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救いか苦しみか

ー数日後、ロニーBARー

「……っ。」

それから数日後、ジャックは漸く熱が治まり始めて夜中にそっと目を覚ました。まだ身体中に痛みがあるものの、ゆっくりと体を起こすことはできた。

「いってぇ……っ、俺…どうやってここに……?」

ジャックは体を起こすと必死に記憶を思い出そうと頭を抱えて考え込んだ。

「……そうだ、確かキルア達に捕まって……ほんで…あーだめだ!こっから記憶が全然ねぇ……!」

ジャックはもやもやしながらふと横を見た。するとそこには本を開いたままベッドの横の椅子で眠ってるクロエがいた。

「……んでこんな所で寝てんだ……?」

ジャックは不思議そうにクロエを暫く見つめたが、やがて何かを察したかのように苦笑いした。

「んだよ…。散々人のことどーでもいいみたいに言っといて……。」

ジャックはそう言うとゆっくりベッドから降り、起こさないようにクロエをベッドに寝かせた。

「ん〜……。」

クロエは夢でも見ているのか、ふにゃっと笑いながらもぞもぞと動いた。

「……喉、乾いたな。」

ジャックは壁に手を付きながら、ゆっくりと歩いて階段を降りていった。降りた先は店の中で、ジャックは二階の部屋で寝ていたようだ。

「げっ、めちゃくちゃ本散らかってんじゃねぇか!あの野郎ロニーの営業妨害してたんじゃねぇだろうな……。」

ジャックはカウンターに広げたまま置いてある本を呆れた表情で見つめた。そして、そっと一冊の本を手に取った。それは図書館の隠し部屋の一番上にあった本だった。

「……。」

ジャックは無言でその本を開き、ペラペラとページを捲った。その文字を読めるはずはないのに、ジャックはまるで普通の文字を読むようなスピードで捲っていた。

「……太陽は光の中で眠り、月は闇を見つめ続ける…か。」

ジャックはそう言うと包帯をとって左腕を出し、あるページを左指で綺麗に切り取った。

「……これで、いいよな…?母さん……。」

誰もいないその空間で、ジャックは独り呟きながら切り取った紙を丸め、口に放り込んだ。
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