屋上、或いは透明な壁の向こう
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赤くて日に焼けた三角コーンに、黄色と黒の、いかにも警戒色なポール。
昼飯に買った焼きそばパンを片手に、屋上へと続く階段を登ると、思いがけないものが行手を遮った。そう毎日通っている訳ではないものの、立ち入り禁止になっている事なんて初めてだ。しかし、今更教室に戻るのも癪だ。ダメ元でドアを押してみる。改修工事か何かか?
あたりを見回すが、とくに変わった様子はない。いつもと同じ屋上。
これなら別に入っても構わないか、と、日陰に陣取って、ぱり、と小さな音を立てて袋を開いた。冷たい風が髪を撫でていく。気温はそれほど高くなく、空は突き抜けるように青い。
味の濃いパンにむしゃむしゃと齧り付いてから、手についたパン屑を払いながら横になる。
「いい天気じゃのう。」
思わず呟いた。騒がしい教室から束の間の逃避行。流れる雲を眺めながら、うつらうつらとしていると、不意に女の呻き声が聞こえた気がした。
「んん〜っ…」
自分が寝転んでいた黒い影に、にょきりとしなやかに伸びをする女の影が増えた。思わず身を隠すと、女はふわふわと欠伸をし、慣れた様子で梯子を降りて、ご丁寧に立ち入り禁止のポールを片付けて出て行った。
「…ピヨ」
あれは確か、同じクラスの塩谷。話したことはないが。
なかなかの手口だ。次から昼寝をする時は真似してやろうと企んでいると、昼休みを終えるチャイムが鳴った。
***
昼飯に買った焼きそばパンを片手に、屋上へと続く階段を登ると、思いがけないものが行手を遮った。そう毎日通っている訳ではないものの、立ち入り禁止になっている事なんて初めてだ。しかし、今更教室に戻るのも癪だ。ダメ元でドアを押してみる。改修工事か何かか?
あたりを見回すが、とくに変わった様子はない。いつもと同じ屋上。
これなら別に入っても構わないか、と、日陰に陣取って、ぱり、と小さな音を立てて袋を開いた。冷たい風が髪を撫でていく。気温はそれほど高くなく、空は突き抜けるように青い。
味の濃いパンにむしゃむしゃと齧り付いてから、手についたパン屑を払いながら横になる。
「いい天気じゃのう。」
思わず呟いた。騒がしい教室から束の間の逃避行。流れる雲を眺めながら、うつらうつらとしていると、不意に女の呻き声が聞こえた気がした。
「んん〜っ…」
自分が寝転んでいた黒い影に、にょきりとしなやかに伸びをする女の影が増えた。思わず身を隠すと、女はふわふわと欠伸をし、慣れた様子で梯子を降りて、ご丁寧に立ち入り禁止のポールを片付けて出て行った。
「…ピヨ」
あれは確か、同じクラスの塩谷。話したことはないが。
なかなかの手口だ。次から昼寝をする時は真似してやろうと企んでいると、昼休みを終えるチャイムが鳴った。
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