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探し物

ー翌朝ー

「…ふぁあ〜っ…、やべっ、肩凝った。」

朝になると、ジャックはソファーに座った状態で目を覚ました。結局あの後すぐに睡魔が襲ってきて座ったまま眠ってしまったのだ。

「…おはよう。」

「お、おう。」

ジャックが右腕をぶんぶんと振り回しているところに、眠たそうなクロエが起きてきた。

「あ?何か目赤くねぇか?」

「…呪いのことについて考えてたら目が覚めちゃったのよ…。」

「ふーん…?」

ジャックが不思議そうにクロエの目を見ているのを無視し、クロエは洗面所で顔を洗った。

「ま、それも中央図書館に行けば分かるだろ。」

「分かるかも、でしょ?大体あるかどうかすら分からないのに、気が早いわ。」

「うるせぇな、あるかもしんねぇだろ?」

ジャックは体を伸ばし、ゆっくりと立ち上がると、着替えを漁った。

「取り敢えず俺ぁシャワー浴びてくるから、先なんか食っとけよ。」

「はぁ?あなたあのまま風呂にも入らずに寝たの!?」

クロエは顔を濡らしたまま振り返った。

「おう、なんか寝ちまってたわ。」

「よくそんな泥だらけで寝れたわね…いくら帰ってきてから着替えたからと言って、あんだけ地面転がったのに…。」

「転がったとか言うなよ!好きで転がってんじゃねぇんだよ!」

ジャックはキッとクロエを睨みながら浴室に入っていった。クロエはため息を吐きながら顔を拭いた。

「…なんで男ってそういうの平気なのかしら…?」





ー一時間後ー

シャワーを浴び、朝食を済ませた二人は早速中央図書館に向かった。今日は幸いにも1日中晴れているという予報なので、あの化け物は現れない…つまり1日中図書館で安心して調べられるのだ。

「それにしても、この広い町の中央図書館なんて相当広いんでしょうね?」

「あぁ、それに前に大掛かりな改装工事をしてたからな。きっと俺が最後に行った時より充実してるはずだぜ?」

「あら、あなたって本なんか読むの?」

クロエはジャックを馬鹿にした様子で笑った。

「はぁ!?馬鹿にしてんのか!?これでもちゃんと万屋やってんだ!情報が第一なんだよ!情報と言えば本だろうが!!」

「あー、やめてやめて、寒気する。あなたが難しい本とか読んでるの想像したらギャップで死んじゃいそう。」

クロエはわざとらしく腕を擦りながら、ジャックより前を歩いた。後ろから見ると、肩が震えているのがよく分かる。

「…笑ってんじゃねぇぞゴラ!!!」

ジャックは怒鳴りながら早足でクロエを追いかけた。





ー中央図書館ー

「……そうねぇ、あなたが言ってた通りとても広いわねぇ…。迷子になりそうよ。」

「いやぁ……俺が思ってた広さとは程遠い感じだぜ…。」

二人が目にしたのは、人が豆粒に見えるほど奥が広い通路に、鳥肌が立つほど並んでいる本棚だった。

「ここが本館で5階まで、西館と東館それぞれ3階まであるのね……。下手したら、この国のかつてのお城にも勝るんじゃない?」

「それは言い過ぎだろ?この国の城は世界でも一位二位を争う豪華さなんだぜ?今は政府の拠点になってるけどな。」

ジャックは夥しく並んでいる本を眺めながら笑った。

「あら、この国の政府は贅沢なのね。」

「バーカ、新しい建物建てる費用削減したんだよ。あそこじゃ最後の王様が殺されたんだぜ?そんなところ拠点するなんて普通無理だろーよ。」

「え!?あの城で殺されたの!?」

クロエは顔を青ざめさせながら思わず大声を出した。ジャックは反射的にクロエの口を塞いだ。

「シーッ!!図書館図書館ッ!!」

「んぐぐっ……。」

ジャックはじとっと睨む人にペコペコと頭を下げながら、クロエを隅の方へ連れていった。

「急に大声出すなよ…変な目で見られたじゃねぇかよ。」

「悪かったわよ…。でも、あんな綺麗なお城でそんな残酷な事が起こっただなんて…急に不気味に感じるわ。」

クロエは腕を擦りながら首を振った。

「そうなんだよなぁ…なんか綺麗な分訳ありだと、妙に気味悪くなるよな〜。」

ジャックはうんうんと頷き、共感した。

「いくら金もらっても、あそこで働きたくねぇや。」

「切り裂きジャックが何言ってるんだか…。」

クロエはため息をつきながら椅子にぽふっと座った。

「そんなことより、どうやってこの馬鹿広い図書館でたった1冊の原本を探すのよ?1冊ずつ見ていったら、元の姿に成長しちゃうわよ。」

「それはそれでいいだろうよ。」

「良くないわよ!中身がババアとかついてけないわ。」

クロエはジャックを睨みつけた。

「じゃあそもそも容姿変えなきゃよかったじゃねぇか…。」

ジャックはやれやれと呆れながら、改めてこの中から原本を探し出す方法を考えた。

「…そういやぁ、原本は厳重に保管されるんだよな?」

「ええ、普通なら親族の元でね。」

「なら、例え親族のところでなかったとしても、そこらに放ったらかしにするわけねぇよな?」

ジャックはニヤリと笑った。

「てことは…ここの中で厳重に管理されてる本をチェックすればいいじゃねぇか。一般公開されてるのはほっといてよ。」

「それって、一般人は見れない本ってこと?」

クロエは首を傾げながら尋ねた。

「あぁ、ここは政府の大事な資料とかも保管されてんだよ。他にも貴重な本とかもな。だけどそんなの見たことがねぇんだ。てことはどっかにかくしてあるんだぜきっと。」

ジャックはにししと笑いながらヘアバンドを外し、髪型を崩した。

「?何やってるのよ?」

「そんな隠してるってこたぁ、ちょっとやそっとじゃ通してくれねぇよ。まぁプロの技見てな。」

ジャックは誰も見てないのを確認し、腰に巻いている布の下からカバンを取り出した。それを開けると落ち着いた色のジャケットとズボンが入っていた。

「ちょっと…!ここで下を履き変えないでよ…!?」

クロエは小声気味で言った。ジャックはちっちっと舌を鳴らしながら、人差し指を横に揺らした。

「そんな醜態晒さねぇよ…っと。」

ジャックは腰の布を外し、一瞬クロエの顔の前にかざした。すると布を退けた時には既にジャックの服装がジャケットとズボンに変わっていた。

「!?!?」

クロエは口を開けて目を見開いた。

「伊達に色んな仕事こなしてきてねぇぜ。」

ジャックは自慢げに笑いながら元着ていた服をコンパクトに畳み、無理やりカバンに押し込んだ。

「いやいやいや、何今の!?マジック!?」

「そー、マジック。」

ジャックは腹回りにカバンを取り付けると、ジャケットのボタンを閉めた。

「何でマジックなんか出来るのよ!?何の仕事!?」

「貴族の見世物さ。それやって油断させてる時に裏でブスッと。」

「うわ…改めてあなたが切り裂きジャックって事を感じたわ。」

クロエは額に手を当てながら呟いた。

「うーん、あんたは子供だからまぁそれでもいいか…。ほら、受付に行くぞ。あと、今から一切喋るなよ?いいな?」

「…分かったわよ。」

クロエは渋々頷き、ジャックの後ろをついていった。
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