第8章 巨兵の大戦
「作戦失敗!作戦失敗!」
「撤退だ!!」
上空のヘリから縄梯子が下ろされる。
それに掴まろうとしたルミナの傍を、アトラスの腕が薙ぎ払う。
「きゃっ!」
そのポケットから、コロコロと何かが零れ落ちる。
「こいつ…!」
「おかしい。こいつら……!」
無秩序に殴り合いを繰り広げていたアトラスたちの眼が、一行を見据えている。
「どうして急に……?」
「ハッ。ケツに火ぃ付いたか?」
「言ってる場合じゃないよ、ファング!?」
上空のヘリも手を伸ばされ、慌てて高度を上げて離脱する他ない。
「強行突破?」
「無謀!…だけど、それ以外なさそうだよな」
エクスの言葉にノエルが苦い顔で答える。
「…流石にピンチだな」
スノウの頬を冷や汗が伝う。
そこへ――――
「ほんと、見てらんないんだから」
パチン、と指を鳴らす音が響く。
同時に、虚空を裂いて数多の魔物たちがアトラスに襲い掛かった。
「なんだ!?」
「今の声は―――」
エクレールが声の主を探す。
その背後からちょいちょいとつつく影。
「―――ルミナ!?」
「え?」
黒衣の少女を呼ぶ母の声に、娘のルミナが首を傾げる。
「残念。そうだけど、そうじゃないのよね」
というか、今はその子の名前でしょ?それ。
かつてのように人を食った口調で笑う少女に、エクレールが眉を顰める。
「…なぜ今?」
「言ったでしょ?見てらんないんだもの。手を貸してあげる」
腰に手を当てて胸を張った少女が、視線をホープに向けて手を叩いた。
「あぁ、ごめんなさい?貴方のことじゃないの。いい作戦だったのよ、途中までは」
「……途中までは、ですか」
「ええ。幾らアトラスたちが知恵のない機構でも…唯一の例外がいる。それを考慮できなかったのが問題ね」
「唯一の例外、ですか?」
リーナが眉を顰める。
「貴方は知らなくてしょうがないわ。だって“それ”は、壊れた後の世界にしかいないもの」
「――――まさか」
その可能性に最初に思い至ったのはノエルだった。
「ノエル、心当たりがあるの!?」
「アトラスの―――“ラストワン”?」
「せいか~い。流石、“闇の狩人”様は違うわね?」
「父さん…?」
父の思わぬ過去を暴露されたエクスが、信じられないものを見る目で見る。
「勝手に呼ばれただけだ!」
「でも解放者には『闇とは縁を切っておく』って「わかった!分かったから!それ以上言わないでくれ!!」」
降参の意を込めて両手を上げるノエル。
それを見て楽しそうに笑う少女。
「しかし、アトラスの“ラストワン”か―――」
「ええ、もう来るわよ。ほら」
少女が差す先に赤紫のオーラ―――ラストワン特有のものだ―――を纏ったアトラスが出現する。
いつの間にか、周囲のアトラスは全て機能を停止していた。
「お前がやったのか?」
「いいえ?アレが来たからよ。ラストワンがいる以上、それ以外の個体は―――」
「全ていなかったことになる、か」
エクレールがアトラスのラストワンに剣を向ける。
「じゃあ、コイツを倒せば解決ってことだな?」
「話が早くなっていいじゃねぇか」
スノウとファングが構える。
「気を付けろよ。ラストワンは、今までのとはわけが違う」
「わかってら」
騎兵隊の乗るヘリも空中で陣形を組む。
決戦が始まろうとしていた。
「撤退だ!!」
上空のヘリから縄梯子が下ろされる。
それに掴まろうとしたルミナの傍を、アトラスの腕が薙ぎ払う。
「きゃっ!」
そのポケットから、コロコロと何かが零れ落ちる。
「こいつ…!」
「おかしい。こいつら……!」
無秩序に殴り合いを繰り広げていたアトラスたちの眼が、一行を見据えている。
「どうして急に……?」
「ハッ。ケツに火ぃ付いたか?」
「言ってる場合じゃないよ、ファング!?」
上空のヘリも手を伸ばされ、慌てて高度を上げて離脱する他ない。
「強行突破?」
「無謀!…だけど、それ以外なさそうだよな」
エクスの言葉にノエルが苦い顔で答える。
「…流石にピンチだな」
スノウの頬を冷や汗が伝う。
そこへ――――
「ほんと、見てらんないんだから」
パチン、と指を鳴らす音が響く。
同時に、虚空を裂いて数多の魔物たちがアトラスに襲い掛かった。
「なんだ!?」
「今の声は―――」
エクレールが声の主を探す。
その背後からちょいちょいとつつく影。
「―――ルミナ!?」
「え?」
黒衣の少女を呼ぶ母の声に、娘のルミナが首を傾げる。
「残念。そうだけど、そうじゃないのよね」
というか、今はその子の名前でしょ?それ。
かつてのように人を食った口調で笑う少女に、エクレールが眉を顰める。
「…なぜ今?」
「言ったでしょ?見てらんないんだもの。手を貸してあげる」
腰に手を当てて胸を張った少女が、視線をホープに向けて手を叩いた。
「あぁ、ごめんなさい?貴方のことじゃないの。いい作戦だったのよ、途中までは」
「……途中までは、ですか」
「ええ。幾らアトラスたちが知恵のない機構でも…唯一の例外がいる。それを考慮できなかったのが問題ね」
「唯一の例外、ですか?」
リーナが眉を顰める。
「貴方は知らなくてしょうがないわ。だって“それ”は、壊れた後の世界にしかいないもの」
「――――まさか」
その可能性に最初に思い至ったのはノエルだった。
「ノエル、心当たりがあるの!?」
「アトラスの―――“ラストワン”?」
「せいか~い。流石、“闇の狩人”様は違うわね?」
「父さん…?」
父の思わぬ過去を暴露されたエクスが、信じられないものを見る目で見る。
「勝手に呼ばれただけだ!」
「でも解放者には『闇とは縁を切っておく』って「わかった!分かったから!それ以上言わないでくれ!!」」
降参の意を込めて両手を上げるノエル。
それを見て楽しそうに笑う少女。
「しかし、アトラスの“ラストワン”か―――」
「ええ、もう来るわよ。ほら」
少女が差す先に赤紫のオーラ―――ラストワン特有のものだ―――を纏ったアトラスが出現する。
いつの間にか、周囲のアトラスは全て機能を停止していた。
「お前がやったのか?」
「いいえ?アレが来たからよ。ラストワンがいる以上、それ以外の個体は―――」
「全ていなかったことになる、か」
エクレールがアトラスのラストワンに剣を向ける。
「じゃあ、コイツを倒せば解決ってことだな?」
「話が早くなっていいじゃねぇか」
スノウとファングが構える。
「気を付けろよ。ラストワンは、今までのとはわけが違う」
「わかってら」
騎兵隊の乗るヘリも空中で陣形を組む。
決戦が始まろうとしていた。