歌と春風
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付き合い始めたあの夜、彼女を家に送り届けたその足で昔馴染みの店へ寄った。偶然にも、彼女の家から差程遠くない距離にある。戸を開ければ、カランと軽い音がなり来客を知らせる。
「ウーさん、いらっしゃい」
そう声をかける昔馴染みの向かいには、カウンターをはさんでもう一人の昔馴染みが居た。最近はここもあんていくも出入りしていなかったため、久しぶりに会う気がする。
「蓮示くんも来てたんだ」
隣に座ると早速、真っ赤なお酒が出された。ありがと、と短く礼を言い、目の前の酒を煽る。気心の知れた友人と飲むお酒は美味しい。今日、たいして話をした訳ではないけれど、いつでも蓮示くんは無口だし、イトリさんは一人暴走している。これが、3人で飲む時の常だ。
「そうだ。僕、あの子と付き合う事になったよ」
へらっと笑って酒を煽っていても、数秒、なんの返答も無いことを不思議に思い2人を見遣ると、蓮示くんは顰めっ面をさらに顰めて、イトリさんはぽかんと呆けていた。僕、そんなに変な事言ったかな?付き合い始めました報告とか、いらなかった?首を傾げると同時にイトリさんが笑いだした。
「あっはははは!いやいや、ウーさんおめでとう!」
バシバシと肩を叩くその目は、新しいオモチャを見付けた子供のように楽しげだ。一方、蓮示くんはと言えば、ため息を吐いて眉間のシワで訴えてきた。言いたい事は粗方分かっていたけれど、なに?と問えば、伏せていた目をこちらに向ける。険しい表情だ。
「人間に深入りするな。正体を知られているなら殺すべきだろう。」
僕は喰種で、彼女は人間だから、こうやって祝福されないのは予想してた。色恋沙汰から白鳩に情報を流されて殺された喰種はいっぱいいる。僕は彼女がそんな人間じゃない事はわかっているけれど、会ったこともない人間を信用しろなんて僕達にとっては酷なことだ。
「いーじゃん、面白そうだしさ!蓮ちゃんはそんなんだから彼女とかできないのよ」
むっとする蓮示くん。どうやらまだまだ酔いは回ってないらしい。
「まぁまぁ、蓮示くんの気持ちはわかるし。けど、若葉ちゃんはそんな子じゃないよ。」
暫しの沈黙の後、好きにしろ、と言ってそっぽを向く蓮示くんに、イトリさんは、子供か!と笑う。こんな何でもない光景に、僕達の常に、彼女も加わる日を夢見てしまう。いつかこの2人にも彼女の事を受け入れてもらえたらいいな。
「ウーさん、いらっしゃい」
そう声をかける昔馴染みの向かいには、カウンターをはさんでもう一人の昔馴染みが居た。最近はここもあんていくも出入りしていなかったため、久しぶりに会う気がする。
「蓮示くんも来てたんだ」
隣に座ると早速、真っ赤なお酒が出された。ありがと、と短く礼を言い、目の前の酒を煽る。気心の知れた友人と飲むお酒は美味しい。今日、たいして話をした訳ではないけれど、いつでも蓮示くんは無口だし、イトリさんは一人暴走している。これが、3人で飲む時の常だ。
「そうだ。僕、あの子と付き合う事になったよ」
へらっと笑って酒を煽っていても、数秒、なんの返答も無いことを不思議に思い2人を見遣ると、蓮示くんは顰めっ面をさらに顰めて、イトリさんはぽかんと呆けていた。僕、そんなに変な事言ったかな?付き合い始めました報告とか、いらなかった?首を傾げると同時にイトリさんが笑いだした。
「あっはははは!いやいや、ウーさんおめでとう!」
バシバシと肩を叩くその目は、新しいオモチャを見付けた子供のように楽しげだ。一方、蓮示くんはと言えば、ため息を吐いて眉間のシワで訴えてきた。言いたい事は粗方分かっていたけれど、なに?と問えば、伏せていた目をこちらに向ける。険しい表情だ。
「人間に深入りするな。正体を知られているなら殺すべきだろう。」
僕は喰種で、彼女は人間だから、こうやって祝福されないのは予想してた。色恋沙汰から白鳩に情報を流されて殺された喰種はいっぱいいる。僕は彼女がそんな人間じゃない事はわかっているけれど、会ったこともない人間を信用しろなんて僕達にとっては酷なことだ。
「いーじゃん、面白そうだしさ!蓮ちゃんはそんなんだから彼女とかできないのよ」
むっとする蓮示くん。どうやらまだまだ酔いは回ってないらしい。
「まぁまぁ、蓮示くんの気持ちはわかるし。けど、若葉ちゃんはそんな子じゃないよ。」
暫しの沈黙の後、好きにしろ、と言ってそっぽを向く蓮示くんに、イトリさんは、子供か!と笑う。こんな何でもない光景に、僕達の常に、彼女も加わる日を夢見てしまう。いつかこの2人にも彼女の事を受け入れてもらえたらいいな。