第6章 零落の楽園

「通信はまだ回復しないのか?」
「うん。多分、内部でゲートを通って、隔離空間に行っちゃったからだと思う」
「姉ちゃんたちなら大丈夫だと思いてぇが…」
サッズが頭を掻いたところに、息せき切って兵士が駆け込んできた。
「どうした?」
「シ、シ界が!収縮していきます!!」
「なんだと!?」
ロッシュが駆け出していく。セラたちも後を追った。
「消えていく…」
「待って、レインたちは!?」
「通信は?」
「まだ回復していません!」
そんな、とセラが口を押さえる。
慌ただしくなる陣地を見回したサッズは、ユールが空の一点を指差したのに気づいた。
「どうした?」
「…あそこ」
「…えっ!?」
収縮するシ界から飛び出してきたのは、一対の触肢を従えた機構。
そしてその触肢の上で手を振っているのは―――
「おーーーい!セラーーー!!!」
「スノウ!?どういうこと!?」
「またドえらいことしでかしたか?」
サッズが苦笑いで降りてくる一行を見守る。
「セラ君。あれがデミ・ファルシ=アダムか?」
「うん、間違いない、はずなんだけど…」
「なんで乗って帰ってきてんだ?」
着地した触肢から降りてきたスノウがセラを抱きしめる。
「ちょ、ちょっとスノウ!?これ、どういうことなの?」
「ん?あぁ、コイツ?」
スノウがアダムを振り返る。
「なんか思ってたよりいい奴でよ。運んでくれたんだ」
「えぇ……??」
セラは答えを求めるようにノエルに視線を送るが、彼はお手上げのポーズで首を振った。
「皆目。ルミナが何かした、ってことしかわからない」
「ルミナちゃん?」
当のルミナは、アダム本体から恭しく地に下ろされたところだった。
「ありがとう」
「………」
アダムの姿が、光の粒子に消えていく。
「あっ……」
声を上げたのは誰だったか。触肢も光の粒子となり、全てが集まったそこに現れたのは―――

ルミナによく似た姿の、アカデミーの制服を纏った少女だった。
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