神創系譜

これは、「特別」な存在になりたかった竜の物語。

その白銀(はくぎん)は、正義か、あるいは虚飾か。
聖王国リュシアナの「聖騎士」として、人々の平和を脅かす悪魔を討ち続けてきた少女・リリー。
行方不明となった最愛の姉・セイレを捜すため、彼女は己の剣を信じ、過酷な任務を遂行し続けていた。

しかし、ある任務を境に、彼女の運命は劇的な変転を迎える。

気がつけば、そこは外界と隔絶された極寒の大地・ヴァイス。
白銀の剣を握り、正義を疑わなかった少女の前に現れたのは、今まで「敵」としてしか見てこなかった者たちが紡ぐ、名もなき熱と残酷な真実だった。

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目次

  • 第一話「翡翠は、泥の中に」

    聖騎士として、姉の背中を追い、正義のために剣を振るってきたリリー。しかし、ある任務の途上で彼女が目にしたのは、崇高なるはずの聖王国の、悍(おぞ)ましき「裏側」だった。信頼していた居場所を奪われ、絶望の泥濘に沈みゆくリリー。その目の前に現れたのは、かつて彼女が「敵」として忌み嫌ってきた存在だった。

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  • 第二話「白銀の嘘、紅き系譜」

    連れ去られた先、凍てつくヴァイスの洋館で目を覚ましたリリー。白銀の鎧を剥がされ、聖騎士としての誇りさえ汚された彼女に突きつけられたのは、自らの出生にまつわる残酷な真実。十四年間、彼女が信じてきた「家族」も「自分」も、すべては仕組まれた嘘だったのか。逃れられぬ宿命の種が、彼女の内で紅く拍動を始める。

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  • 第三話「雪原の孤独、薔薇の残り香」

    自分が何を斬ってきたのかを知り、罪悪感に押し潰されそうになるリリー。しかし、氷の壁に閉ざされたはずのヴァイスには、予期せぬ「熱」が宿っていた。不器用な優しさを見せるヒル、不遜ながらも真っ当な言葉を投げるライザー。初めて触れる「悪魔」たちの温もりに、孤独だったリリーの心は激しく揺れ動く。

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  • 第四話「反逆の産声、黒き羽音」

    「裏切り者」の名が世界を駆け巡り、静寂の雪原は戦火に包まれる。
    かつての仲間たちが剣を向け、最強の種族「竜」が天を舞うとき、
    少女の胸に灯ったのは、絶望を焼き尽くす「王」の覚悟だった。

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  • 第五話「戴冠の調べ、蒼き誓いのリリスティア」

    一瞬にして「春」を取り戻したヴァイスの大地。しかし、その奇跡の代償のように、聖王国三万の軍勢が刻一刻と迫っていた。

    王としての装いに戸惑うリリーの前に現れたのは、かつて敵対した種族の幼き少女と、そして、戦火の中に別れたはずの「意外な再会」だった。それぞれの想いが交錯する中、リリーは自身の内にある「ある真実」と向き合うことになる。

    静まり返った玉座の間。かつて愛した世界を敵に回してでも、彼女が選んだ「真の名前」とは――。
    空を埋め尽くす咆哮が響く時、歴史から消された王国が、再びその産声を上げる。

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  • 第六話「神鉄の裁定、蒼き風に散る」

    広大なヴァイス平原を舞台に、ついに両軍の主力が激突する。
    最前線で指揮を執る者たちの前に立ちはだかるのは、かつての自分を知る者、そして断ち切れない過去の「影」だった。刃を交えるたびに浮き彫りになる残酷な血脈と、守るべき矜持。戦場は、個人の想いを飲み込みながら激しさを増していく。

    だが、その熱戦を冷酷に冷ますかのように、戦場に異質な魔力が漂い始める。
    突如として空を割る、慈悲なき白い輝き。それは、敵も味方も、積み上げた策も一瞬で無に帰す「絶対的な力」の顕現だった。

    混乱する戦地で、ある少女だけがその破滅の予兆に戦慄する。
    「二度と、あんなことは起こさせない」
    彼女がその瞳に捉えた、絶望の先にあるものとは――。

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  • 第七話「蒼き瞳の訪問者」

    戦場から帰還した聖王国の軍勢を待っていたのは、民のどよめきと消えぬ悲壮感だった。英雄たちがそれぞれの葛藤を抱える中、王国の中枢では「死したはずの面影」が不穏な予兆を告げ始める。

    一方、ヴァイス城では、戦いの中で異彩を放った少女が己の「真実」を語りだす。語られたのは、かつて大地を凍てつかせた大魔法の真実と、少女が背負い続けてきた深い後悔。それを知った若き王の決断とは。

    混沌とする情勢の中、ヴァイスの地に漆黒の衣を纏った「かつての師」が現れる。彼が携えてきた一振りの剣と、切実なる願い。それが、歴史の波紋をさらに大きく広げていくことになる――。

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  • 神創系譜 外伝:『蛍火、闇を穿つ』

    姉の背中を追い、一人「朝焼けの街」で手がかりを探し続けていた若き日のリリスティア。まだ聖騎士としての覚悟も技術も持たぬ彼女は、ある夜のトラブルの中で、異国の武器「刀」を操る寡黙な男・昴に救われる。

    「強くなりたい」――。少女の必死な願いに応え、昴は期限付きの稽古を承諾する。河原で過ごす穏やかな時間、共に眺めた蛍の光。リリスティアにとってそれは、失われた家族の温もりを埋めるかのような、かけがえのない日々だった。

    しかし、昴が街を去るその日、平穏は突如として現れた「悪魔」によって打ち砕かれる。初めて実戦に身を投じたリリスティアが、その刃で生命を断った瞬間に見せた「無慈悲な一面」。
    彼女の才能と危うさを察した昴は、ある「重い言葉」と一振りの刀を託し、静かに姿を消す。それが、後に世界を揺るがす「ヴァイスの王」の物語へと繋がる、始まりの記憶であった。

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  • 第八話「月下、孤独の盾を棄てて」

    聖王国による「公式の悪魔狩り」の布告により、ヴァイス軍はさらなる窮地に立たされる。敵が増え続ける現状を打破するため、竜王カイムは有翼の民「ユア・ラムダ」との同盟を提案する。

    一方、城内ではリリスティアが王としての力を引き出すための訓練を始めていた。ヒルの指導のもと、植物を再生させる力に触れた彼女だったが、その直後、ヒルの予期せぬ行動と「守りたい」という情熱的な言葉に、かつてない心の動揺を覚える。

    王と臣下。剏竜と王。その境界線で揺れ動く感情を抱えたまま、リリスティアは外交任務のためにヴァイスを離れる決意をする。

    護衛に選ばれたのは、カイム、シャジャ、そしてライザー。
    自分を避けるような態度を見せるヒルに真意を問えぬまま、リリスティアは初めての「王としての旅」へと足を踏み出す――。

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  • 第九話「白き百合、追憶の街角」

    ユア・ラムダへの出発を控え、ヴァイス城では平穏ながらも慌ただしい時間が流れていた。
    視察へと向かったヒルの背中を見送りながら、リリスティアは軍師レオンの厳しい(?)指導のもと、王としての学問に励む。

    そんな中、城の広間ではライザーとベリーが、かつての聖王国での出来事を振り返っていた。
    それは数年前、春の花咲く街角での奇妙な出会い。泥に汚れ、孤独を纏いながらも、ただ一輪の花を大切に抱えていた少女騎士と、その姿に言いようのない関心を抱いた魔導師。

    なぜリリスティアは花を愛でるのか。なぜベリーは彼女の傍に居続けるのか。
    これまで語られることのなかった二人の「出会い」と、長い年月をかけて育まれた秘密の絆が、一瓶の香油をきっかけに美しく紐解かれていく。

    夕陽に染まる回廊で、二人が交わした言葉とは――。

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