殊更に叶わぬ呪い
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今日の体術の授業は本当に疲れた。術式を持たない私には最前線で呪霊と戦うことは出来ないからせめて自分の身は自分で守れるようになりたいのだけど、中々身に付いてくれない。灰原くん達は優しくフォローしてくれるけどもっと頑張らないとなぁ。じゃないと夏油先輩の恋人になるどころか仲間として傍にいることも出来ない。
こんな風に疲弊している時こそ好きな人に会いたいと願ってしまうけれど、残念ながら夏油先輩は今任務で出張している。低級呪霊の相手とはいえその数が多いらしく、五条先輩と2人で駆り出されたのだと聞いた。だからいつ頃高専に帰ってくるのかも分からない。特級術師である夏油先輩達なら大丈夫だと信じてはいるけれどやっぱり不安にはなってしまう。
「咲楽、」
夏油先輩の声が聞こえた気がして周りを見渡すけれど先輩の姿は無い。大変、私ついに先輩に会いたいあまりに幻聴が聞こえてしまったのかもしれない。
「咲楽、」
「きゃあっ!?」
肩に何かが置かれた感触がして反射的に悲鳴が上がり体が跳ねる。
「ごめん、驚かせてしまったね」
「げ、夏油先輩っ!」
恐る恐る振り返った先に居たのは会いたくてやまなかった夏油先輩だった。苦笑しながら謝る先輩の姿に先程の自分の反応を思い返し失礼な態度を取ってしまったと血の気が引いた。
「ち、違うんです!謝らないでくださいっ!そのっ!私がボーッとしてただけなのでっ!」
「それはそれで心配だね。何か気に掛かることでもあるのかい?」
「そ、それは・・・その、」
「何か力になれればと思ったのだけど、もしかして私には言いにくいことだったかな?」
「い、いえっ!そうじゃないんですっ!」
本人を前にして「貴方のことを考えてました」なんて言うのは簡単じゃなくて言い淀んでしまった私に、先輩は悲しそうに目を伏せる。あぁ、もう、私の馬鹿!灰原くん達に頑張るって約束したのに!
「その、実は夏油先輩のこと、を考えて、て・・・」
「私のこと?」
「先輩は、いつ帰ってくるのかな、怪我してないかな、とかそんなことを、考えて、たんです・・・」
あぁ、言ってしまった。顔が熱い。羞恥に耐えきれなくて最後はしりつぼみになってしまったけれど。
「私のことを気にかけてくれていたんだね、ありがとう」
「い、いえっ!そんな・・・!お礼を言って貰えることなんてなにも」
「実は、私も任務先で君のことを考えていてね」
「えっ?」
「これ、君にお土産」
はい、と差し出された白い小さな紙袋を両手で受け取り、赤いインクでお店の名前が刻印されたその袋をマジマジと見つめる。先輩からのお土産・・・!嬉しくて心が弾んだ。
「あ、開けてもいいですか?」
「勿論」
袋の閉じ口に貼られたテープを慎重に、なるべく綺麗になるように剥がして中身を取り出す。掌の上に転がりチリン、と鈴の音を出したそれは小さな白いウサギのストラップだった。
「わぁ・・・!可愛い!」
「店先でそれを見ていたら頭に君の顔が浮かんでね。ウサギ、嫌いじゃなかったかい?」
「はい・・・!とっても可愛いです。ありがとうございます。大事にしますね!」
手の中にあるストラップを包み込むように握る。何処につけよう?やっぱり携帯かな。携帯ならいつも持ち歩けるし。汚したり失くしたくなくて部屋に置いておきたい気持ちもあるけど、せっかく貰ったのに身に付けてないのも失礼だろうし。それに、見る度に夏油先輩のことを思い出せるもの。
「そう喜んで貰えると買ってきた甲斐があったな。・・・それじゃあ私は少し部屋で休ませて貰うことにするよ。君もお疲れ様」
「せ、先輩っ!」
いつもの様に優しく微笑んで立ち去ろうとする先輩を呼び止める。だって肝心なことを言って居なかったから。
「あの、おかえりなさいっ!」
「・・・うん、ただいま」
少しだけ驚いた顔をした後、はにかんだ顔で笑い返してくれた先輩の姿に更に胸がドキドキと高鳴る。気付けば今日の授業で感じた疲れも軽くなっていた。
それから数日後のことだった。夏油先輩と五条先輩に重要な任務が言い渡されたと知らされたのは。
こんな風に疲弊している時こそ好きな人に会いたいと願ってしまうけれど、残念ながら夏油先輩は今任務で出張している。低級呪霊の相手とはいえその数が多いらしく、五条先輩と2人で駆り出されたのだと聞いた。だからいつ頃高専に帰ってくるのかも分からない。特級術師である夏油先輩達なら大丈夫だと信じてはいるけれどやっぱり不安にはなってしまう。
「咲楽、」
夏油先輩の声が聞こえた気がして周りを見渡すけれど先輩の姿は無い。大変、私ついに先輩に会いたいあまりに幻聴が聞こえてしまったのかもしれない。
「咲楽、」
「きゃあっ!?」
肩に何かが置かれた感触がして反射的に悲鳴が上がり体が跳ねる。
「ごめん、驚かせてしまったね」
「げ、夏油先輩っ!」
恐る恐る振り返った先に居たのは会いたくてやまなかった夏油先輩だった。苦笑しながら謝る先輩の姿に先程の自分の反応を思い返し失礼な態度を取ってしまったと血の気が引いた。
「ち、違うんです!謝らないでくださいっ!そのっ!私がボーッとしてただけなのでっ!」
「それはそれで心配だね。何か気に掛かることでもあるのかい?」
「そ、それは・・・その、」
「何か力になれればと思ったのだけど、もしかして私には言いにくいことだったかな?」
「い、いえっ!そうじゃないんですっ!」
本人を前にして「貴方のことを考えてました」なんて言うのは簡単じゃなくて言い淀んでしまった私に、先輩は悲しそうに目を伏せる。あぁ、もう、私の馬鹿!灰原くん達に頑張るって約束したのに!
「その、実は夏油先輩のこと、を考えて、て・・・」
「私のこと?」
「先輩は、いつ帰ってくるのかな、怪我してないかな、とかそんなことを、考えて、たんです・・・」
あぁ、言ってしまった。顔が熱い。羞恥に耐えきれなくて最後はしりつぼみになってしまったけれど。
「私のことを気にかけてくれていたんだね、ありがとう」
「い、いえっ!そんな・・・!お礼を言って貰えることなんてなにも」
「実は、私も任務先で君のことを考えていてね」
「えっ?」
「これ、君にお土産」
はい、と差し出された白い小さな紙袋を両手で受け取り、赤いインクでお店の名前が刻印されたその袋をマジマジと見つめる。先輩からのお土産・・・!嬉しくて心が弾んだ。
「あ、開けてもいいですか?」
「勿論」
袋の閉じ口に貼られたテープを慎重に、なるべく綺麗になるように剥がして中身を取り出す。掌の上に転がりチリン、と鈴の音を出したそれは小さな白いウサギのストラップだった。
「わぁ・・・!可愛い!」
「店先でそれを見ていたら頭に君の顔が浮かんでね。ウサギ、嫌いじゃなかったかい?」
「はい・・・!とっても可愛いです。ありがとうございます。大事にしますね!」
手の中にあるストラップを包み込むように握る。何処につけよう?やっぱり携帯かな。携帯ならいつも持ち歩けるし。汚したり失くしたくなくて部屋に置いておきたい気持ちもあるけど、せっかく貰ったのに身に付けてないのも失礼だろうし。それに、見る度に夏油先輩のことを思い出せるもの。
「そう喜んで貰えると買ってきた甲斐があったな。・・・それじゃあ私は少し部屋で休ませて貰うことにするよ。君もお疲れ様」
「せ、先輩っ!」
いつもの様に優しく微笑んで立ち去ろうとする先輩を呼び止める。だって肝心なことを言って居なかったから。
「あの、おかえりなさいっ!」
「・・・うん、ただいま」
少しだけ驚いた顔をした後、はにかんだ顔で笑い返してくれた先輩の姿に更に胸がドキドキと高鳴る。気付けば今日の授業で感じた疲れも軽くなっていた。
それから数日後のことだった。夏油先輩と五条先輩に重要な任務が言い渡されたと知らされたのは。