ハッピーエンドに手つなぎゴール
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赤い帽子のトレーナーと初めて出会ってから数ヶ月。その間、彼がこのポケモンセンターを訪れることは無かった。
トレーナーとして色々な町を旅をしているのだろうからそれも当然のことだ。それに例えトキワシティを訪れたとしてもポケモンが傷付いていなければポケモンセンターに寄ることもないだろうし。
彼が来なくても仕方がない理由をいくつ数えてもあの日見た彼の赤い瞳がずっと脳裏から離れずにいた。そんな私の願いを神様が届けてくれたのだろうか。数ヶ月待ち焦がれていた赤い帽子のトレーナーがポケモンセンターの入口から入ってくるのが見えた。
彼だ、間違いない。
あの日と同じ格好をした彼はやっぱり同じように目線を下に向けながら私の立つカウンターまで歩いてくる。あぁ、どうしよう。ちゃんと仕事をしなくちゃいけないのにまた会えた嬉しさが抑えきれずに顔が緩んでしまう。どうか誰も今の私を見ていませんように!
そんな葛藤をしている内に気付けば目の前まで来ていた彼にお決まりの台詞を言わなければと口を開く。
「よ。ようこそ!ポケモンセンターへ。ここではポケモンの体力回復をします。貴方のポケモンを休ませてあげますか?」
あぁ、もう失敗した!最初の声が上擦ってしまった。恥ずかしくて顔が熱くなり少し下を向いてしまう。
変に思われていないかなと不安に思い彼の顔を視線だけ上に向けて窺うとあの赤い瞳と目が合ってしまい、心臓が壊れるんじゃないかってくらい激しく鼓動する。やっぱりとても綺麗・・・
そんな私を他所に彼はまた前回同様一言も声を発さずにモンスターボールをカウンターに並べた。その時に気付いた。彼の右手の甲にまだ出来たばかりに見える傷があったことに。チラリとしか見えなかったけれどあれは擦り傷だろうか。
「それではお預かり致します!」
傷が気になったものの仕事はしなければ。マシンにモンスターボールをセットして起動ボタンを押す。あの傷はどうしたのだろう?ちゃんと消毒はしたのだろうか。剥き出しのままで菌が入ったりしないのかな。彼からは見えない制服の右側のポケットに手を入れればカサリと紙の感触がする。何かあった時の為にと携帯している絆創膏だ。・・・彼に、いきなり渡したら気持ち悪がられてしまうかな。
そう思考を巡らせている間にポケモン達の回復が終わった。ハッとしながらも私はいつものようにモンスターボールを取り出しカウンターに並べる。
「おまちどおさま!お預かりしたポケモンはみんな元気になりました!」
そして彼もまた無言で腰のベルトにモンスターボールをセットしていく。その右手の甲にはやっぱり傷がハッキリ見える。ふぅ、とひとつ息を吐いた。
「あ、あの、これ・・・」
意を決してポケットから震える手で絆創膏をひとつ取り出して彼へ差し出す。緊張して彼の顔はとても見れなかった。
「手、怪我してますよね?その、トレーナーさんの怪我は、治せないので・・・」
マニュアルが無い自分の言葉はしどろもどろで声も小さくなる。彼からの返事は聞こえない。あ、そっか、私の馬鹿!この絆創膏、ピカチュウの柄が描かれているから男の人が使うには適してるとは言えないじゃない!受け取ってくれる訳がない。あ、謝らなきゃ・・・!
ごめんなさい。そう私が言おうと口を開くより一瞬早く、彼が私の手から絆創膏を受け取った。焦った勢いで上げてしまっていた顔は彼の顔を真正面からポカンと見つめてしまった。彼は自分の手元に入った絆創膏をじっと見つめた後、私へ視線を向けた。
「・・・ありがとう」
初めて聞いた彼の声は想像したよりも低くて、しかも気のせいじゃなければ彼は少し微笑んでいたようにも見えた。それを見た瞬間、ぶわぁっと火が点いたんじゃないかと思うくらい一気に顔に熱が集まる。だってまさかそんな反応をくれるなんて思わないじゃない!
振り返りポケモンセンターの入口へ向かっていく背中を何も言えずに見送る。火照った体を冷まそうと胸に手を当てて深呼吸をする。本当に心臓に悪い。彼と会う度に寿命が縮まってるんじゃないかと思うくらいに。
そうだ、もしまた次に来てくれたらその時は勇気を出して彼の名前を聞いてみよう。そう決意してもう彼の姿は無い入口の扉を見つめた。
トレーナーとして色々な町を旅をしているのだろうからそれも当然のことだ。それに例えトキワシティを訪れたとしてもポケモンが傷付いていなければポケモンセンターに寄ることもないだろうし。
彼が来なくても仕方がない理由をいくつ数えてもあの日見た彼の赤い瞳がずっと脳裏から離れずにいた。そんな私の願いを神様が届けてくれたのだろうか。数ヶ月待ち焦がれていた赤い帽子のトレーナーがポケモンセンターの入口から入ってくるのが見えた。
彼だ、間違いない。
あの日と同じ格好をした彼はやっぱり同じように目線を下に向けながら私の立つカウンターまで歩いてくる。あぁ、どうしよう。ちゃんと仕事をしなくちゃいけないのにまた会えた嬉しさが抑えきれずに顔が緩んでしまう。どうか誰も今の私を見ていませんように!
そんな葛藤をしている内に気付けば目の前まで来ていた彼にお決まりの台詞を言わなければと口を開く。
「よ。ようこそ!ポケモンセンターへ。ここではポケモンの体力回復をします。貴方のポケモンを休ませてあげますか?」
あぁ、もう失敗した!最初の声が上擦ってしまった。恥ずかしくて顔が熱くなり少し下を向いてしまう。
変に思われていないかなと不安に思い彼の顔を視線だけ上に向けて窺うとあの赤い瞳と目が合ってしまい、心臓が壊れるんじゃないかってくらい激しく鼓動する。やっぱりとても綺麗・・・
そんな私を他所に彼はまた前回同様一言も声を発さずにモンスターボールをカウンターに並べた。その時に気付いた。彼の右手の甲にまだ出来たばかりに見える傷があったことに。チラリとしか見えなかったけれどあれは擦り傷だろうか。
「それではお預かり致します!」
傷が気になったものの仕事はしなければ。マシンにモンスターボールをセットして起動ボタンを押す。あの傷はどうしたのだろう?ちゃんと消毒はしたのだろうか。剥き出しのままで菌が入ったりしないのかな。彼からは見えない制服の右側のポケットに手を入れればカサリと紙の感触がする。何かあった時の為にと携帯している絆創膏だ。・・・彼に、いきなり渡したら気持ち悪がられてしまうかな。
そう思考を巡らせている間にポケモン達の回復が終わった。ハッとしながらも私はいつものようにモンスターボールを取り出しカウンターに並べる。
「おまちどおさま!お預かりしたポケモンはみんな元気になりました!」
そして彼もまた無言で腰のベルトにモンスターボールをセットしていく。その右手の甲にはやっぱり傷がハッキリ見える。ふぅ、とひとつ息を吐いた。
「あ、あの、これ・・・」
意を決してポケットから震える手で絆創膏をひとつ取り出して彼へ差し出す。緊張して彼の顔はとても見れなかった。
「手、怪我してますよね?その、トレーナーさんの怪我は、治せないので・・・」
マニュアルが無い自分の言葉はしどろもどろで声も小さくなる。彼からの返事は聞こえない。あ、そっか、私の馬鹿!この絆創膏、ピカチュウの柄が描かれているから男の人が使うには適してるとは言えないじゃない!受け取ってくれる訳がない。あ、謝らなきゃ・・・!
ごめんなさい。そう私が言おうと口を開くより一瞬早く、彼が私の手から絆創膏を受け取った。焦った勢いで上げてしまっていた顔は彼の顔を真正面からポカンと見つめてしまった。彼は自分の手元に入った絆創膏をじっと見つめた後、私へ視線を向けた。
「・・・ありがとう」
初めて聞いた彼の声は想像したよりも低くて、しかも気のせいじゃなければ彼は少し微笑んでいたようにも見えた。それを見た瞬間、ぶわぁっと火が点いたんじゃないかと思うくらい一気に顔に熱が集まる。だってまさかそんな反応をくれるなんて思わないじゃない!
振り返りポケモンセンターの入口へ向かっていく背中を何も言えずに見送る。火照った体を冷まそうと胸に手を当てて深呼吸をする。本当に心臓に悪い。彼と会う度に寿命が縮まってるんじゃないかと思うくらいに。
そうだ、もしまた次に来てくれたらその時は勇気を出して彼の名前を聞いてみよう。そう決意してもう彼の姿は無い入口の扉を見つめた。
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