協力者
ー路地裏ー
「……本当にこんなところに来るんでしょうね?埃っぽくていたくないんだけど。」
「うるせぇ、黙って様子うかがえっての。」
二人は人通りの少ない商店街の路地裏で物陰に隠れながらターゲットの男を待っていた。情報によれば金を受け取った政府の人間が、男に土地の権利書を渡しにここへ来るらしい。
「でも、本当にここにきたらどうするつもり?あいつが上手いことでてくるわけもないし……。」
「そーなんだよなぁ。相当悪いことはしてるはずなんだが、あいつの動きはまだ全然わからねぇし……ま、もし出てこなくても暫く泳がせるつもりだぜ?悪いやつのところには、悪いやつが集まるもんだ。にししっ!」
「集まったところで一気に狩るって計算ね。どっちが悪役なんだか…。」
楽しそうに笑うジャックを見て、クロエはやれやれと呆れながら呟いた。すると遠くから足音と男の話し声が聞こえてきた。
「……ちゃんと持ってきたんだろうな。こっちは多額な金を払ってるんだぞ?」
「ご安心を……この程度の権利書を持ち出すぐらいどうって事ありませんよ。」
ジャックとクロエのすぐそばに、二人の男がやってきた。一人は政府の軍服を着ており、もう一人はだらしのない恰好をしていた。
「……来たな。音たてんじゃねぇぞ。」
「分かってるわよ。」
ジャックとクロエは息を潜め、二人の男の様子を伺った。
「しかし、かつて敵だったあんたが手を貸すたぁどういう風の吹き回しだ?はめようって事なら、今ここで息の根を止めてやるが?」
「まさか…私も今の政治には飽き飽きでしてね。平和すぎて、何とも刺激が無い……。こうなるくらいなら、まだ王権時代にあの我が儘王に仕えていた方がよかったですよ。」
政府の人間であろう男は気味の悪い笑みを浮かべながらカバンの中を漁った。
「政権になれば、我々が直接国を動かすことができる…そう思っていたのに、まさか王家の分家如きが割り込んでくるだなんてねぇ。それも、『この国を平和に、過去の歴史を繰り返さぬように』と……。」
「あの王家の血筋にもまともな頭のやつがいたなんてな。迷惑なこった。」
「全くです。」
男は紙を一枚取り出すと、ピラピラと揺らしながら話し続けた。
「しかも王権時代のことを繰り返さない為に、その過去そのものを今の政治で上書きするような姿勢……許し難い。」
「……どういうことだ?」
男は僅かな男の違和感に気付き、少し身構えた。
「……この国の罪を自分達の胸にしまい込み、次に生まれてくる子供たちには過ちそのものを思いつかないようにするのですよ。我々腐った大人のように、戦争や金にそまらないようにね……。」
男は狂気に満ちた笑みを浮かべ、両手を広げた。
「しかし……この国の罪に縛り付けられたままの私達はどうすれば良いのでしょう?このままではこの国の罪は忘れ去られる……今の平和な世の中に潰される……罪は……『私達』は人々の記憶から掻き消されるのですよ!!」
「あんた……一体何を言って……っ!?」
男は気味が悪くなり、咄嗟に逃げようとしたが、いつの間か地面から現れていた影のようなものに足がつかまれており、バランスを崩して転んでしまった。
「そんなのは嫌です……私達は許しません…!この国は罪から逃れることなど出来ない……私達がいるかぎり…過去がある限り、この国は罪を犯し続ける事でしか成り立たない!それを拒むというのなら……この国を壊してあげますよ……っ!!」
そう言うと男は影のようなものに包まれ、腕が巨大な刃物に変形した。そう、以前現れた化け物と化したのだ。
「き、貴様…ッ!!あの化け物の仲間か!」
男は必死に立ち上がり、内ポケットから銃を取り出した。
「……我々を消そうとするなら、我々があなた方を消すまで……。そうすればあなた方も、我々と共にある。」
化け物はそう言ってニタリと笑うと、男に向かって襲ってきた。
「来るな……来るな化け物ッ!!」
男は化け物に向かって銃を連発したが、それはいとも簡単に弾かれ何の意味も成さなかった。化け物は刃物を大きく振り上げ、男の体に向かって振り下ろした。
「う……ウァアアアッ!!!」
「マズいっ!!」
「ジャックッ!?」
ジャックは咄嗟に物陰から飛び出し、男を突き飛ばして身代わりになった。刃物はちょうどジャックの左肩を切りつけ、包帯がほどけた。
「くっ……!」
ジャックは少し顔をしかめたが、すぐに体勢を整えた。
「ぼ、ボウズ……!こんなところで何をしてるんだ!?」
「んなこと言ってる場合か!さっさと逃げろ!!てめぇが相手できるようなもんじゃねぇ!!」
ジャックはほどけた包帯の残りを引きちぎり、黒い影の左腕を出現させた。
「その腕……お前があの化け物とやり合った……!?」
男は目を見開きながらジャックを指差した。
「倒せはしねぇが、足止めぐらいしてやる!だからさっさと逃げやがれ!!」
ジャックは再び襲いかかる化け物の刃物を左腕で受け止め、必死に耐えた。男は少し躊躇したが、歯をかみしめながらその場から逃げ去った。
「ちょっと!!何で逃がしちゃうのよ!どっちにしろ殺す予定なら助けなくても良いじゃないの!」
クロエは物陰に隠れたまま叫んだが、ジャックはそれどころではなかった。
「うるせぇ…んだよっ!!」
ジャックは刃物を押し返すと、化け物の腕を切り裂いた。
「……!!」
化け物は少し後退ると断面を見つめたが、すぐに笑みを浮かべて腕を再生させた。
「うわ……意味なしかよ……!」
「きゃっ!?」
ジャックはすぐにクロエの元に駆け寄り、脇に抱えて走り出した。
「商店街を抜けたら誰もいねぇ空き地がある!そこまでおびき寄せるぞ!!」
「この抱え方くるしいんだけど!!」
クロエは不満を溢しながら必死にジャックの腕にしがみついた。化け物はすぐに二人を追いかけてきた。
「くっそ……速ぇっ!!」
ジャックの人間を超越した身体能力をもってしても、化け物の速さにはかなわなかった。
「おい!なんか術でだせねぇのかよ!フライパン以外で!」
「出せるとしてもこんな状態で出せるわけないでしょ!?」
「てことは元々だせねぇんだな!!」
「うるさい!!」
二人が走りながら言い合いしてると、化け物は刃物をジャックの足元に振り下ろした。道はレンガで出来ていたが簡単に破壊され、ジャックはその衝撃で吹き飛ばされた。
「って!!」
「いたっ!!」
クロエもジャックの腕から吹き飛ばされ、地面に体を打ちつけた。
「おい、大丈夫……か…」
ジャックはすぐに立ち上がってクロエに駆け寄ろうとしたが、すぐ後ろに化け物が立っており、刃物を首に当てていた。
「……ここは流石に…やべぇよな?」
ジャックは冷や汗をかきながら動きまいとじっとした。
「……オマエ、モ……ワレワレト、オナジ……ツミニトラワレシ、モノ。」
化け物はすでに話し方も変わっており、先ほどまで人間の姿だったとは思えなかった。
「……誰がてめぇなんかと同じだよ…!訳わかんねぇこと言ってると、また腕切り落とすぞ…。」
ジャックは顔を引きつらせながら化け物を睨んだ。化け物はニヤリと笑うと、刃物を振り上げジャックの首に突き刺そうとした。ジャックは咄嗟に目をつぶり、左腕で首を守った。
「……本当にこんなところに来るんでしょうね?埃っぽくていたくないんだけど。」
「うるせぇ、黙って様子うかがえっての。」
二人は人通りの少ない商店街の路地裏で物陰に隠れながらターゲットの男を待っていた。情報によれば金を受け取った政府の人間が、男に土地の権利書を渡しにここへ来るらしい。
「でも、本当にここにきたらどうするつもり?あいつが上手いことでてくるわけもないし……。」
「そーなんだよなぁ。相当悪いことはしてるはずなんだが、あいつの動きはまだ全然わからねぇし……ま、もし出てこなくても暫く泳がせるつもりだぜ?悪いやつのところには、悪いやつが集まるもんだ。にししっ!」
「集まったところで一気に狩るって計算ね。どっちが悪役なんだか…。」
楽しそうに笑うジャックを見て、クロエはやれやれと呆れながら呟いた。すると遠くから足音と男の話し声が聞こえてきた。
「……ちゃんと持ってきたんだろうな。こっちは多額な金を払ってるんだぞ?」
「ご安心を……この程度の権利書を持ち出すぐらいどうって事ありませんよ。」
ジャックとクロエのすぐそばに、二人の男がやってきた。一人は政府の軍服を着ており、もう一人はだらしのない恰好をしていた。
「……来たな。音たてんじゃねぇぞ。」
「分かってるわよ。」
ジャックとクロエは息を潜め、二人の男の様子を伺った。
「しかし、かつて敵だったあんたが手を貸すたぁどういう風の吹き回しだ?はめようって事なら、今ここで息の根を止めてやるが?」
「まさか…私も今の政治には飽き飽きでしてね。平和すぎて、何とも刺激が無い……。こうなるくらいなら、まだ王権時代にあの我が儘王に仕えていた方がよかったですよ。」
政府の人間であろう男は気味の悪い笑みを浮かべながらカバンの中を漁った。
「政権になれば、我々が直接国を動かすことができる…そう思っていたのに、まさか王家の分家如きが割り込んでくるだなんてねぇ。それも、『この国を平和に、過去の歴史を繰り返さぬように』と……。」
「あの王家の血筋にもまともな頭のやつがいたなんてな。迷惑なこった。」
「全くです。」
男は紙を一枚取り出すと、ピラピラと揺らしながら話し続けた。
「しかも王権時代のことを繰り返さない為に、その過去そのものを今の政治で上書きするような姿勢……許し難い。」
「……どういうことだ?」
男は僅かな男の違和感に気付き、少し身構えた。
「……この国の罪を自分達の胸にしまい込み、次に生まれてくる子供たちには過ちそのものを思いつかないようにするのですよ。我々腐った大人のように、戦争や金にそまらないようにね……。」
男は狂気に満ちた笑みを浮かべ、両手を広げた。
「しかし……この国の罪に縛り付けられたままの私達はどうすれば良いのでしょう?このままではこの国の罪は忘れ去られる……今の平和な世の中に潰される……罪は……『私達』は人々の記憶から掻き消されるのですよ!!」
「あんた……一体何を言って……っ!?」
男は気味が悪くなり、咄嗟に逃げようとしたが、いつの間か地面から現れていた影のようなものに足がつかまれており、バランスを崩して転んでしまった。
「そんなのは嫌です……私達は許しません…!この国は罪から逃れることなど出来ない……私達がいるかぎり…過去がある限り、この国は罪を犯し続ける事でしか成り立たない!それを拒むというのなら……この国を壊してあげますよ……っ!!」
そう言うと男は影のようなものに包まれ、腕が巨大な刃物に変形した。そう、以前現れた化け物と化したのだ。
「き、貴様…ッ!!あの化け物の仲間か!」
男は必死に立ち上がり、内ポケットから銃を取り出した。
「……我々を消そうとするなら、我々があなた方を消すまで……。そうすればあなた方も、我々と共にある。」
化け物はそう言ってニタリと笑うと、男に向かって襲ってきた。
「来るな……来るな化け物ッ!!」
男は化け物に向かって銃を連発したが、それはいとも簡単に弾かれ何の意味も成さなかった。化け物は刃物を大きく振り上げ、男の体に向かって振り下ろした。
「う……ウァアアアッ!!!」
「マズいっ!!」
「ジャックッ!?」
ジャックは咄嗟に物陰から飛び出し、男を突き飛ばして身代わりになった。刃物はちょうどジャックの左肩を切りつけ、包帯がほどけた。
「くっ……!」
ジャックは少し顔をしかめたが、すぐに体勢を整えた。
「ぼ、ボウズ……!こんなところで何をしてるんだ!?」
「んなこと言ってる場合か!さっさと逃げろ!!てめぇが相手できるようなもんじゃねぇ!!」
ジャックはほどけた包帯の残りを引きちぎり、黒い影の左腕を出現させた。
「その腕……お前があの化け物とやり合った……!?」
男は目を見開きながらジャックを指差した。
「倒せはしねぇが、足止めぐらいしてやる!だからさっさと逃げやがれ!!」
ジャックは再び襲いかかる化け物の刃物を左腕で受け止め、必死に耐えた。男は少し躊躇したが、歯をかみしめながらその場から逃げ去った。
「ちょっと!!何で逃がしちゃうのよ!どっちにしろ殺す予定なら助けなくても良いじゃないの!」
クロエは物陰に隠れたまま叫んだが、ジャックはそれどころではなかった。
「うるせぇ…んだよっ!!」
ジャックは刃物を押し返すと、化け物の腕を切り裂いた。
「……!!」
化け物は少し後退ると断面を見つめたが、すぐに笑みを浮かべて腕を再生させた。
「うわ……意味なしかよ……!」
「きゃっ!?」
ジャックはすぐにクロエの元に駆け寄り、脇に抱えて走り出した。
「商店街を抜けたら誰もいねぇ空き地がある!そこまでおびき寄せるぞ!!」
「この抱え方くるしいんだけど!!」
クロエは不満を溢しながら必死にジャックの腕にしがみついた。化け物はすぐに二人を追いかけてきた。
「くっそ……速ぇっ!!」
ジャックの人間を超越した身体能力をもってしても、化け物の速さにはかなわなかった。
「おい!なんか術でだせねぇのかよ!フライパン以外で!」
「出せるとしてもこんな状態で出せるわけないでしょ!?」
「てことは元々だせねぇんだな!!」
「うるさい!!」
二人が走りながら言い合いしてると、化け物は刃物をジャックの足元に振り下ろした。道はレンガで出来ていたが簡単に破壊され、ジャックはその衝撃で吹き飛ばされた。
「って!!」
「いたっ!!」
クロエもジャックの腕から吹き飛ばされ、地面に体を打ちつけた。
「おい、大丈夫……か…」
ジャックはすぐに立ち上がってクロエに駆け寄ろうとしたが、すぐ後ろに化け物が立っており、刃物を首に当てていた。
「……ここは流石に…やべぇよな?」
ジャックは冷や汗をかきながら動きまいとじっとした。
「……オマエ、モ……ワレワレト、オナジ……ツミニトラワレシ、モノ。」
化け物はすでに話し方も変わっており、先ほどまで人間の姿だったとは思えなかった。
「……誰がてめぇなんかと同じだよ…!訳わかんねぇこと言ってると、また腕切り落とすぞ…。」
ジャックは顔を引きつらせながら化け物を睨んだ。化け物はニヤリと笑うと、刃物を振り上げジャックの首に突き刺そうとした。ジャックは咄嗟に目をつぶり、左腕で首を守った。
