●少年少女のメール●

［こんな時間にメールしてごめん！　ちょっと相談が……］
《何？　また恋愛相談？》
［宇佐見にチョコ渡したいんだけど、どんなのが好きなんだろ］
《去年まで、何も気にせずに作って渡してなかった？》
［去年は去年、今年は今年。で、どう？］
《さあ？　何も言わずに去年も食ってたし、同じでいいと思う》
［女として、同じものを渡すのはプライドが許さないのだよ］
《誰なのだよ（笑）　貰う側としてはどんなのでも嬉しいけど》
［……それって、当たり障りのない回答過ぎてむかつく］
《でも、貰えないよりはマシ》
［当たり障りのない回答だって自覚はあるんだ］
《黙秘権行使！　てかさ、ずっと気になってたんだけど》
［何が？］
《宇佐見のどこが好き？》
［……………………………………………………………………］
《無駄に長いし、送る必要無いだろ》
［……好きになるのに理由は必要なの？］
《えー？　ほら、好きだなって自覚した瞬間とか》
［何で浦見に言わなきゃだめなのさ］
《俺が知りたいから》
［女は謎が多い方がきれいなんだよ］
《謎が多すぎたら警戒対象だけどな》
［私、そんなに多くないし］
《じゃあ、課題テストの順位》
［教えろと？　いや］
《ほら、謎じゃん》
［仕方ないって。あ、国語は幸せになれる点数だった］
《ラッキーセブン？》
［末広がりの八］
《マジで？　俺、マイナス五》
［……耳？］
《三十三じゃなくて八十三！》
［浦見のクセに］
《全国の浦見さんに謝れ！》
［今私とメールしている浦見以外の浦見さん、ごめんなさい］
《俺も含めよ……》
［やだ］
《協力すんの、やめよっかなー？》
［浦見様、ごめんなさい］
《分かれば良し》
［あ、今から見たいドラマ始まるからこの辺で］
《了解。じゃ、チョコの試作品はください》
［試作品は自分で食べるから、失敗作をあげる（笑）］
《いらねぇ！》