2人の幸福論
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「んじゃ、カンパーイ!」
「乾杯」
カチッとジョッキとお猪口を合わせてそのままグイッと喉にビールを流し込めば、キンキンに冷えたビールが喉を滑っていく感触がなんとも言えない満足感を生み出してくれる。半分近くまで飲んだところでようやく口からジョッキを離しぷはーっと息を吐きながらテーブルにガンっと音を立てながら置く。そんな私の様子を日本酒が入ったお猪口を傾けながら見ていた硝子は愉快気に笑った。
「良い飲みっぷりだねぇ」
「そりゃそうでしょ、久しぶりのお酒だもの。硝子とだって会うのいつぶりか分からないじゃん」
「ここんとこバタついてたからねーお互い」
「特に硝子が、でしょ。私程度の術師の代わりはいっぱいいても反転術式が使える硝子の代わりはそう居ないんだから」
「代わりはいるとか言ったら五条に怒られるよ」
「だって事実じゃない」
アルコールが入ったことと気心の知れた友人相手とあって口調がいつもより乱雑になっている気がする。硝子の呆れたような溜息が刺さって痛いのを流してまたビールを煽ればあっという間に空になってしまい、すかさず2杯目を注文する。
「にしてもほんとよく続いてると思うよ」
「術師の話でしょ?それは私もびっくりしてるよ。とっくに死ぬか怪我で引退とかなってると思ってた」
「じゃなくて五条との話。あの性格ねじ曲がってる野郎とよくまだ恋人で居られてるなって」
「あ〜そっちね。まぁ、悟の性格に関しては慣れっていうか、諦めっていうか・・・」
「上層部とかの外野が煩いんじゃない?あれでも一応御三家の人間な訳だし」
「そりゃ色々言われてるよ。事ある毎に"五条の恋人""なんであんな平凡な女が"って。ほんと口だけは達者で喧しいったらありゃしない!」
「はは、言うね」
どうやら私が悟の恋人だという話は呪術界に知れ渡っているらしく、初めて会う人間にも奇異の目で見られることばかりだ。悟と恋人になるというのはそういう目にも晒されることだと覚悟はしていたけれど、だからってストレスが溜らない程図太くはなれない。
「腹は立つけどさ、私が五条家の当主の恋人として見劣りしてるのは事実だし。その所為で悟だって影で色々言われてるみたいだしね。やっぱり気にはするよ」
「辛くなったりしない?一緒にいるの」
「少し、なることもあるかな。私がもっと強かったり、ないものねだりだけど良家の出身だったりしたらこんなに言われなかったのかなって。そりゃ私は不幸になってもいいって覚悟出来てるけど、悟は違うじゃない?・・・やっぱりさ、好きな人には幸せになって欲しいよ。沢山の人間に祝福されるような、そんな幸せを手にして欲しいって」
悟は私を幸せにすると言ってくれたけれど、それが悟の幸せにも繋がるとはどうしても思いきれないでいる。もし認めてしまったら何かが終わってしまうような、そんな妙な予感がするから。
店員が運んできたビールをまた勢いよく煽る。最近の忙しさと寝不足のせいかまだあまり飲んでいないのに今日は随分と酔いが回る。
「聞いてよ、悟さ、私にウエディングドレス着せるって言ったんだよ?似合わないにも程があると思わない?馬鹿みたい。・・・硝子?なんでさっきから黙ってんの?」
「んーいや、澪も大概五条にベタ惚れしてんだなぁって」
「はぁ?何言ってんの?好きじゃなきゃ付き合ってる訳ないじゃん」
私がそう言うと硝子は面食らったように目を見開いた後に「へぇー?」としたり顔をして笑った。
「それ、五条に言ったことあんの?」
「それって?」
「好きだってこと」
「んー・・・そーいえば言ったことない、かも。告白された時も"不幸になってあげる"って返したし」
「言ってやれば?五条、馬鹿みたいに喜ぶと思うけど」
「やだよ今更。柄じゃない」
指摘されたからか急に襲ってきた気恥しさをジョッキを煽ることで誤魔化してみる。そんな私とは対称的に硝子は何かを企んでいるかのようにニヤニヤと笑っていた。
「乾杯」
カチッとジョッキとお猪口を合わせてそのままグイッと喉にビールを流し込めば、キンキンに冷えたビールが喉を滑っていく感触がなんとも言えない満足感を生み出してくれる。半分近くまで飲んだところでようやく口からジョッキを離しぷはーっと息を吐きながらテーブルにガンっと音を立てながら置く。そんな私の様子を日本酒が入ったお猪口を傾けながら見ていた硝子は愉快気に笑った。
「良い飲みっぷりだねぇ」
「そりゃそうでしょ、久しぶりのお酒だもの。硝子とだって会うのいつぶりか分からないじゃん」
「ここんとこバタついてたからねーお互い」
「特に硝子が、でしょ。私程度の術師の代わりはいっぱいいても反転術式が使える硝子の代わりはそう居ないんだから」
「代わりはいるとか言ったら五条に怒られるよ」
「だって事実じゃない」
アルコールが入ったことと気心の知れた友人相手とあって口調がいつもより乱雑になっている気がする。硝子の呆れたような溜息が刺さって痛いのを流してまたビールを煽ればあっという間に空になってしまい、すかさず2杯目を注文する。
「にしてもほんとよく続いてると思うよ」
「術師の話でしょ?それは私もびっくりしてるよ。とっくに死ぬか怪我で引退とかなってると思ってた」
「じゃなくて五条との話。あの性格ねじ曲がってる野郎とよくまだ恋人で居られてるなって」
「あ〜そっちね。まぁ、悟の性格に関しては慣れっていうか、諦めっていうか・・・」
「上層部とかの外野が煩いんじゃない?あれでも一応御三家の人間な訳だし」
「そりゃ色々言われてるよ。事ある毎に"五条の恋人""なんであんな平凡な女が"って。ほんと口だけは達者で喧しいったらありゃしない!」
「はは、言うね」
どうやら私が悟の恋人だという話は呪術界に知れ渡っているらしく、初めて会う人間にも奇異の目で見られることばかりだ。悟と恋人になるというのはそういう目にも晒されることだと覚悟はしていたけれど、だからってストレスが溜らない程図太くはなれない。
「腹は立つけどさ、私が五条家の当主の恋人として見劣りしてるのは事実だし。その所為で悟だって影で色々言われてるみたいだしね。やっぱり気にはするよ」
「辛くなったりしない?一緒にいるの」
「少し、なることもあるかな。私がもっと強かったり、ないものねだりだけど良家の出身だったりしたらこんなに言われなかったのかなって。そりゃ私は不幸になってもいいって覚悟出来てるけど、悟は違うじゃない?・・・やっぱりさ、好きな人には幸せになって欲しいよ。沢山の人間に祝福されるような、そんな幸せを手にして欲しいって」
悟は私を幸せにすると言ってくれたけれど、それが悟の幸せにも繋がるとはどうしても思いきれないでいる。もし認めてしまったら何かが終わってしまうような、そんな妙な予感がするから。
店員が運んできたビールをまた勢いよく煽る。最近の忙しさと寝不足のせいかまだあまり飲んでいないのに今日は随分と酔いが回る。
「聞いてよ、悟さ、私にウエディングドレス着せるって言ったんだよ?似合わないにも程があると思わない?馬鹿みたい。・・・硝子?なんでさっきから黙ってんの?」
「んーいや、澪も大概五条にベタ惚れしてんだなぁって」
「はぁ?何言ってんの?好きじゃなきゃ付き合ってる訳ないじゃん」
私がそう言うと硝子は面食らったように目を見開いた後に「へぇー?」としたり顔をして笑った。
「それ、五条に言ったことあんの?」
「それって?」
「好きだってこと」
「んー・・・そーいえば言ったことない、かも。告白された時も"不幸になってあげる"って返したし」
「言ってやれば?五条、馬鹿みたいに喜ぶと思うけど」
「やだよ今更。柄じゃない」
指摘されたからか急に襲ってきた気恥しさをジョッキを煽ることで誤魔化してみる。そんな私とは対称的に硝子は何かを企んでいるかのようにニヤニヤと笑っていた。