(現パロ)書店員主様と🦋が喫茶店に行く話
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あたたかな春の陽気がつつみこむ、ある昼下がり。
私はいつものように店番をしながら、店の前を行き交う人々を眺めていた。
休日とはいえ、小さな本屋に出入りする人は少ない。
あらかたの業務を片づけた私は、少しでもお客さんに本を手に取ってもらえるよう、本のディスプレイを考えたり、ポップを作ってみたりと、ささやかな努力を試みていた。
店番のテーブルに寄りかかり、白紙のポップを手に、次はどの作品を紹介するか悩んでいると、からんからん、と店のドアが開く音がした。
私は気づかれない程度にそっとそちらに目を向けると、お客さんの邪魔にならないよう、再び白紙のポップに目線を落とす。
やってきたお客さんは、ここ最近本屋の常連になったお兄さんだった。
背は180センチはゆうに越す長身だが威圧感はなく、大きな体を申し訳なさそうに縮め、狭い本棚の隙間を体が触れないよう慎重に通る姿が印象的だったので、すぐに覚えてしまった。
年は20代後半くらいに見えるが、はっきりとは分からない。
細い金色のフレームの眼鏡を掛けた、穏やかそうな雰囲気のお兄さんだった。
お兄さんは入口近くの新作コーナーの前で少し佇むと、身を縮め込むようにしてそうっと小説コーナーに進んでいく。
本の背表紙を眺めたり、時々手に取って本の最初の方を読んだりしているお兄さんを横目に、私は再び次のポップについて考えを巡らせる。
春だから、タイトルに桜がついた小説がいいかも。
そう思いついて脳内で本を絞り込み、ポップを描き進めていく。
ポップが大方描き終わった頃、気に入った本があったのか、お兄さんがレジにやってきた。
気にしない風を装いながらも本を受け取ると、どうやらバスソルトの作り方についての本を買ったようだった。
お兄さんの女子力の高い一面に尊敬の念を抱きつつ、会計を終えて紙袋に包んだ商品を渡そうとすると、お兄さんが突然、
「あ!...........ぁ、あの....................」
と、少し裏返った声を恥じながら、声を掛けてきた。
どうしたのだろう、と思って顔を上げると、お兄さんと目が合う。
レンズ越しに初めて見る、橙色の瞳。
春の陽光や花々が一気に吸い込まれたようなきらきらしたその瞳に、思わず呼吸が止まる。
「たぶん、以前あなたの書いたポップを見て、本を、買って.....
えっと、その............................
すごく、面白かった...です!」
お兄さんはキラキラの目をあっちへやったりこっちへやったりしながら、最後は私の目を見て、まっすぐそう伝えてくれた。
どうやらお兄さんは私の手元にあるポップを見て、自分の見たポップと同じ人間によるものだと判断したらしい。
大きな背を少し屈めて一生懸命なお兄さんがあまりに可愛らしくて、思わず笑い声を漏らしてしまう。
ますます顔を赤くして小さくなるお兄さんが可哀想な気がして、慌てて、どの本をご購入下さったんですか?と尋ねる。
ぱあっと元気を取り戻したお兄さんが発したタイトルが、私のお気に入りの作品だったので、嬉しくなって思わず飛び跳ねてしまった。
ひとしきり本の感想で盛り上がると、お兄さんは「他の作品も読んでみます」と言って、にこにこ会釈をしながら帰っていった。
ありがとうございました、と店の扉の前で頭を下げた私は、るんるんと控えめにステップを踏みながら店番に戻る。
ポップ、頑張って作って良かったな。
そう思ってレジの方に目線を落とすと、思わずあっ、と声が漏れる。
さっきのお客さんが、よほど緊張していたのか、本を忘れていってしまっていたのだ。
今ならまだ近くに居るだろう。
浮ついて気づかなかった私の落ち度だ。
そう思いながら私は店主に声をかけ、お兄さんを探しに慌てて店の外に飛び出していった。
私はいつものように店番をしながら、店の前を行き交う人々を眺めていた。
休日とはいえ、小さな本屋に出入りする人は少ない。
あらかたの業務を片づけた私は、少しでもお客さんに本を手に取ってもらえるよう、本のディスプレイを考えたり、ポップを作ってみたりと、ささやかな努力を試みていた。
店番のテーブルに寄りかかり、白紙のポップを手に、次はどの作品を紹介するか悩んでいると、からんからん、と店のドアが開く音がした。
私は気づかれない程度にそっとそちらに目を向けると、お客さんの邪魔にならないよう、再び白紙のポップに目線を落とす。
やってきたお客さんは、ここ最近本屋の常連になったお兄さんだった。
背は180センチはゆうに越す長身だが威圧感はなく、大きな体を申し訳なさそうに縮め、狭い本棚の隙間を体が触れないよう慎重に通る姿が印象的だったので、すぐに覚えてしまった。
年は20代後半くらいに見えるが、はっきりとは分からない。
細い金色のフレームの眼鏡を掛けた、穏やかそうな雰囲気のお兄さんだった。
お兄さんは入口近くの新作コーナーの前で少し佇むと、身を縮め込むようにしてそうっと小説コーナーに進んでいく。
本の背表紙を眺めたり、時々手に取って本の最初の方を読んだりしているお兄さんを横目に、私は再び次のポップについて考えを巡らせる。
春だから、タイトルに桜がついた小説がいいかも。
そう思いついて脳内で本を絞り込み、ポップを描き進めていく。
ポップが大方描き終わった頃、気に入った本があったのか、お兄さんがレジにやってきた。
気にしない風を装いながらも本を受け取ると、どうやらバスソルトの作り方についての本を買ったようだった。
お兄さんの女子力の高い一面に尊敬の念を抱きつつ、会計を終えて紙袋に包んだ商品を渡そうとすると、お兄さんが突然、
「あ!...........ぁ、あの....................」
と、少し裏返った声を恥じながら、声を掛けてきた。
どうしたのだろう、と思って顔を上げると、お兄さんと目が合う。
レンズ越しに初めて見る、橙色の瞳。
春の陽光や花々が一気に吸い込まれたようなきらきらしたその瞳に、思わず呼吸が止まる。
「たぶん、以前あなたの書いたポップを見て、本を、買って.....
えっと、その............................
すごく、面白かった...です!」
お兄さんはキラキラの目をあっちへやったりこっちへやったりしながら、最後は私の目を見て、まっすぐそう伝えてくれた。
どうやらお兄さんは私の手元にあるポップを見て、自分の見たポップと同じ人間によるものだと判断したらしい。
大きな背を少し屈めて一生懸命なお兄さんがあまりに可愛らしくて、思わず笑い声を漏らしてしまう。
ますます顔を赤くして小さくなるお兄さんが可哀想な気がして、慌てて、どの本をご購入下さったんですか?と尋ねる。
ぱあっと元気を取り戻したお兄さんが発したタイトルが、私のお気に入りの作品だったので、嬉しくなって思わず飛び跳ねてしまった。
ひとしきり本の感想で盛り上がると、お兄さんは「他の作品も読んでみます」と言って、にこにこ会釈をしながら帰っていった。
ありがとうございました、と店の扉の前で頭を下げた私は、るんるんと控えめにステップを踏みながら店番に戻る。
ポップ、頑張って作って良かったな。
そう思ってレジの方に目線を落とすと、思わずあっ、と声が漏れる。
さっきのお客さんが、よほど緊張していたのか、本を忘れていってしまっていたのだ。
今ならまだ近くに居るだろう。
浮ついて気づかなかった私の落ち度だ。
そう思いながら私は店主に声をかけ、お兄さんを探しに慌てて店の外に飛び出していった。
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