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揃いも揃って愛を夢見る

綺麗な人だと思った。
顔立ちはもちろん、スラリとした立ち姿も、その仕草、心も。
全てにおいて綺麗な人だと思った。
いつも微笑を湛えるその顔を見ていると、この酸化した世界でさえ色がついて見えた。
彼女がいるだけで全てが違った。
もっと近づきたいと思った。
自分だけを見て欲しいと、そう望んだ。
その感情を恋と呼ぶのだと気付いたのはいつからだろうか。
それでも彼女にとって自分はあくまでも「可愛い後輩」の1人でしかなく、いつまで経ってもこの距離が縮まることはない。
今日も変わらず私の頭を撫でて「可愛い」等と言う先輩に、私の中の何かが溢れた。
「いつまで子供扱いするつもり?」
彼女の背にある壁に手をついて逃げ場を封じれば、いつも余裕そうな彼女もさすがに驚いた顔をした。
息が当たる程の距離に彼女の顔がある。
その瞳が私だけを映していることに言い様のない満足感を覚える。
ほら、もう子供じゃないんです。
こんなにも貴方に焦がれている、ただの男なんですよ、私は。
だからねぇ、先輩。
私をこんな風にした責任、とってくださいね。
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