第1章 過世の追走

パァン、と弾ける音がして、サイクロプスがその単眼を押さえる。
「おおおおおっ!」
そこに駆け込んだ少女が体当たりをかまし、巨躯を押しやった。
「レイン姉!じゃあ、さっきの銃撃は…」
「俺だ」
硝煙の残る猟銃を構えたエクスが、厳しい顔でサイクロプスを睨む。
「一人で無茶すんじゃねぇっつの」
「エクス、それは?」
「父さんの仕事道具。緊急避難だ」
迷いなく次弾を再び目に打ち込むエクス。しかしそれは、庇った手によって弾かれた。
「抜けないか。硬いな」
「だったら!」
手の武器を銃形態に変えたルミナが、手で庇えない位置から銃撃を叩き込む。
再び弱点の眼を撃ちぬかれ、咆哮を上げるサイクロプス。
「レイン!」「おう!」
スノウがレインと同時に片足に拳を叩き込み、バランスを崩して転倒させる。
「そこぉっ!」
眼前に落ちてきた単眼に、ルミナが全体重を乗せて剣を突き入れる。
言葉にしがたい悲鳴を上げたサイクロプスは、それを断末魔に動かなくなった。
「……倒したの?」
「らしいな」
「肝が冷えたぜ、ったく」
剣を引き抜き、肩で息をするルミナを二人が労う。
「…っと、義姉さん、大丈夫か?」
「…一応な、骨は折れていない」
それを微笑ましく見ていたスノウは、はっとして壁によりかかって座り込むエクレールに駆け寄る。
その、眼を離した隙だった。
「っ、スノウ!」
「なんだ……うおっ!?」
サイクロプスの遺骸から混沌が溢れ、三人の子供を包み込む。
「レイン!ルミナ!エクス!」
呼びかけながら駆け寄ったスノウだったが、伸ばした手は虚しく空を切った。
「…くそっ!」
「……チッ」
地を叩くスノウと、舌打ちをして身を沈めるエクレール。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!?」
「何だってんだよ、これ……」
呆然とした声だけが、その場に残った。
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