共謀の終わりと友達のはじまり
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5限目は科学。映像資料を見るだけの、ねむいねむい授業。既にクラスメイトは思い思いの場所に席を取っている。…戦線布告だ。透明な壁を体ごと突き破るように、重い足を一歩一歩動かして、すみっこの後ろの方に陣取る塩谷の隣に席を移した。情けなく心臓が暴れる。
「ピヨ」
「…何。」
「言ったじゃろ。」
「…。」
塩谷は腕を組んだまま、こちらには目も暮れずスクリーンを睨みつけている。スクリーンにはでろでろの火山が煌々と移し出され、教室が薄暗いのも相まって、やけに熱そうだ。声を潜めて、囁きかける。
「こんな退屈なVTRじゃ。俺が隣におったほうが退屈せんじゃろ。」
「どうだか。」
柳生や柳や、幸村が、俺よりも先に彼女に気付いていたことは悔しいが、それならば、これからの時間のありったけで取り戻すまで。
前の方に座る数人の女子がチラチラとこちらを振り向き、こそこそと話し始めた。
腕組みをした塩谷の腕が軽く震えていることに気付く。
「…怖いんか。」
ようやくこちらを見た。困ったように、でも不敵にも見える笑みで、ニヤリとわらう。
「ちょ〜、こわい。…でも、頑張るよ。私ももう少し、君の共犯者でいたいから。」
「ほう、見直した。」
「でも、もう、今話しかけるのはやめてくれる?…耳、だめなの。」
薄暗がりで分かりにくいが、かすかに耳が赤くなっている。彼女は自分の耳たぶを軽く引っ張りながら答えた。加虐心がジワジワと湧く。
「そーいうこと言われると余計にしたくなるって分からんか?」
「…もう返事しないから。」
全く、お前さんには飽きんよ、本当に。
暗闇で耳を巡る攻防が密かに続いた。
***