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本当の脅威は…

「……見えてきたわ。」

クロエがそう言って手をゆっくり動かすと、水晶玉の中にぼんやりと映像が浮かんできた。ロニーはごくりと息を飲み、じっとその映像を見つめた。

「…ここ、町のはずれにある廃工場かしら?そこにジュニちゃんが?」

「あまりはっきり見えないわね…。また何か結界とかかけられてるのかしら……。」

クロエは指先に力を込めながら、映像を動かしてみた。映像は廃工場の扉を通り抜け、奥の壁に張り付けられたジャックを映し出したところで止まった。

「「ッ!!」」

二人はジャックの姿を見ると目を見開いて驚き、顔を真っ青にした。

「そんな……なんて事を……!」

「………ジャック。」

クロエは息が詰まりそうになりながら、そっと水晶玉を撫でた。ジャックはまだ目覚めておらず、ぐったりと頭を下げたまま動かなかった。

「早く助けに行かないと……これ以上は流石のジュニちゃんもダメになる。」

ロニーはエプロンを脱ぎながら焦っている様子で言った。

「いくら不死身だと言っても、人間が死んでも味わえないような苦しみを味わい続けたら精神がやられる…。廃人みたいになっちゃうわよ……っ。」

「……そうね。」

クロエは少し唇を噛みしめながら水晶玉をそのまま持っていこうとした。すると水晶玉に映るジャックの様子に異変が起こった。

「……あ!」

「どうしたの?クロエちゃん。」

「ジャックが起きたかも!頭を上げようとしてる!」

クロエは水晶玉を持ち上げ、じっと映像を見つめた。

『…………。』

映像の中のジャックはゆっくりと頭を上げ、まるでクロエ達が見えているかのように視線をこちらに向けた。だがその瞳は、いつものジャックのものではなかった。

「……え?」

その瞳はまるで血に飢えた獣のようで、燃えるような赤色には、闇のような黒紫色が滲んでいた。

『…………。』

そしてジャックがゆっくり口を開いて何かを呟くと、クロエの水晶玉はいきなりバキッと音を立ててひび割れた。

「きゃっ!?」

「大丈夫!?」

驚いて水晶玉を落としたクロエの手を、ロニーはすかさず切れていないか確認した。

「だ、大丈夫だけど……。」

クロエはバグバクと落ち着かない鼓動を必死に落ち着かせながら、落ちた水晶玉を恐る恐る見てみた。しかし水晶玉は完全に割れてしまい、映像もスっと消えてしまった。

「……。」

その時、ジャックを張り付けていた筈の壁が、夥しい量の血の跡だけになっていたことをクロエ達は気付くことが出来なかった。
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