第7章 反撃の狼煙

「アダム―――ううん、リーナ」
「…ご迷惑をおかけしました。もう、大丈夫です」
頭を振ったリーナが、バルトアンデルスに向き直る。
「まさか―――人の身に堕ちたというのか、ファルシ=エデン!」
「堕ちたとは人聞きが悪いですね。私は元々、人の手に生まれ落ちたデミ・ファルシですよ」
晴れ晴れとした顔で言ってのけるリーナ。
「…これも、奇跡かね?」
「ああ、間違いなく。希望ホープが招いた奇跡だ」
レインズに答えたエクレールの声に、バルトアンデルスがはっきりと歯ぎしりをした。
「奇跡―――また、奇跡か!女神の愚行を有難がる人間どもが!」
「ふふ。今回ばかりはそうとも言い切れませんよ」
リーナの声にルミナがきょとんとする。
「思い返せば、あの時―――この世界にシ界として切り離された、アガスティアタワーで目覚めた時から、私は混沌を抱いていたんです。ルミナはあそこから出してくれただけ。私が“私”になったのは、女神ではなくマスター・ホープのおかげ。―――ええ、これが本当の奇跡というものなのでしょうね」
微笑みすら浮かべるリーナにバルトアンデルスが杖を向ける。
「輝ける神の下に還ることすら、拒むというのか?」
「お断りです」
はっきりと拒絶するリーナ。
「へっ、振られたな、爺さん」
レインが拳を鳴らしながら歩み出る。
「アタシもテメーにゃお礼がしたかったんだ。ルミナ!リーナ!手ぇ貸せよ!」
「もちろん!」「お任せください!」
ルミナが剣を構え、リーナがブーメランを作り出して構える。
「…アレ、ホープのやつだよな?」
「あの一言で、随分と慕われたようだな」
エクレールのツッコミにホープは肩をすくめた。
「……愚か者どもめが」
老人の姿が消える。ファルシの巨体が、陣地を揺らす。
「ならばその愚かさのまま果てよ、エデン!」
「だから、私はリーナです!」
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