本当の脅威は…
ー廃工場ー
その頃、クロエとロニーはジャックがいるであろう廃工場にたどり着いていた。敵がいるかもしれないためすぐには入らず、裏口から様子を伺っていた。
「物音一つしないわね……ジャックは本当にいるのかしら?」
「どうでしょうね…。でもここ以外こんな建物思いつかないし……間違いないと思うけど。」
ロニーは扉に耳を当て、中の音を確かめたが、やはり何も音はしなかった。
「取り敢えず入ってみましょうか。そばから離れないでね、クロエちゃん。」
「うん……。」
二人は扉をゆっくり開け、中に入っていった。中にはやはり誰もいなかったが、明らかに血の匂いが奥から漂ってきていた。
「うっ……血の匂いが……っ。」
「……嫌な予感しかしないわね。」
クロエが耐えきれず鼻を抑えて顔をしかめる中、ロニーは少し眉を眉間に寄せるだけだった。二人が奥に進むと、ジャックがキルアに滅多打ちにされたところに出てきた。そこで壁を見た二人は、初めてジャックがいるはずの場所にいないことに気がついた。
「この血……明らかにここに張り付けられていたはずなのに。」
「ジュニちゃんは?どこなの!?」
二人は必死に部屋を見渡したが、血痕を辿ろうにも辺り一面血の海のせいで全くわからず、隠れられる場所もほとんど無かった。
「……自分で逃げ出したのかしら?」
「でも、そんな状態でもなかったでしょ?」
「そうだけど……ん?」
二人が会話をしていると、ふとクロエの足元に何か落ちてきた。クロエがそれを確認すると、それは嫌という程見た血だった。
「……まさか、」
二人は固唾を飲むと、ゆっくり天井を見上げた。するとむき出しの骨組み部分に、ひっそりと佇んでいる影が一つあった。ゆっくり呼吸をしていたが、その体からはボタボタと血が落ち、それが骨組みを伝ってクロエの足元に落ちていた。
「ジャ、ジャック……?」
「…何か様子がおかしいわ……。」
ロニーはすぐに異変に気が付き、クロエを背中で隠した。
「………。」
その影は何か呟くと、かなり高さがある天井から飛び降りてきた。
「っ!」
ロニーはクロエを抱えて後ろに飛び退いた。その影は天井に開いた穴から漏れる月明かりに照らされ、はっきりと姿が見えた。それは明らかにジャックだったが、表情や気配が全く違った。
「……ジャック?どうしちゃったの?」
「………。」
クロエの声にも全く反応せず、ジャックは二人を真っ直ぐ見つめた。その瞳は光を宿しておらず、最早見えてるのかどうか分からなかった。やがてジャックは左肩に打ち付けられた鉄板を無理矢理引き剥がし、それを思い切りロニーに投げつけた。
「っ!?」
ロニーは咄嗟にそれを右腕で防いだが、少し深く切れてしまった。
「ロニー!ジャック、何で攻撃するのよ!?」
「クロエちゃん、出ちゃダメ!」
ロニーはジャックに駆け寄ろうとするクロエを必死に止めた。
「……る。」
「……え?」
二人はやっと聞こえたジャックの言葉に耳をすました。
「……俺、が……守る……。死ん、でも…守……る。」
「!」
その瞬間、ジャックの左肩から影が溢れ出し、ジャックの体を半分覆った。現れた左腕はいつもより不気味に感じ、爪先はいつもより長く鋭く尖っていた。
「……ど、どうなってるの?」
「分からない……呪いの力に飲み込まれてるのかも。でも、あの呪いはそんな風になるだなんて……。」
書いていなかった、そう言おうとしたクロエだったが、もしかすると原本には書いてあるのかもしれないと思い直し、口を閉ざした。
「とにかく、ジャックを何とか正気に戻さないと!」
「でもどうやって……あんなジュニちゃん殴れないわよ!」
ロニーが気が引けるのも無理はなかった。いくら不死身と言えど、再生能力は普通より少し高くなる程度……つまり、ジャックの体はまだ殆ど再生出来ていなかった。肉は抉れ、内臓は潰れ、もはや流れる血など尽きようとしていた。
「そうだけど……っ。」
クロエはどうすればいいか全く思いつかず、ただロニーの後ろに隠れるしかなかった。
その頃、クロエとロニーはジャックがいるであろう廃工場にたどり着いていた。敵がいるかもしれないためすぐには入らず、裏口から様子を伺っていた。
「物音一つしないわね……ジャックは本当にいるのかしら?」
「どうでしょうね…。でもここ以外こんな建物思いつかないし……間違いないと思うけど。」
ロニーは扉に耳を当て、中の音を確かめたが、やはり何も音はしなかった。
「取り敢えず入ってみましょうか。そばから離れないでね、クロエちゃん。」
「うん……。」
二人は扉をゆっくり開け、中に入っていった。中にはやはり誰もいなかったが、明らかに血の匂いが奥から漂ってきていた。
「うっ……血の匂いが……っ。」
「……嫌な予感しかしないわね。」
クロエが耐えきれず鼻を抑えて顔をしかめる中、ロニーは少し眉を眉間に寄せるだけだった。二人が奥に進むと、ジャックがキルアに滅多打ちにされたところに出てきた。そこで壁を見た二人は、初めてジャックがいるはずの場所にいないことに気がついた。
「この血……明らかにここに張り付けられていたはずなのに。」
「ジュニちゃんは?どこなの!?」
二人は必死に部屋を見渡したが、血痕を辿ろうにも辺り一面血の海のせいで全くわからず、隠れられる場所もほとんど無かった。
「……自分で逃げ出したのかしら?」
「でも、そんな状態でもなかったでしょ?」
「そうだけど……ん?」
二人が会話をしていると、ふとクロエの足元に何か落ちてきた。クロエがそれを確認すると、それは嫌という程見た血だった。
「……まさか、」
二人は固唾を飲むと、ゆっくり天井を見上げた。するとむき出しの骨組み部分に、ひっそりと佇んでいる影が一つあった。ゆっくり呼吸をしていたが、その体からはボタボタと血が落ち、それが骨組みを伝ってクロエの足元に落ちていた。
「ジャ、ジャック……?」
「…何か様子がおかしいわ……。」
ロニーはすぐに異変に気が付き、クロエを背中で隠した。
「………。」
その影は何か呟くと、かなり高さがある天井から飛び降りてきた。
「っ!」
ロニーはクロエを抱えて後ろに飛び退いた。その影は天井に開いた穴から漏れる月明かりに照らされ、はっきりと姿が見えた。それは明らかにジャックだったが、表情や気配が全く違った。
「……ジャック?どうしちゃったの?」
「………。」
クロエの声にも全く反応せず、ジャックは二人を真っ直ぐ見つめた。その瞳は光を宿しておらず、最早見えてるのかどうか分からなかった。やがてジャックは左肩に打ち付けられた鉄板を無理矢理引き剥がし、それを思い切りロニーに投げつけた。
「っ!?」
ロニーは咄嗟にそれを右腕で防いだが、少し深く切れてしまった。
「ロニー!ジャック、何で攻撃するのよ!?」
「クロエちゃん、出ちゃダメ!」
ロニーはジャックに駆け寄ろうとするクロエを必死に止めた。
「……る。」
「……え?」
二人はやっと聞こえたジャックの言葉に耳をすました。
「……俺、が……守る……。死ん、でも…守……る。」
「!」
その瞬間、ジャックの左肩から影が溢れ出し、ジャックの体を半分覆った。現れた左腕はいつもより不気味に感じ、爪先はいつもより長く鋭く尖っていた。
「……ど、どうなってるの?」
「分からない……呪いの力に飲み込まれてるのかも。でも、あの呪いはそんな風になるだなんて……。」
書いていなかった、そう言おうとしたクロエだったが、もしかすると原本には書いてあるのかもしれないと思い直し、口を閉ざした。
「とにかく、ジャックを何とか正気に戻さないと!」
「でもどうやって……あんなジュニちゃん殴れないわよ!」
ロニーが気が引けるのも無理はなかった。いくら不死身と言えど、再生能力は普通より少し高くなる程度……つまり、ジャックの体はまだ殆ど再生出来ていなかった。肉は抉れ、内臓は潰れ、もはや流れる血など尽きようとしていた。
「そうだけど……っ。」
クロエはどうすればいいか全く思いつかず、ただロニーの後ろに隠れるしかなかった。
