呪術短編
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寮部屋の扉に貼られていた1枚のカード。赤いハートと色とりどりの花が描かれたそのカードには
【いつも貴方を想っています】
そう一言だけ記されていた。
「英国人気取りかよ、ウケる」
隣の席に座る悟にカードを見せると、机に頬杖を付きながら馬鹿にしたように笑った。悟に聞いて初めて知ったのだけど、イギリスでは日本と違って男性から女性にバレンタインカードを贈るのが風習らしい。カードに自分の名前を書かないのも伝統なんだとか。
「ロマンチックで素敵じゃない。でも名前が書いてないとなるとお礼も言えないから困るなぁ」
「別に、そいつも礼が欲しくてやったんじゃねぇんだろ。押し付けがましい野郎だったら名前書いてんだろうし」
「そういうものかなぁ」
文化の違いだろうか。貰っておいてお返しもしないというのがどうにも落ち着かない。
「一応聞くけど、悟じゃないの?」
「俺がそんなキザったらしいことするかよ。やるなら傑のがぽいだろ」
「あー確かに悟には似合わなそう」
「ってかそれよりお前は俺に渡すモンあんじゃねぇの?」
「渡す物?」
「チョコ。あんだろ?」
「渡してもいいけど、その代わり来月3倍返しだからね」
「がめつい女。いいぜ、それだけの価値がある代物だったらな」
「ほんと悟って性格悪いよね。・・・はい」
図々しく伸ばされた手に小さな箱に入ったチョコを渡す。受け取った悟は掛けているグラサンをズラし、観察するようにじーっと箱を見つめている。綺麗に包んだつもりだけどまじまじと見られると何だか気恥しい。
「これ手作り?」
「そうだけど?え、もしかして手作りは食べれないとか?」
「んなこと言ってねぇけど」
「一応悟のは傑達のよりも甘くしてあるよ。悟甘いの好きでしょ?」
そう言えば悟は驚いたように目を見開いた。
「なに?」
「それって俺のやつだけ?」
「うん、悟のだけ」
「へー、ふーん・・・俺のだけ、ね」
ブツブツと何やら呟いているけれど声が小さくて聞き取れない。それでもチョコが嫌だった訳ではなさそうだから良かったかな、と思う。
「カード、」
「あ?」
「本当に悟じゃないの?」
「・・・しつっけぇな!。俺じゃねぇって言ってんだろ馬鹿」
ぷいっと顔を背けた悟に「そう」と一言だけ返し、手元にあるカードに触れる。本当は、最初から贈り主が誰か分かっていた。だってあまりにも見慣れた字だったから。
馬鹿はどっちだろうね。名乗り出るつもり無いなら字のクセくらい隠しなよ。ほんのりと赤く染まった横顔にクスッと笑った。
【いつも貴方を想っています】
そう一言だけ記されていた。
「英国人気取りかよ、ウケる」
隣の席に座る悟にカードを見せると、机に頬杖を付きながら馬鹿にしたように笑った。悟に聞いて初めて知ったのだけど、イギリスでは日本と違って男性から女性にバレンタインカードを贈るのが風習らしい。カードに自分の名前を書かないのも伝統なんだとか。
「ロマンチックで素敵じゃない。でも名前が書いてないとなるとお礼も言えないから困るなぁ」
「別に、そいつも礼が欲しくてやったんじゃねぇんだろ。押し付けがましい野郎だったら名前書いてんだろうし」
「そういうものかなぁ」
文化の違いだろうか。貰っておいてお返しもしないというのがどうにも落ち着かない。
「一応聞くけど、悟じゃないの?」
「俺がそんなキザったらしいことするかよ。やるなら傑のがぽいだろ」
「あー確かに悟には似合わなそう」
「ってかそれよりお前は俺に渡すモンあんじゃねぇの?」
「渡す物?」
「チョコ。あんだろ?」
「渡してもいいけど、その代わり来月3倍返しだからね」
「がめつい女。いいぜ、それだけの価値がある代物だったらな」
「ほんと悟って性格悪いよね。・・・はい」
図々しく伸ばされた手に小さな箱に入ったチョコを渡す。受け取った悟は掛けているグラサンをズラし、観察するようにじーっと箱を見つめている。綺麗に包んだつもりだけどまじまじと見られると何だか気恥しい。
「これ手作り?」
「そうだけど?え、もしかして手作りは食べれないとか?」
「んなこと言ってねぇけど」
「一応悟のは傑達のよりも甘くしてあるよ。悟甘いの好きでしょ?」
そう言えば悟は驚いたように目を見開いた。
「なに?」
「それって俺のやつだけ?」
「うん、悟のだけ」
「へー、ふーん・・・俺のだけ、ね」
ブツブツと何やら呟いているけれど声が小さくて聞き取れない。それでもチョコが嫌だった訳ではなさそうだから良かったかな、と思う。
「カード、」
「あ?」
「本当に悟じゃないの?」
「・・・しつっけぇな!。俺じゃねぇって言ってんだろ馬鹿」
ぷいっと顔を背けた悟に「そう」と一言だけ返し、手元にあるカードに触れる。本当は、最初から贈り主が誰か分かっていた。だってあまりにも見慣れた字だったから。
馬鹿はどっちだろうね。名乗り出るつもり無いなら字のクセくらい隠しなよ。ほんのりと赤く染まった横顔にクスッと笑った。