(現パロ)書店員主様と🦋が喫茶店に行く話
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まだ近くに居るだろうと思ってお兄さんを探していたが、なかなかその姿は見つからなかった。
追いかける方向を間違えたかもしれない。
走りながらそんな予感がしてくる。
どうしよう。
走る足が少しづつ重たくなり、速度が落ちていく。走って荒くなった息が、どこか別の世界の音のように聞こえる。
確かにお店を出て左側の方に向かったはず。
.....でも、その先で間違えたかも.........
辺りを見渡しながら、そんな思考で頭が埋め尽くされていく。
忘れ物に気づかなかった事、怒られるかな。
ポップ褒められて、調子に乗りすぎたかも。
だんだん悪い事ばかり思い浮かんできて、俯いて歩いているうちに、周りまで暗くなってきた気がしてたので、顔を上げる。
いつの間にか、空から照らしてくれていた太陽は隠れて、暗い色の雲たちが空を覆っていた。
そういえば、今日は雨が降るって言ってかも。
傘を持ってこなかった事を後悔したが、とりあえず商品を濡らす事だけは絶対に避けなければならない。来た道を引き返し、再び走る事にする。
走っているうちに、汗が首まで伝ってきて、体も重たくなってくる。
お兄さん、また来てくれるかな。
自分の呼吸音をぼんやり聞きながらそう考えていると、腕に冷たい雫が落ちる感触がある。
雨だ、と気づいて立ち止まり、とっさに着ていたエプロンを本に巻きつけ、守るように抱えてまた走る。
空はどんどん暗くなり、雨粒は増えていく。
気づくと、雨は本降りになっていた。
走るうちに目に入ったお店の小さな軒下に、身を寄せるように避難する。
軒下に入ってすぐ、本が濡れていないか確認する。
...良かった、大丈夫。
少し安堵したのも束の間、勤め先の本屋に報告していない事を思い出し、心臓を握られているような気持ちで電話をかける。
店主は「今日はもうシフト上がりでいいよ」と優しく言ってくれたが、電話を切ってからも後悔がぐるぐる頭を支配していく。
店主にも呆れたかもしれない、と悲観的な予想をしてしまう。
どうしていつもこうなんだろう。
ふと思い浮かんだその言葉と一緒に、視界に滲んでしまった涙は止まってくれず、そのままぼろぼろと溢れ落ち、頬や顎を伝っていく。
軒下に膝を抱えてしゃがみながら、感情が暴走を始めると、周りの世界がフェードアウトしてく。
こんなところで泣いてたら迷惑だろうな、と思いながらも、体が言う事を聞かない。
雨音が包み込む中で、しばらくそうしてしゃがみ込んでいた。
そうして、どのくらいの時間が経っただろうか。
少しだけ涙が落ち着いてきて、そろそろ立ち上がらないと、とぼんやりする頭で考えていた頃、
目の前に人の気配がして「あの.....」という声が降ってきたので、思わず体が飛び上がる。
お店の人かもしれない。
そう思い、慌てて謝って立ちあがろうとすると、その人の靴が目に入る。
見覚えのある、黒に赤い差し色の入ったローファー。
もしかして、と思い、そろそろと視線を上げる。
おろおろと迷いながら傘を差し出してくれているその人は、ずっと探していたお兄さんで。
心配そうにこちらを見つめる瞳は、隠れてしまった陽の光に負けないくらい、優しくて、とても綺麗だった。
