呪術短編
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長かった髪をバッサリ切って、あの頃は任務に明け暮れていたせいでロクにしなかったメイクもしている私に、彼は会っても気付いてくれないかもしれない。彼だって昔から年相応には見えなかったけれどあの頃より更に大人びていたり、纏う雰囲気や着ている服だって変わっている可能性があるから、私も彼だと気付けないかもしれない。
そう、この大勢の人が行き交う街の中にもし彼が居たって気付かなければ関わることはない。いつの間にか出会っていつの間にか別れている、今の私と彼の関係なんてそんなものだ。その事実を改めて認識したからか無性に悲しくなってギュッと唇を噛み締めた時、
「・・・琥珀?」
背後から聞こえた私の名前を呼ぶ声に、止まった足とは対照的に見開いた瞳からポロポロと零れたのは涙。人が1番最初に忘れるのは声だって前に何処かで聞いたことがあるけれどそれはきっと嘘だ。だって今聞こえた声の持ち主が誰か、この耳はこんなにもよく覚えている。いいや、きっと忘れたくても忘れられなかったのだ。それだけ私はこの声を、彼を求めて止まなかった。
ゆっくりと、ロボットのような機械じみたぎこちない動きで振り返れば、記憶に残る彼と変わらずに笑う顔が滲んだ視界に映る。
「すぐ、る」
「・・・うん。変わってない、いや、綺麗になったね」
こんな涙でメイクも崩れてぐしゃぐしゃの顔を見てるクセに何を言ってるんだろう。そう昔みたいにヤジを飛ばしてやろうとしても、会えた喜びと未だ癒えない別離の際の悲しみが入り交じって自分の感情が分からない。それでも彼が今も生きていてくれて良かった、その感情だけは確かだった。
名前を呼んだだけで精一杯で、嗚咽ばかり溢している、そんな私を見て傑は何故か眩しそうに目を細めた。
そう、この大勢の人が行き交う街の中にもし彼が居たって気付かなければ関わることはない。いつの間にか出会っていつの間にか別れている、今の私と彼の関係なんてそんなものだ。その事実を改めて認識したからか無性に悲しくなってギュッと唇を噛み締めた時、
「・・・琥珀?」
背後から聞こえた私の名前を呼ぶ声に、止まった足とは対照的に見開いた瞳からポロポロと零れたのは涙。人が1番最初に忘れるのは声だって前に何処かで聞いたことがあるけれどそれはきっと嘘だ。だって今聞こえた声の持ち主が誰か、この耳はこんなにもよく覚えている。いいや、きっと忘れたくても忘れられなかったのだ。それだけ私はこの声を、彼を求めて止まなかった。
ゆっくりと、ロボットのような機械じみたぎこちない動きで振り返れば、記憶に残る彼と変わらずに笑う顔が滲んだ視界に映る。
「すぐ、る」
「・・・うん。変わってない、いや、綺麗になったね」
こんな涙でメイクも崩れてぐしゃぐしゃの顔を見てるクセに何を言ってるんだろう。そう昔みたいにヤジを飛ばしてやろうとしても、会えた喜びと未だ癒えない別離の際の悲しみが入り交じって自分の感情が分からない。それでも彼が今も生きていてくれて良かった、その感情だけは確かだった。
名前を呼んだだけで精一杯で、嗚咽ばかり溢している、そんな私を見て傑は何故か眩しそうに目を細めた。