんは?」
「多分、友達? …二人とも私の大切な図書館仲間だよ。」
「丸井くんと貴女は?」
「クラスメイトかな?」
「…貴女と、仁王くんは?」
塩谷は薄く微笑んで、首を傾げて囁いた。
「さぁ、どう思う?」
***
「やぁ、塩谷さん。」
「あれ、柳生くん…?」
「何ですか、狐につままれたような顔して。」
相棒へのイリュージョン。試合でも無いのにこんなことをして、きっと柳生にバレたら五月蝿く迷惑がられるだろうが、背に腹はかえられない。
「…ううん。いつもは2週にいっぺん、水曜日にしか来ないじゃない。多めに借りて、返却日にまとめて返す。」
「ええ、今日はただ、次に読むものを探しに。」
「ふぅん。」
塩谷はじっくりこちらを眺めていたが、目線を書棚に戻した。返却された本を整理しているらしい。コイツは図書委員だったのか。屋上にいない日の真相を一つ知った。ワゴンを押しながら本を一つ一つ戻して行く。
「…幸村くん、戻ってきましたね。」
「そーですね。」
「気のない返事ですねぇ。昔のお昼の番組ですか。」
「そーですね。」
「塩谷さんは、幸村くんとは仲が良いのですか?」
「どうかなぁ。」
高い位置に本を戻そうと背伸びをする塩谷の手から本を受け取って、代わりに間に差し込んだ。
「友達…だよ。」
「友達。」
「そう。」
「あまり接点が見えませんが。」
「まあ、きっかけは色々ね。彼のことは尊敬してるし、どういう人だか良く知ってる。…うん、友達って言ってもいいんじゃないかな。」
自分を納得させるように、顎に人差し指をあてて塩谷は答えた。
「僕と貴女は?」
「友達?」
「貴女と柳くんは?」
「多分、友達? …二人とも私の大切な図書館仲間だよ。」
「丸井くんと貴女は?」
「クラスメイトかな?」
「…貴女と、仁王くんは?」
塩谷は薄く微笑んで、首を傾げて囁いた。
「さぁ、どう思う?」
***