第1章 過世の追走
「ライトさん!!」
夜半過ぎのノラハウスに、息せき切って駆け込んだのはホープだった。
「ホープか……すまない、ルミナが…」
「ライトさん……」「お姉ちゃん…」
自分を後回しにする癖は変わらないな、とセラと二人で苦笑する。
「あの子のことは一旦置いておいて。怪我の具合はどうですか?」
「いくらか内出血はあったが、骨は折れていないし、内臓も無事だ。大丈夫」
「よかった…」
ほっと息を吐いて、あとは休んでおいてください、とホープは妻の頭を撫でる。
そうした後、セラとスノウへと向き直った。
「あの子は…行方不明と聞きましたが、詳細は」
「信じてくれるかはわからねぇが…混沌 に飲まれて、消えた。レインやエクスも一緒だ」
「混沌 に…」
「私も、お姉ちゃんも一緒に見たの。間違いないよ」
「いえ、信じますよ。スノウがこういう嘘をつくはずもないですし」
言葉を重ねるセラに、ホープは苦笑いで応じた。
「ノエル君たちは?」
「ユールに話した時に倒れちまってな。ノエルは付きっきりだ」
「ユールさん……」
セラさんは大丈夫なんですか?と視線を向けるホープに、セラは苦笑いで目を逸らした。
「お姉ちゃんやユールちゃんがこんな感じだから、せめて私はしっかりしておかないとって」
「なるほど…」
「大丈夫だ!」
スノウがぐっと親指を立てる。
「レインは俺に似て“無駄に”頑丈だし、ルミナもエクスも見捨てねぇ!だから三人とも大丈夫!」
「…それ、根に持ってたんだ」
「それにアイツ、ファングやヴァニラに色々教わったらしいぜ」
「ちょっとスノウ?私それ初耳だよ?」
セラのジト目にスノウはヤベッと漏らして視線を逸らした。後の祭りである。
「い、いや去年な?アカデミアのホープんちに泊まりに行ったことあったろ?」
「あぁ、ありましたね。ちょうど同時期、アカデミア近辺の環境構築試験場の調査をお二人に依頼していましたが…」
「そん時にアイツ、こっそり後を付いてったって…すぐファングに見つかったらしいが、ついでに色々グラン=パルスの流儀を叩き込まれたって嬉しそうに…」
「ふーん。で、なんで私に話してくれなかったのかなー?」
ニコニコしながら決して笑ってはいないセラから逃れるように、スノウは天井から視線を離さない。
ホープは合掌した。セラは時に、エクレールより怖いのだ。この義弟に勝ち目はない。
「……『お袋が知ったら絶対怒るから内緒にしてくれ』って頼まれちまって…」
「で、一年越しにバラしちゃったと」
「ホープだって言わなかったろぉ!?」
「僕だって初耳ですよ。あの日はルミナと一緒にどこか行くって話で…あ、まさか」
「……ルミナも一緒だったとよ」
「ふーーーーん……これは帰ってきたらお説教だね?」
セラは既に帰ってくる前提の声音だ。
でもその前に、とセラは男二人に向き直った。
「二人とも、ちょっとお話しよっか?」
「うっす」「なんで僕まで…」
巻き込まれたホープは天井を仰いだ。
夜半過ぎのノラハウスに、息せき切って駆け込んだのはホープだった。
「ホープか……すまない、ルミナが…」
「ライトさん……」「お姉ちゃん…」
自分を後回しにする癖は変わらないな、とセラと二人で苦笑する。
「あの子のことは一旦置いておいて。怪我の具合はどうですか?」
「いくらか内出血はあったが、骨は折れていないし、内臓も無事だ。大丈夫」
「よかった…」
ほっと息を吐いて、あとは休んでおいてください、とホープは妻の頭を撫でる。
そうした後、セラとスノウへと向き直った。
「あの子は…行方不明と聞きましたが、詳細は」
「信じてくれるかはわからねぇが…
「
「私も、お姉ちゃんも一緒に見たの。間違いないよ」
「いえ、信じますよ。スノウがこういう嘘をつくはずもないですし」
言葉を重ねるセラに、ホープは苦笑いで応じた。
「ノエル君たちは?」
「ユールに話した時に倒れちまってな。ノエルは付きっきりだ」
「ユールさん……」
セラさんは大丈夫なんですか?と視線を向けるホープに、セラは苦笑いで目を逸らした。
「お姉ちゃんやユールちゃんがこんな感じだから、せめて私はしっかりしておかないとって」
「なるほど…」
「大丈夫だ!」
スノウがぐっと親指を立てる。
「レインは俺に似て“無駄に”頑丈だし、ルミナもエクスも見捨てねぇ!だから三人とも大丈夫!」
「…それ、根に持ってたんだ」
「それにアイツ、ファングやヴァニラに色々教わったらしいぜ」
「ちょっとスノウ?私それ初耳だよ?」
セラのジト目にスノウはヤベッと漏らして視線を逸らした。後の祭りである。
「い、いや去年な?アカデミアのホープんちに泊まりに行ったことあったろ?」
「あぁ、ありましたね。ちょうど同時期、アカデミア近辺の環境構築試験場の調査をお二人に依頼していましたが…」
「そん時にアイツ、こっそり後を付いてったって…すぐファングに見つかったらしいが、ついでに色々グラン=パルスの流儀を叩き込まれたって嬉しそうに…」
「ふーん。で、なんで私に話してくれなかったのかなー?」
ニコニコしながら決して笑ってはいないセラから逃れるように、スノウは天井から視線を離さない。
ホープは合掌した。セラは時に、エクレールより怖いのだ。この義弟に勝ち目はない。
「……『お袋が知ったら絶対怒るから内緒にしてくれ』って頼まれちまって…」
「で、一年越しにバラしちゃったと」
「ホープだって言わなかったろぉ!?」
「僕だって初耳ですよ。あの日はルミナと一緒にどこか行くって話で…あ、まさか」
「……ルミナも一緒だったとよ」
「ふーーーーん……これは帰ってきたらお説教だね?」
セラは既に帰ってくる前提の声音だ。
でもその前に、とセラは男二人に向き直った。
「二人とも、ちょっとお話しよっか?」
「うっす」「なんで僕まで…」
巻き込まれたホープは天井を仰いだ。