捨て猫の夢
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「おかえりー、わぁずぶ濡れだねぇ、あれ、お友達?いらっしゃい…え、猫?え、何?どーゆーこと?」
ずぶ濡れの俺と虎杖を迎えたのは、ほろ酔いの母。
「…とりあえず、タオルちょーだい」
酔っ払いに説明するのも面倒で、話は後にすることにしタオルを持って来てもらうことにする。
母は気にした様子もなく、はいはーいとタオルを取りに行ってくれた。
母からタオルを3枚貰うと、1枚は虎杖に、もう1枚は自分を適当に拭き床が濡れないようにし、最後の1枚に猫たちを包んで2階の自分の部屋へ向かう。
「虎杖、風呂場ここね。新しいタオルは洗面所の棚にあるから適当に使って。着替えは俺の服後で持ってくから」
とりあえず先に1番濡れている虎杖を風呂場へ案内する。
「ん、ありがとう」
虎杖はあらかた水気を取って、お邪魔しますと家に上がる。
「濡れた服は…とりあえずカゴに入れといて。後で乾かそう」
「わかった、ありがとう。苗字は?」
「俺は虎杖ほど濡れてないから後でいいよ。部屋でコイツら拭いてくる。あ、俺の部屋二階上がって右側ね」
「りょーかい」
虎杖と別れて、俺は2階へ上がる。
腕に抱く猫たちは温かいが、相変わらず白猫は元気がない。
急いで自分の部屋に入ると、タオルに包んだ2匹をそっと床に置き、タンスから虎杖用にTシャツとスウェットのズボン、新品のボクサーパンツを取り出すと風呂場へ向かう。
「虎杖ー、着替え置いとくなー」
「おーう」
虎杖の着替えを置くと棚から新しいタオルを2枚取り、自室へ戻る。
猫たちは大人しくタオルの中にくるまっていた。
まず、弱っている方の白猫をそっと膝に乗せて拭く。
短い毛のおかげですぐに乾きそうだ。
小さいがみーとか細く鳴くこともできる。
目は…
「目ヤニ…かな?」
顔をよく見ると目ヤニの様なもので汚れていて、そのせいで目が開けられないようだ。
無理に擦ると良くなさそうだ。
後で蒸しタオルを作って拭いてみよう。
あらかた乾いた白猫を片手で抱き抱え、辺りを見渡す。寝床を作るのを忘れていた。
そこで、押し入れにダンボールがあったのを思い出す。
最近ネットで頼んだものが入っていた空き箱で、ゴミに出すのが面倒だったため押し入れに放り込んだのだった。
捨てなくてよかった。
押し入れからダンボールと、ついでにしまってあったブランケットも出す。
触り心地が気に入っていて、冬に大活躍するお気に入りだが、こいつらのためだ、くれてやろう。
ダンボールにブランケットを敷き、その上に白猫をそっと寝かせる。
みっと小さく鳴いて、ゴソゴソとブランケットに体を擦りつけている。そうだろう、そうだろう気持ちよかろう。どうやら気に入ってくれたようでよかった。
さて、次はハチワレを…と目線を移すと居るはずのタオルの上にハチワレがいない。
「あれ、おーい」
と辺りを見回すが、見当たらない。
広い部屋ではないが…もしかしてさっき押し入れ開けた時入っちゃったか?
そう思い押し入れを開けようとすると、すぐ足元でみーみー声がした。
灯台もと暗し。
俺の足元に居たようだ。
もしかしたら白猫が心配で俺の周りをウロウロしていたのかもしれない。
気づかずに踏まなくてよかった。
「こら、危ないだろ」
ちょっと文句をいいつつ抱き上げると、「シャー」と威嚇するように爪を立てられた。
随分元気になったようだ。
「大人しくしてないと、拭けないぞ」
そう言いながら膝に乗せ、タオルで体を拭いてやる。
こちらは白猫と違って少し毛が長い。
拭きながら体を見るが、こいつは元気そうだ。
いや、ちょっと鼻水みたいなのが出てるかな?
「明日は病院だなー」
近くに動物病院あったかな?
そんな事を考えながら、あらかた拭き終わると白猫同様、ブランケットの所へ入れてやる。
するとちょっと暴れていたハチワレは、すぐに白猫に寄り添い白猫の体を舐め始めた。
優しいお兄ちゃんだな、
いや、オスかメスかわからんけど。
そんな事を考えながら2匹を眺めていると、ガチャっと部屋のドアが開き、風呂上がりの虎杖が入ってくる。
「ふー、風呂お先!ありがとなー」
「いや、うん。それはいいんだけど、何で上裸?」
タオルでガシガシと頭を拭く虎杖は、上半身裸だ。
俺、Tシャツ置いといたよな?
「あー、いやそれがー」
どうやら、俺のTシャツは虎杖には小さかったらしい。
いや、小さいって言っても普通にMとかだったはず。スウェットは履けてるし。
身長もそんなに変わらない…
と虎杖を見て、ふと虎杖の上半身に目が止まる。
何か筋肉凄くない?
どちらかといえば童顔の、虎杖の体は不釣り合いに筋骨隆々のいい体だった。
虎杖、着痩せするタイプか。
俺は筋肉全然つかない…
というか、そもそも鍛えても運動も大してしてないからつくわけないのだが。
「何かムカつくな…」
ぼそっとつぶやくと、タンスを探す。
確か前にサイズ間違えて買った大きめのやつが…あぁ、あったあった。
「ほら、これならいいだろ」
「ぶへっ」
ちょっとした嫉妬心で、乱暴に投げたLサイズのTシャツが虎杖の顔にクリーンヒットする。
ちょっとスッキリした。
「あ、ありがとう?」
困惑気味にお礼を言って、Tシャツを着る虎杖。
それでもちょっとピッチリしてるのムカつく。