共謀の終わりと友達のはじまり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…っは!」
「おう…ようやく起きたか。」
「今何時?」
「もうすぐ掃除の時間が終わるのぅ」
「…なんで起こしてくれなかったの。」
「気持ちよさそうに寝とったから。」
「…掃除、サボっちゃった。」
「まぁ、偶にはええじゃろ。」
「君は常習犯っぽいよね。」
「ノーコメントナリ。」
ふわっと風が通り抜けて、木々を揺らした。
「随分気持ちよさそうに寝とったのう。寝不足か?」
「そんなとこ。…色々考えてたら寝付けなくて。昔の夢とか見ちゃって。」
「なんかしんどそうじゃな。」
無意識に彼女の頭を撫でていた。初めて実際の彼女の体に触れた瞬間だった。時差で心拍数が上がってくる。柔らかい髪の毛。塩谷はくすぐったそうに笑う。
「なんで撫でるの?」
「なんでじゃろうのう。…あんまり一人で抱え込むのは良くないぜよ。俺に話してみんしゃい?」
「ペテン師になんか、話さない!」
塩谷は楽しそうにクスクスと笑う。フェンスの外に視線を投げて、ぽつりと続けた。
「…誰も傷ついて欲しくないのに、何で何もしなくても、いつも誰かを傷つけちゃうんだろう。」
「詐欺師に哲学の相談か?」
「ちがうよ、今のは独り言。」
塩谷はクスクスと笑いながら続けた。なんだか、無理して笑っているように見えた。
「誰も傷つかんでも、お前さんが傷付くのはいいのか?」
「痛いとこつくなぁ…」
「独り言じゃ。」
塩谷は目を丸くして、かしゃりと音を立ててフェンスにおでこをくっつけた。
「たしかにね…なんでだろ。私がみんなを傷付けるのはだめなのに、みんなが私を傷付けるのはふつうなの、考えてみれば、変だね。」
***