呪術短編
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僕しか知らない場所に建てられた別荘に彼女を軟禁した。周囲を山に囲まれたその別荘には人が寄り付くことはない。この日の為に時間を掛けて別荘を改装し、周囲には呪力で結界を張った。結界はともかく改装に関しては1人でやるには少々骨が折れた。だけど今目の前のベッドで無防備に眠りにつく彼女を見ているとその苦労も報われるというもの。目を覚ましたらこの状況に驚いて酷く取り乱すだろうから優しく諭してやらないと。
楽しい時間だった。
別荘に備蓄してある食糧はちょうど1週間分。出来ることなら僕が毎日来て一緒に食事を楽しみたい所だけど、残念ながら立場上それは難しい。だから食糧が切れそうになるギリギリのタイミングで此処を訪れ、また次の週の食糧を追加していく。誰も訪れる事も逃げ場も無いこの場所では、彼女がどんなに不服だろうと生きる為には僕を頼るしかない。他人に命を握られているというのは人間にとってそれだけで強いストレスになるらしい。少しずつ、それでも確実に彼女から抵抗する意志を奪っていく。
そして段々と僕が来ることを待ち遠しく感じ初めて来た頃を見計らって態と来るタイミングを遅くする。最初は1日。次は2日。
"もしかしたらもう此処に来ないのではないか?"
"自分は見捨てられたのか?"
そんな不安や焦燥感に襲われているであろうタイミングで、何事も無かったように現れた僕を見た時の彼女の安堵した顔といったら堪らなかったなぁ。可愛くて可愛くて口が緩みっぱなしだったよ。つい壊したくなってしまうけれど我慢だ。僕の目的はそうじゃない。
そして彼女を閉じ込めてから数年後。頃合いかな。そろそろ仕上げをしよう。
「ねぇ、聞いてよ。良いニュースがあるんだ」
「なん、ですか」
声が弾むのを隠せなかったせいだろう、テラスに立っていた彼女は僕の言葉に怪訝そうな顔を浮かべた。僕の生徒だった頃はあんなに素直で可愛らしかったのに随分と冷たい反応をするようになったものだ、と小さく溜息を吐けば彼女はびくりと体を震わせた。そうだよねぇ、万が一僕に嫌われちゃったら此処で生きていけないもんね?可哀想に。許してあげようね。
おっとそれより本題だ。
「実は先日、お前の友達や家族に会ってきたんだけど、もう誰もお前のこと探してなかったよ。それどころか覚えてもいないみたいでお前のことを尋ねたら「誰だっけ?」だって!ウケるよね」
「・・・うそ、そんなわけない、」
「ほんとほんと〜。僕お前に嘘言わないよ」
そう、嘘だ。本当の彼らは彼女が今もどこかにいるのでは無いかと、無事でいてくれと今でも必死に探し続けている。だがだからなんだというのだろう。世間から隔絶している彼女にはそんな事実を知る術は無いし、もし仮に彼らに此処が見つかったとして、どうやってもこの僕から奪える筈がないのだから無意味でしかない。
「可哀想だね。所詮皆にとってお前はその程度だったってことだ」
「違うっ!私はっ」
「何が違うって?じゃあ聞くけど、この数年間1度でも誰かがお前を助けにきてくれたことがあった?あ、それかお前がこんな状況にあると知ってて見て見ぬふりしてたのかもね?そっか、嫌われてるんだ。だって本当にお前が大切だったらどんな手段使ってでも助けにくるものだろ?」
両手で顔を覆ってうわ言のように嘘だと言い続ける彼女は、恐らく必死に自分の中に浮かぶ僕の言葉が真実かもしれないという懸念を打ち消そうとしているのだろう。
・・・彼女の心が壊れていく音がする。
「でも大丈夫、僕だけはお前を愛しているよ。僕も忙しいからね、少し遅くなってしまったりしたけれど忘れずにちゃんとお前に会いに来ていたのはお前のことを愛してるからだ。僕だけがお前を守ってあげられる、ずっと愛してあげられる」
優しく、優しく傷ついた彼女を包み込むように抱き締める。最初より少し痩せたかな?と場違いなことが頭を過ぎった。
「だから此処にいて、僕だけの為に生きるんだ。他の人間のことなんて忘れちゃえよ」
腕の中で彼女の啜り泣く声が聞こえる。震える体を感じる。そうしてゆっくりと彼女の腕が力無く僕の背に回された。それは肯定の意を示している。やっとだ。此処まで長かった。
「・・・ありがとう」
堕ちてきてくれて。
楽しい時間だった。
別荘に備蓄してある食糧はちょうど1週間分。出来ることなら僕が毎日来て一緒に食事を楽しみたい所だけど、残念ながら立場上それは難しい。だから食糧が切れそうになるギリギリのタイミングで此処を訪れ、また次の週の食糧を追加していく。誰も訪れる事も逃げ場も無いこの場所では、彼女がどんなに不服だろうと生きる為には僕を頼るしかない。他人に命を握られているというのは人間にとってそれだけで強いストレスになるらしい。少しずつ、それでも確実に彼女から抵抗する意志を奪っていく。
そして段々と僕が来ることを待ち遠しく感じ初めて来た頃を見計らって態と来るタイミングを遅くする。最初は1日。次は2日。
"もしかしたらもう此処に来ないのではないか?"
"自分は見捨てられたのか?"
そんな不安や焦燥感に襲われているであろうタイミングで、何事も無かったように現れた僕を見た時の彼女の安堵した顔といったら堪らなかったなぁ。可愛くて可愛くて口が緩みっぱなしだったよ。つい壊したくなってしまうけれど我慢だ。僕の目的はそうじゃない。
そして彼女を閉じ込めてから数年後。頃合いかな。そろそろ仕上げをしよう。
「ねぇ、聞いてよ。良いニュースがあるんだ」
「なん、ですか」
声が弾むのを隠せなかったせいだろう、テラスに立っていた彼女は僕の言葉に怪訝そうな顔を浮かべた。僕の生徒だった頃はあんなに素直で可愛らしかったのに随分と冷たい反応をするようになったものだ、と小さく溜息を吐けば彼女はびくりと体を震わせた。そうだよねぇ、万が一僕に嫌われちゃったら此処で生きていけないもんね?可哀想に。許してあげようね。
おっとそれより本題だ。
「実は先日、お前の友達や家族に会ってきたんだけど、もう誰もお前のこと探してなかったよ。それどころか覚えてもいないみたいでお前のことを尋ねたら「誰だっけ?」だって!ウケるよね」
「・・・うそ、そんなわけない、」
「ほんとほんと〜。僕お前に嘘言わないよ」
そう、嘘だ。本当の彼らは彼女が今もどこかにいるのでは無いかと、無事でいてくれと今でも必死に探し続けている。だがだからなんだというのだろう。世間から隔絶している彼女にはそんな事実を知る術は無いし、もし仮に彼らに此処が見つかったとして、どうやってもこの僕から奪える筈がないのだから無意味でしかない。
「可哀想だね。所詮皆にとってお前はその程度だったってことだ」
「違うっ!私はっ」
「何が違うって?じゃあ聞くけど、この数年間1度でも誰かがお前を助けにきてくれたことがあった?あ、それかお前がこんな状況にあると知ってて見て見ぬふりしてたのかもね?そっか、嫌われてるんだ。だって本当にお前が大切だったらどんな手段使ってでも助けにくるものだろ?」
両手で顔を覆ってうわ言のように嘘だと言い続ける彼女は、恐らく必死に自分の中に浮かぶ僕の言葉が真実かもしれないという懸念を打ち消そうとしているのだろう。
・・・彼女の心が壊れていく音がする。
「でも大丈夫、僕だけはお前を愛しているよ。僕も忙しいからね、少し遅くなってしまったりしたけれど忘れずにちゃんとお前に会いに来ていたのはお前のことを愛してるからだ。僕だけがお前を守ってあげられる、ずっと愛してあげられる」
優しく、優しく傷ついた彼女を包み込むように抱き締める。最初より少し痩せたかな?と場違いなことが頭を過ぎった。
「だから此処にいて、僕だけの為に生きるんだ。他の人間のことなんて忘れちゃえよ」
腕の中で彼女の啜り泣く声が聞こえる。震える体を感じる。そうしてゆっくりと彼女の腕が力無く僕の背に回された。それは肯定の意を示している。やっとだ。此処まで長かった。
「・・・ありがとう」
堕ちてきてくれて。