このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

恋の歌

●少女たちのメール●

[やっほー! おみくじどうだった?]
〈大吉でした。でも、大吉ってあとは下がるしかないですよね〉
[それ言っちゃうと、ありがたみが全くないね]
〈先輩は?〉
[今年は吉! 平凡万歳!]
〈そうですか〉
[で、今年誰かにチョコをあげる予定は?]
〈無いです。あと、いつも思いますけど、唐突ですね〉
[それが私だからね(笑) じゃあさ、一緒に作らない?]
〈チョコですか?〉
[え? 愛妻弁当でも作る気だった?]
〈まだ誰とも結婚してないですって〉
[だよねー。私が冗談で言った格言を実行されてたら、引く]
〈どんなのですか?〉
[内緒。いや、私から宇佐見にチョコ渡すじゃん?]
〈まあ、渡さなかったら付き合ってるのか疑われますね〉
[となると、浦見が放置されて可哀想な状況が生まれます]
〈先輩、毎年渡してますよね?〉
[ウサギ狩り成功したから、全ての愛をぶつけてみたいのですよ]
〈狩りって(笑) 今年は本命以外に作る気が無い、と?〉
[正解! というわけで、可愛い可愛い後輩から先輩へ。どう?]
〈別にいいですけど、私以外にも渡す人いるんじゃないですか?〉
[えっと、あのね。私の料理センス、壊滅的なの]
〈初めて聞きました。というか、嘘ですね。上手だと知ってます〉
[誰かが一緒に作ってくれないと、劇薬作るよ]
〈愛があるなら大丈夫ですよ。てか、スルーですか〉
[私のウサギはまっとうな生物だからね? 毒食ったら死ぬ]
〈愛は偉大です。本当にスルーなんですね。付き合いますけど〉
[愛があれば何でもできると思ってたら、危ないって]
〈宇佐見先輩が死んでも、それは毒物を食べた本人の責任です〉
[え? 毒物作るの前提? なら、浦見に渡すか]
〈何でですか。渡すつもりは無かったじゃないですか〉
[毒見。あ、毒が入ってるかじゃなくて、どんな反応を示すかね]
〈…………わかりました。いきます〉
[行きます? 生きます? 逝きます? 嫉妬?]
〈私は行きます。先輩は生きます。逝かせません。Nо嫉妬!〉
[照れないで(笑) じゃ、いつなら都合いい? 前日とか?]
〈じゃあ、二月十三日に先輩の家で。何時ごろに行けば?〉
[んー、九時から。で、実際のところ浦見の事はどう?]
〈いい先輩だと思います。優しいですし〉
[型通りの無難すぎる答えなんて、私は求めてないよ]
〈……では、どのような毒にも効く解毒薬を探しておきますので〉
[えー? きかないから。きかないからおいで]
〈平仮名だと、聞かないのか効かないのか分からないですね〉
8/9ページ
スキ