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探し物

ー同時刻の時計台の上ー

「…やっとあの二人も…呪いについて調べるつもりになったようですな、坊ちゃん。」

時計台の屋上に繋がる扉を開け、老人は柵の上に座って町を見下ろしている男に声をかけた。男はにこっと笑いながら振り返り、老人を見た。

「その呼び方はやめてよ、ロナウド。今の僕は『坊ちゃん』じゃないんだよ?」

「これは失礼…。つい長年の癖が出てしまいましたな。」

老人、ロナウドはクスッと笑いながら男に歩み寄った。

「本当、そういう所相変わらずだね。」

男は目を閉じながら再び前を向いた。そしてゆっくりと目を開けて、町をじっくりと見つめた。

「話を戻そうか。二人が呪いについて調べ始めたんだね。」

「さようです。」

「これで少しはこの現象の意味を理解してくれればいいんだけどね。あの化け物たちもこのままじゃ報われないよ。」

「彼らが何のために現れ、何のために暴れているのか…お分かりになられたのですか?」

ロナウドは男の顔をのぞき込みながら尋ねた。

「あぁ、やっとわかったよ…。呪いが関係しているのは合っていたけれど、それだけじゃない。あれこそこの国の罪の証さ…。この地面から死者の叫びが聞こえるよ。『今こそ、裁きの時を』ってね。」

「病んでますか?」

「失礼だな。中二病みたいな事言ってると思ってるんでしょ?」

男はムスッと頬を膨らませながらロナウドを睨んだ。

「まぁそれは昔からでしたな。」

「酷くない?僕の執事だよね?」

ロナウドはフフッと笑いながら懐かしそうに瞳を細めた。

「…また見たいものです。坊ちゃんが私に初めて披露してくださった特技。」

「…だから坊ちゃんはやめてってば。」

男は苦笑いしながらスッと立ち上がり、埃を払った。

「…紅茶を用意してます。ティータイムでもしながらこの現象について詳しくお教え願いますかな?」

「あぁ、ゆっくりと話そうか…まだ僕達が出る幕じゃないからね。ま、彼らが闇に迷い込んだ時は、手を差し伸べてあげないこともないけど。」

男は町に背を向けながら、瞳を鋭く光らせた。

「…この国の運命と君はどう向き合うのかな?『切り裂きジャック』…自らを犠牲に救うのか…それとも、その手で破壊してしまうのかな…?」





「…やはり病んでますな。精神科行きますか?」

「病んでない。」
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