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揃いも揃って愛を夢見る

「おい、太宰。手前どういうつもりだ?」
「一体なんの用?中也。君に文句を言われる様なことをした覚えは無いんだけど?」
「分かってる癖に惚けてんじゃねぇ。アイツのことだよ」
「あぁ、もしかして先輩のこと?アイツなんて相変わらず乱暴な呼び方じゃないか」
「どう呼ぼうが俺の勝手だ。それよりも、最近いつにも増して距離が近すぎやしねぇか」
「なにそれ。それこそ私の勝手じゃあないか。恋焦がれている先輩に近付こうとする事の何が悪いわけ?」
「やり方が姑息すぎんだよ、手前は。ベタベタと気安く触れやがって」
「君こそ。事ある毎に彼女に話しかけに行ったりして。まるで飼い主に媚びる犬のようだね」
「ハッ、犬ねぇ。それなら手前だってアイツの前では偉くいい子ぶってるじゃねぇか。いつもの冷酷な幹部様はどこにいったよ」
「生憎、どこかの誰かさんのように策もなく突っ走るなんて莫迦な真似はしないのだよ、私は」
「あぁ!?喧嘩売ってんのか手前!」
「事実を言われたからって一々怒鳴るなよ。これだから駄犬は・・・」
「手前・・・人を舐めんのも大概にしろよ...」
「大体、中也なんかが先輩と良い仲になろうだなんて烏滸がましいにも程があるね。彼女の様な大人の女性には私みたいに余裕があって理性的な男でないと」
「よくもそんなことが言えたもんだな。俺とアイツが話してる時、自分がどんな瞳して見てんのか教えてやろうか?」
「へぇ?私が一体どんな瞳をしていると言うんだい?」
「暗く淀んだ独占欲の塊みたいな瞳だよ。内心不安なんだろ?愛しの先輩が俺に盗られちまうじゃないかってな」
「それを言うなら中也だって。彼女を見てる時、獲物を狙う獣のような鋭い瞳をしているのに気付いてる?本当は余裕なんて少しもない癖に」
「獣ねぇ・・・上等だ。手前は大人しくアイツの可愛い後輩でいるのがお似合いなんだよ。精々頭撫でられて可愛がられてろ」
「言ってる意味が理解出来ないのだけれど。それを言うなら中也の方だろ。それに中也みたいな理性のない獣なんかに先輩を渡したらどんな酷い目に合うか」
「それを手前が言うのかよ。女取っかえ引っ変えして泣かせてるような手前が!」
「他の人間と先輩を同じにするな、不愉快だよ。・・・彼女は私にとっての唯一だ。中也にも、誰にだって渡さない」
「俺だって同じだ。アイツ以外の女なんて考えられねぇ。たった一人、心底惚れた女だ。手前なんかに渡してたまるかよ」
「そう。ならこれからは互いに遠慮は無しだ」
「手前が俺に遠慮なんてしたことあったのかよ」
「あるわけないだろ」
「てめぇっ!」
「ふふ、宛ら[双黒に奪い合われるお姫様]ってところかな」
「ハッ。すぐに変わるぜ?[中原中也の女]ってな」
「なにその最悪な肩書き。[最年少幹部太宰の彼女]に決まってるでしょ」
「言ってろ。吠え面かく様見るの、楽しみにしてるぜ」
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