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ひとときの安らぎ

それから数日後、すっかり活気を取り戻した町に、クロエとジャックは買い物に出かけた。空は青々としていて、子供たちはあの恐怖も忘れて無邪気に走っていた。

「すげぇな、数日前化け物が現れた町とは思えねぇぜ。」

ジャックはほのぼのとした表情でその光景を見ていた。

「本当ね~。穏やかというべきか、気が緩いというべきか…。」

クロエは大量に作った買い物リストを見ながら呟いた。ジャックはそれを見ると、呆れたような表情をした。

「…おい、それ本当に全部必要なんだろうな?」

「当たり前じゃないの。」

「必要の意味分かってるのかよ、無かったら生きていけねぇもんだぞ?香水とかアロマとか要らねぇだろうがよ。」

「そこらの女共は無くても生きられるでしょうけど、あたしには必須よ。無かったら生きていけないわ~、そしてあなたもね。」

クロエはにやっと悪そうな笑みを浮かべながらリストをヒラヒラと見せつけた。ジャックは軽く舌打ちをしながらポケットに手を突っ込んだ。

「ほら、行く店は山ほどあるのよ!さっさと行かないと日が暮れるわ!」

「お、おいっ!俺のジャケット引っ張るな!高いんだぞ!?あと走るんじゃねぇ!!」

クロエはジャックのジャケットを引っ張りながら走り出した。ジャックはよろめきながら必死にクロエについて行った。それから二人は店を転々とし、高いブランド品ばかりを買い占めていった。ジャックは片腕にも関わらず荷物を全て持たされ、ほぼ前が見えない状態だった。

「あー、いい買い物したわぁ。少し足が疲れちゃった。」

「…俺は今にも倒れそうだぜ…っ!!」

ご機嫌なクロエをジャックはうらめしそうに睨みつけた。するとクロエはある店の前で立ち止まり、じっと何かを見つめた。

「……。」

(?何見てんだ…?)

無言でガラスの向こうを見つめるクロエをジャックは不思議そうに見つめた。だがやがてクロエは視線をそこから外し、ジャックの方を振り返った。

「さ、一通り買ったから戻りましょう。早速模様替えしなきゃ。」

「…あーあ、俺の家が段々狭くなる…。」

「うるさいわね、なら大きい家に引越しなさい。」

「何でテメェのために引っ越さなきゃならねぇんだよ!!」

ジャックは再び歩き出したクロエの背中に向かって吐き捨てるように言った。いつもならここで不機嫌そうな顔をするところだが、クロエは何故か今日は楽しそうにその言葉を聞いていた。ジャックはよほど買い物が嬉しかったのだろうかと考えたが、実際どうなのかはよく分からなかった。
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