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二次log

【九百九十一日目】 

 審神者になってから毎日付けている日記も、あともう少しで千日という区切りの日を迎える。記念すべき大切な日、ということで期待に胸を躍らせるばかりでありたかったのに、不安な要素ができてしまった。
 他の本丸ではどうか知らないけれど、少なくとも、うちの本丸では男士にPCのパスワードを教えていないし、パスワード入力の様子を見られたこともない。PCを扱うことができる男士も限られているし、彼らにもこのブログの存在は教えていない。履歴も小まめに消している。このブログは男士たちに知られてしまっては恥ずかしい弱音であったり、愚痴であったり、そんなものもぶちまけているから、かなり気を遣っている。だから、この場所の存在は少なくともうちの本丸の男士たちには気付かれていない、という前提で話を進めていこうと思う。万が一、気付かれてしまっていた時には、もう、諦めるしかない。
 不安な要素について、いつまでも述べないわけにはいかないと思うので、さっくりと述べておくことにする。

 真名を、知られたかもしれない。

 真名の効力については真偽のほどが定かではないけれども、政府が「知られないようにしましょう」という方針を貫いている間は「知られてはならないものだ」という認識でいるつもりでいる。
 ただ、真名についてもそうだが、不安要素はもう一つ。知られたかもしれない、というのは祖父から手紙が届いたからだ。両親以上に頻繁に手紙をくれる祖父なんだが、歳のせいか、どうしても「本名を書いてはいけない」というルールを忘れてしまうことがある。政府の検閲だって万全じゃないことは過去に実際に受け取ってしまった手紙の文面から理解してしまっているからお察しで。そんな祖父からの手紙が届いたわけなんだが、これが読む前に燃やされてしまった。誰がやったのかは分からない。ただ、燃え残った一部を大倶利伽羅が発見して、持ってきてくれた。その字は、確かに祖父のものだった。
 真名を知られてしまったかもしれないという不安と、共に暮らし、信頼してきた奴らのうちの誰かが勝手に手紙を持ち出し、燃やしたのだという不安と、ダブルパンチで襲い掛かって来てくれていて正直なところ、かなり参っている。手紙の一件以来、奇妙な行動を取るようになった奴らもいる。政府の見解では「神隠しなんて都市伝説」だけど、何が起こるかが分からないのがこの業界。担当にも連絡を取ってみたけれど、気にしすぎるな、の一点張りだった。遡行軍が新しい戦場に足を伸ばしたこともあって、戦いに集中しろとやんわりとした審議拒否も喰らった。
 そこで、このブログを覗いてくださっている同志諸君に是非とも助けていただきたい。自分の本丸の奴らを疑い続けることに、疲れてしまった。以下、音声ファイルを添付しておく。世間話のノリで本丸の奴らに関係しそうな日の行動について、聞いて回ってみた結果だ。奇妙な行動を取るようになってしまった奴らについては……もし仮に真名を知られてしまっていて、奴らが噂の神隠しなり下剋上なりを狙っていた場合、もう手遅れだと思っている。だから、手紙を燃やしたのは誰なのか、それは何故なのか。とりあえず、知りたいのはその部分だけ。不自然な行動を取ったんだから、聞いて回った話の中で誰かが矛盾した言動をしているのではないか、と考えている。それを、探してほしい。もう、自分で自分の本丸の奴らを疑うことに疲れてしまった。
 万が一、うちの本丸の奴らにこのブログが見つかったとしても下手に刺激しないよう、こちらが「奇妙な行動を取るようになった」と考えているやつらについても特に表記していない。添付しているファイルの順番は、単純に話をした順番になっている。
 どうか、助けてほしい。そして、全てがただの思い過ごしであることを願う。
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