孤独な鳳仙花
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「報告は以上です」
「はい。お疲れ様でした。もう下がって大丈夫ですよ」
帰還した樋口さんから任務の報告を受けた。芥川さんの活躍もあり、作戦は上手く事を運べたようで犠牲も最小限で済ませられホッと胸を撫で下ろす。こんな世界に身を置けど見知った誰かが死ぬことには未だに慣れない。
ふと、視線を感じて手元の受け取った報告書から視線を上げれば、樋口さんが何かを訴えているかのような目で私を見ていた。
「・・・なにか?」
「あっ!すみません、その・・・任務とは全く関係の無いことなんですけど、天音さんに聞きたいことがありまして・・・」
「どうぞ仰ってください。私に答えられることなのでしたら」
俯きながら言いずらそうにゴニョニョと言葉を濁す彼女に発言を促せば意を決したのかパッと顔をあげた。
「天音さんは中也さんとお付き合いされているのですか?」
「・・・・・・・・はい?」
自分でも驚く程素っ頓狂な声が出た。樋口さんの言葉の意味が理解出来ない。私と中原幹部がお付き合い?
「えーと・・・何故そのように思われたのです?」
「この前2人でお話しているところをたまたま見掛けまして。とても仲睦まじそうに見えたのでもしや!と」
「ご期待に添えなくて申し訳ありませんが、私と中原幹部はそんな仲ではありませんよ」
「ではどちらかの片思いですか!?」
「い、いえそれも違います。私と中原幹部は確かに幼馴染の関係ではあるので話す機会は多いですが」
「幼馴染から始まる恋ということですね!?昔とは違う距離感に戸惑いながらも互いに想い合う・・・!素敵です!」
「え、あの、ですからそんな関係では・・・」
「中也さん、何かと天音さんのことを気にかけてますからね!天音さんと話している時の中也さんの顔は普段よりずっと優しく見えますし!」
「あの、わ、私の話を聞いて・・・」
私の制止の声も聞かずに樋口さんは目を輝かせながら声高に妄想を語り続けている。どうしよう。こういった話題を振られるのは初めてで対処法が全く分からない。
それに樋口さんは大きな勘違いをしている。中原幹部が優しくするのは決して私だけでは無い。あの人は昔から仲間想いで世話焼きな1面があるから私の立場や異能力のこともあってよく気にかけてくれているだけで。
誰かを深く想い、同じように誰かに想われる。そんな未来を私は望んではいけない。互いに不幸になるだけだ。
今もまだ止まらずに語り続けている樋口さんをさすがに止めようと口を開いた時、部屋の扉がゆっくりと開いたのが見えた。
「なんだ、随分楽しそうにしてんなぁ」
「ち、中也さん!」
「・・・・あ?」
面食らった様子の中原幹部の顔を見てハッとなり手で自分の口を押さえる。しまった、下の名前で、しかも敬称を付けずに呼んでしまった。
「も、申し訳ありません、中原幹部。樋口さんに釣られてしまったようで・・・」
「いや、構わねぇよ。寧ろ前はそう呼んでたんだし、良い機会だ。これからまたそう呼べよ」
「いえ、そうはいきません。分別はきちんと付けなければ」
「ったく。俺が良いって言ってんのに。昔っから真面目すぎんだよ手前は」
呆れたように溜息を吐いた後、何故か楽しそうに笑った中原幹部の顔越しに樋口さんの顔が見えた。キラキラと輝いた瞳で私と中原幹部を見つめている姿に嫌な予感がして胸がざわめく。
「やっぱりお2人は・・・!」
「ひ、樋口さん・・・?」
「あ、ご心配無く!邪魔者はすぐに消えますので!」
「いえ、邪魔なんてことは・・・それよりも、」
「では私は下がります!・・・どうぞごゆっくり!」
樋口さんは大振りな仕草でお辞儀をした後、またも私の制止の声を聞かずに扉をバタンと大きな音を立てて閉め去っていった。確実に大変な誤解をしてしまっている。そして確実に噂にされる。本人や首領の耳に入ったらどう対処すればいいのだろう。信憑性が薄いとはいえ、私なんかと噂になってしまうなんて中原幹部にも申し訳ない。
「何だったんだ?アイツは」
「さ、さぁ?どうしたんでしょうね」
まさかこんなことになるなんて・・・。
思いがけず目の前に積み重なってしまった問題に頭がズキズキと痛んだ。
「はい。お疲れ様でした。もう下がって大丈夫ですよ」
帰還した樋口さんから任務の報告を受けた。芥川さんの活躍もあり、作戦は上手く事を運べたようで犠牲も最小限で済ませられホッと胸を撫で下ろす。こんな世界に身を置けど見知った誰かが死ぬことには未だに慣れない。
ふと、視線を感じて手元の受け取った報告書から視線を上げれば、樋口さんが何かを訴えているかのような目で私を見ていた。
「・・・なにか?」
「あっ!すみません、その・・・任務とは全く関係の無いことなんですけど、天音さんに聞きたいことがありまして・・・」
「どうぞ仰ってください。私に答えられることなのでしたら」
俯きながら言いずらそうにゴニョニョと言葉を濁す彼女に発言を促せば意を決したのかパッと顔をあげた。
「天音さんは中也さんとお付き合いされているのですか?」
「・・・・・・・・はい?」
自分でも驚く程素っ頓狂な声が出た。樋口さんの言葉の意味が理解出来ない。私と中原幹部がお付き合い?
「えーと・・・何故そのように思われたのです?」
「この前2人でお話しているところをたまたま見掛けまして。とても仲睦まじそうに見えたのでもしや!と」
「ご期待に添えなくて申し訳ありませんが、私と中原幹部はそんな仲ではありませんよ」
「ではどちらかの片思いですか!?」
「い、いえそれも違います。私と中原幹部は確かに幼馴染の関係ではあるので話す機会は多いですが」
「幼馴染から始まる恋ということですね!?昔とは違う距離感に戸惑いながらも互いに想い合う・・・!素敵です!」
「え、あの、ですからそんな関係では・・・」
「中也さん、何かと天音さんのことを気にかけてますからね!天音さんと話している時の中也さんの顔は普段よりずっと優しく見えますし!」
「あの、わ、私の話を聞いて・・・」
私の制止の声も聞かずに樋口さんは目を輝かせながら声高に妄想を語り続けている。どうしよう。こういった話題を振られるのは初めてで対処法が全く分からない。
それに樋口さんは大きな勘違いをしている。中原幹部が優しくするのは決して私だけでは無い。あの人は昔から仲間想いで世話焼きな1面があるから私の立場や異能力のこともあってよく気にかけてくれているだけで。
誰かを深く想い、同じように誰かに想われる。そんな未来を私は望んではいけない。互いに不幸になるだけだ。
今もまだ止まらずに語り続けている樋口さんをさすがに止めようと口を開いた時、部屋の扉がゆっくりと開いたのが見えた。
「なんだ、随分楽しそうにしてんなぁ」
「ち、中也さん!」
「・・・・あ?」
面食らった様子の中原幹部の顔を見てハッとなり手で自分の口を押さえる。しまった、下の名前で、しかも敬称を付けずに呼んでしまった。
「も、申し訳ありません、中原幹部。樋口さんに釣られてしまったようで・・・」
「いや、構わねぇよ。寧ろ前はそう呼んでたんだし、良い機会だ。これからまたそう呼べよ」
「いえ、そうはいきません。分別はきちんと付けなければ」
「ったく。俺が良いって言ってんのに。昔っから真面目すぎんだよ手前は」
呆れたように溜息を吐いた後、何故か楽しそうに笑った中原幹部の顔越しに樋口さんの顔が見えた。キラキラと輝いた瞳で私と中原幹部を見つめている姿に嫌な予感がして胸がざわめく。
「やっぱりお2人は・・・!」
「ひ、樋口さん・・・?」
「あ、ご心配無く!邪魔者はすぐに消えますので!」
「いえ、邪魔なんてことは・・・それよりも、」
「では私は下がります!・・・どうぞごゆっくり!」
樋口さんは大振りな仕草でお辞儀をした後、またも私の制止の声を聞かずに扉をバタンと大きな音を立てて閉め去っていった。確実に大変な誤解をしてしまっている。そして確実に噂にされる。本人や首領の耳に入ったらどう対処すればいいのだろう。信憑性が薄いとはいえ、私なんかと噂になってしまうなんて中原幹部にも申し訳ない。
「何だったんだ?アイツは」
「さ、さぁ?どうしたんでしょうね」
まさかこんなことになるなんて・・・。
思いがけず目の前に積み重なってしまった問題に頭がズキズキと痛んだ。